今回の団参は、イタリアという海外弘通の最前線のご奉公、そこに生きる海外の佛立信者の姿、ご信心前から学ばせていただこうというもの。何度耳で聞いてもなかなか分からなかったことを、実際に自分の眼で見ていただきたい。耳で聞いていただきたい。そして、その新鮮な感動によって、自分の信行ご奉公の改良、ご弘通ご奉公の意欲に変えさせていただければ有難い。同時に、ここで得たことを日本に帰って大いにご披露していただきたいということを申し上げた。
ローマに到着した翌日、マッシーと麻樹ちゃんのお宅で御講を奉修させていただいた。玄関まで御導師も出てきてくださり、温かく迎え入れてくださった。このローマでの御講、マッシーさんのお宅には二回目の訪問という参加者も多く、それぞれに再会を喜んでおられた。広い庭と美しい芝生。「ローマの住宅事情を考えると、こんなに素晴らしいお宅は珍しいのですよ」と、お参詣してくださったローマ在住のミホさんが教えてくださった。こうして御講が勤められるのが有難い。
しかし、ヴァレリオ君は日蓮聖人の教えは本来彼らのようなものではないはず、御題目を有難いと思う気持ちは変わらず、一人インターネットなどで本物の御題目の教えを伝える宗派を探した。そして、本門佛立宗と出会った。福岡御導師と面会し、決定して、あらためてご信心をはじめるようになった。
その後、マッシーや麻樹ちゃん、時にはフィレンツェから良誓師も彼の家にお助行に通うようになり、ヴァレリオ君は見事に元気を取り戻していった。もちろん、彼の身体は首から下は動かず、実は言葉もなかなか声にならない。会話はすべてコンピューターに映る文字で行う。それでも、一生懸命に口を動かし、鼻で息をしながら、「ナムミョウホウレンゲキョウ」と声に出そうとしてくれる。
そうした地道なご奉公、心と心のご奉公、お助行をしてくれているのがローマの皆さんである。日本の皆さんも当たり前のように日々にお助行してくださっていると思うが、ローマという大都会で、距離も離れ、お寺もない中でのご奉公は本当に大変だ。フィレンツェの御講ですら、日本の感覚でいえば数百キロ離れたところからバスや電車を乗り継いで毎月御講にお参詣しているのだから。その中でのお助行、ご奉公、そしてヴァレリオ君の身体の状態。絶望の中から希望を与え、見事に育成している姿に、「あぁ、ありがたいなぁ」と思う。事故で突然身体の自由を失うということ。それはどれだけの苦しみだろう。ヴァレリオ君の笑顔は、本当に素晴らしかった。
その後、毎回のことながら麻樹ちゃんから手作りのご供養をふるまっていただいた。これだけの量を作るのは大変なことだったと思う。麻樹ちゃんはお料理学校で学んだプロ顔負けの腕前で、麻樹ちゃんから日本料理を学ぼうとする人たちもいる。今回はイタリア到着2日目ということで、「まだ日本料理は恋しくないですね」と気づかってくださり、美味しいイタリア料理でのご馳走となった。
広い庭を散策する人たちもいて、涼やかな風の通るテラスでのご供養は気持ちの良い時間だった。ご供養の途中でローマのゆりさんも合流して、楽しい会話。ゆりさんも、毎日のお看経も欠かさずされていて、麻樹ちゃんとのご信心がとても有難いことを物語っていた。それにしても、ゆりさんの活躍を聞いていると数年前が嘘のように感じる。これも、ゆりさんがご両親のご回向をしっかりとはじめられて、日々にお看経を欠かさずにきたお計らいだと思う。
ご供養の前に、みんなで庭に出て記念写真を撮った。ローマの照りつける太陽の下、少し日焼けするのを我慢して「はい、チーズ」。撮ってくださったのは添乗員の小川さん。今回の楽しい旅はこの方によるところが大きい。添乗員の方のキャラクターでこれほど旅が楽しくなり、安全になるのかと、本当に頭が下がった。ありがたい。
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