2017年5月2日火曜日

班長さんへの手紙(平成29年5月 「役中テキスト」)

班長さんへの手紙(平成29年5月 「役中テキスト」)


ありがとうございます。


御教歌

「きはまりて かなしき時にあらざれば まことの信はおこらざりけり」


人の心は難しいものです。順風満帆な時こそ大切なことに気づき、感謝を忘れずに励み続けることが出来ればいいのですが、なかなかそうはいきません。


思いがけない出来事に頭を抱え、病気やトラブルに悩んだ時、今までの自分を省みたり、改めようと誓ったり、軌道修正をし、大切なことに目覚めたりするものです。


しかし、末法という時代はさらに複雑に出来ていて、いくらでも無責任な気休めの言葉を探すことが出来ますし、不幸な自分を肯定することも出来ます。中途半端ではやはり気づけない、改められない。ご信心やご奉公であればなおさらです。


佛立開導日扇聖人の御指南。

「富(とめ)る者は楽(たのし)みを貪(むさぼり)て都(すべ)て後生(ごしょう)を知らず、貧(まずし)き者は憂(うれい)を懐(いだい)て弥(いよいよ)よ罪障を作る。」日扇聖人全集14巻54頁


裕福な人、順調な人は、つい現在の状況に甘んじ、目先の楽しみを貪るばかりで、その後にどうなるかを知らないし、知ろうともしない。後生、つまり来世のことにも考えが及ばないとお示しです。


そして、貧しさに苦しむ人、現在苦境にある人も、思うようにならない辛さからか、周囲を怨み、責任転嫁ばかりして、自分を省みることが出来ない。改良も出来ない。むしろ重ねて罪障を積んでしまうものであるというのです。


本当に、ギリギリの状態まで追い込まれ、悲しみが溢れ出るような時でなかったら、本当の信心は起こらないのでしょうか。


信心とは、自分の本当の心、本心です。本当の自分、本心ではなく偽りの心、仮の心で生きてゆくことは最も危険なことで、最も虚しいことです。ご信心は一寸先の闇の提灯、いいことも悪いこともある人生の指標で、本来は人生の必需品なのです。


柱のない家は弱いものです。柱が無ければ少しの風でグラグラと揺れます。台風や地震が来れば瞬く間に倒れてしまいます。


ご信心は心の柱、人生の柱です。豊かさや貧しさにかかわらず、少しでも早くご信心を起こすことが出来れば何より安心です。


「ほめられて すゝむ信心憎まれて かならずくだることぞ口をし」


「わすれては おもひ出してはげめども をこたりがちに成ぞくやしき」


「これでわれ よしと思へばおこたらん 信は忘るゝまなくすゝめよ」


順調な時に甘んじず、逆境を変化の時と捉えて改良すること。これが佛立仏教徒の心構えと教えていただきます。


法華経如来寿量品の結び。

「常に我を見るを以ての故に而も驕恣の心を生じ放逸にして五欲に著し悪道の中に堕ちなん」


仏陀に出会った者ですら、いつもそこにいてくれると安心し、慢心や欲に流され、身勝手になって欲望の虜となり、ついには悪道に堕ちてゆく。


本当に、人間とは難しいものです。


開導聖人のご生誕200年のご奉公が大きな山場を越えて、私なりに達成感の中にありましたが、振り返ってみると反省や虚しさに気づきました。今までのご奉公を振り返って、大いに反省し、大いに改良し、心機一転の新しいスタートを切りたいと決意しています。


哀しいことがなければなかなか気づけません。しかし、気づいたら改良できます。自分を省みて、一からやり直しましょう。

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