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2009年1月9日金曜日

寒参詣で学ぶ、できる

 妙深寺の寒参詣。「キツイ」という声もあちらこちらで聞こえるが、それでも連日こうして朝参詣できる、早起き、早寝、何と気持ちの良いことだろう。
 普通の人は、「何を好きこのんで朝も眠いうちにお寺になんて行くんだ」「もっと寝ていた方が仕事もスッキリできるじゃないか」と思うかも知れない。しかし、実際にやってみてほしい。とにかく気持ちがいい。これは、たとえば大きな願い事があるとか、問題を抱えているとか、そういうことだけではなく、気持ちが良いこと、してみると有難いと思えること、嬉しくなることなのだ。
 毎日の生活や仕事の中でも学校の中でも、不思議な安心を味わえる、自分がいつもと違う、より良く変わっていることを実感できる。普通の生活では分からない、寒参詣など毎日お参詣する中で感じていくというもの。
 忙しい方、お仕事をしている方、ご家族でお参詣している方を見ていて、本当に有難く思う。夜勤明けに家に戻ることなく、そのままお参詣される方もいる。あるいは、2時間近くの道のりをお参詣される方もいる。その方は朝7時にお寺に着くとすると、5時過ぎには家を出ていることになる。この功徳はどれだけ大きいだろう。
 功徳を積ませていただくから、私たちは妙不可思議の現証、御宝前からのサインをいただく。自分のカルマ、悪循環を乗り越えて、自分の悪い点をお知らせいただき、改良できる、成長できることが嬉しい。毎日、気づける、気づき、enlightenmentがある。
 まず、功徳を積む。これは見えない貯金のようなものだ。そして、自分の罪障を消滅する。この「罪障」とは見えない借金のようなものだ。幸せの芽の上にドカッと乗っている岩が罪障だとしたら、それを取り除かないかぎり芽を吹くこともなく、大きく育つこともないから、常々に功徳を積み、罪障を消滅し、現証の御利益が頂戴できるように努める。
 この寒参詣は、功徳を積ませていただく絶好のチャンス。お参詣はもちろんだが、いろいろな功徳行をさせていただけるのだから、少しでもその方法を知って実践していただきたい。
 平日は毎日約300人のお参詣をいただく。そして毎日泊まりがけのご奉公でご供養をご用意していただいている。パッと初詣に行っただけで良い一年がくるなんて、考えてみたら滑稽だ。そんなコンビニエンスな御利益などない。寒参詣は、年頭から功徳を積み、本当により良き一年を祈り、送るための修行。ここで学び、実際に自分で積ませていただく功徳。
 寒参詣とは、お祖師さまが佐渡に流罪されておられた時のエピソードに由来して行う功徳行である。極寒の佐渡島に流されることとなったお祖師さまは、寒風が天井や壁から漏れて入ってくるボロボロの御堂に隔離された。自然、現地の人々は自分たちの信じる念仏を悪く言ってお咎めを受けた悪僧が流されてきたと聞きつけ、多くの者はお祖師さまを切ってしまおうと詰めかかった。阿仏坊もその一人だった。
 アミダ仏を悪く言う坊主など狂人に違いない、叩き切ってやる、と意気込んで塚原の三昧堂を訪れたのだが、阿仏坊は逆にお祖師さまに説き伏せられてしまった。改心してお祖師さまの信徒となった阿仏坊は、妻である千日尼と共にひもじい生活を余儀なくされているお祖師さまに日々に御供養をされた。極寒の道のりを歩いて、お祖師さまにご供養(お食事)を届けられたという()。そのご奉公、大変な功徳行を偲ぶために、私たちは最も寒い一ヶ月間、「寒参詣」をさせていただくようにもなった。
 寒参詣では、早朝の朝一番からご供養(朝食)をいただくことができる。これは、お泊まりの方が5時前に炊飯器のスイッチを入れ、用意してくださる。これも、阿仏坊と千日尼のご奉公を偲ぶご奉公で、一般の方には「なんでお寺になんか泊まるの~?」「こわくなーい?」と不思議がられるだろうが、これは「参詣する方へのお食事つくりの奉仕」ではなく、あくまでも「御宝前のお祖師さまへのご供養、お給仕」なのである。新しい方も泊まりがけのご奉公をしてくださっている。大変なご奉公だが、このご奉公の意味を知って、極寒の佐渡の朝早くからお祖師さまのお食事の用意をされた千日尼を偲んで、身体で功徳を積ませていただいていると考えていただきたい。身体で積む功徳。ありがたい。
 さらに、この寒供養で炊かせていただくお米は、お正月の御宝前にお供えさせていただくように呼びかけ、大勢の方が小さな手製の袋(これを作るのも大変だと思うが)にお米を入れて、現物としてご奉納いただいている。これは、まさに本当の食材をお祖師さまにお供えするという功徳である。
 小さな手縫いの袋。その袋を見ると「志」を感じて、ありがたい。最後には自分も食べさせていただくということもあり、新しいご信者の方も教えていただいてお供えされているようだ。寒参詣の初日、お教務さんとお参詣のご信者さんと一緒に、本堂の御宝前から2階下まで運び、寒参詣のご供養にさせていただくのである。
 毎日10升くらいだろうか、その「御供米」を炊いて、お味噌汁、お新香、たくあんなどを添えてご供養としている。その他、芋がゆの日や揚げ餅の日などもある。本当に、有難いことだと思う。
 まだまだ、書きたいことがあるが次の機会にする。御供米の小さな袋の写真。こうして手縫いの袋を作って、お米を入れさせていただき、お供えするのである。自分で名前を書き、まごころ込めてお供えしていることが、ひしひしと伝わってきて有難いと思われないだろうか。本当に有難い。また、こうした御供米の奉納が出来なかった方やお正月に間に合わなかった方でも、既にした方でも、「寒供養」といって御有志で御供養の功徳を積むこともできるので、それぞれが実践してくださっている。

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