代幼稚信要抄(扇全十二巻三一八頁)
「真実の御弟子旦那の中に御弘通に仕ふるに大に上中下の三段あり。
或曰。先生御存生中に如説抄の御折伏。随他意なしの御法門講内一同に御定め置なくは御滅後は思ひ思ひにわかれんこと歎かはしと思ひ勵む人々あり是を上等の信者とす。
次に。さためてしかあるらんなれども我等軸出ていふともかひなしと歎くのみなる。これは中等の信者也。
次にいかにともなれ。其時は其時と。たゞ傍観せるあり。これを下等となす。
○高祖。御一周忌に本迹一致はじまる日向これなり五老僧。山を出す門々わかる。一百年餘に門祖本門題目宗下種信行折伏宗御再興。
今又一同に下種宗を。口にはとなへながら皆熟脱宗になれり。爰に本門佛立宗たてり。
清風滅後を思へとも。既に祖師御在世の御時ですらあまり御あらぎなりと。をこつくものあり。われらはやはらかに弘めんとて螢火が日月をわらふが如きもあり。朝夕をしへ給へども臆病にして肝を消して退轉せしも多くしてかくしつゝ終に廣宣流布すべき上行菩薩所傳の題目宗也。
上行大士仏勅を蒙らせ給ひ末法を御受取になりたる已上はおとろへる時分々々には地涌の大士立かはり。入かはりに出世ありて御弘通絶ることなし。弟子となり師匠となり。旦那となり無令断絶。疑ひなきこと也。」
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