2016年2月5日金曜日

子どもたちから借りたもの

今日は長野でございますー。

昨日、中部原子力懇談会の役員の方々が京都佛立ミュージアムまでお越しくださり、「ハチドリのひとしずく展 2 原発×仏教」の展示のために原子力発電の模型や資料をお貸しくださいました。

あっという間に2月。

今日から2月の教区御講です。

心をこめて、しっかりとご奉公させていただきます。

さて、京都佛立ミュージアムの次回の企画展も、また難しい問題に挑戦いたします。

今朝も関東で地震がありましたが、東日本大震災から5年目を迎えようとする中、未だに全く解決の見通しが立たない「原子力発電所の事故」について、深く掘り下げたいと考えています。

情報が多いようで多くは無く、どうしても偏っているように感じて、結局きちんと判断が出来ていない問題。

そして、避難したままの方々、健康不安に怯えている方々、実際に健康を害する方々がいます。

賛否両論渦巻く中、私たちは「原発×仏教」という切り口で、冷静に、論理的に、仏教的に、この問題に臨みたいと思っています。

本門佛立宗の、仏教のミュージアムだからこそ、責任を持って、きちんと両論をご紹介できる。

そして、他人事ではなく、仏教的な見地に立って、エネルギーと安全保障の問題、豊かな生活という幻想と現実、自分に出来ること、を考えられるようにしたいのです。

中部原子力懇談会さまのご協力に深く感謝いたしますー。

僕たちに出来ることは、何なのか。

展示企画案も詰まって参りました。

Zone1 オープニング(映像) 
・ 展示の趣旨について

Zone2 原子力発電とは何か 
・ 原子炉の構造、原子力発電のしくみ、原発事故 など 

Zone3 原発の利点と欠点 ~なぜ、推進するのか? 反対するのか?~ 
・ 資源小国とエネルギー効率の高さ × 循環の破綻と事故の危険性
・ 温暖化防止策 × 火力・水力発電との関連 (事故発生時の放射能汚染)
・ 地域経済の活性化と雇用の創出 × 地域の自立や平和構築を阻害
・ 発電コストの安さ × 試算不能の事故コスト
・ 燃料輸入による国富流出 × 国内総生産GDP及び国家の純資産に対する割合と危機管理コスト 
・ 科学技術の進歩による安全性の確保 × 放射能による被害の無限定と不可逆性
・ 世界一厳しい基準による規制 × 安全性を保証できない規制基準と”世界一”の曖昧さ
・ 安全保障への転用とその強化 × 核兵器の不拡散に関する条約NPTの崩壊とテロの危険性 

Zone4 3.11 と 9.11 
・ 原発の導入や稼働に対する賛否は、決して他から強制されるものではなく、あくまでも各自の判断による。 
・ その判断に「3.11」と「9.11」という事実を”反映させる”という報い方の提示。

・ 原発事故発生による、京都での被害想定。 

Zone5 原発×仏教 

昨日、模型を前にご説明をいただいて、あらためて賛否両論の間に横たわる、大きな壁、深い溝を感じました。

しかし、だからこそ、立ち止まることなく、その双方の中に飛び込んで聞き、学び、しっかりと明日の方向をご提案させていただかなければならないと思うのです。

「戦争と平和」を考える時にご紹介したサン=テクジュペリの言葉と同じ。

「地球は先祖から受け継いでいるのではない、子どもたちから借りたものだ。」

「地上の間近から見れば、あんなにも細分化された大地ではあるが、1万メートル上空から見ればただの一つである。人類が高度を増せば、人類の救いは不可能ではない。」

「人間であることは、自分の意志をそこに据えながら世界の建設に参加しているのだと感ずることである。」

よりよい地球文明、人類社会を築くために、そして東日本大震災からの、被災者の方々はもとより、日本人全体、人間たち全体の、真の「復興」を願って、このことに真剣に向き合いたいと思います。

どこでも見られるのではなく、ここでしか見られない展示をするのが、京都佛立ミュージアムのはず。

開催まで、あと10日を切りました。

乞うご期待ですー!

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