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2010年3月30日火曜日

ご遷化の意味

 これから、本山の御宝前に於いて24時間のお看経をさせていただきます。前回は、とにかく一人で、本山の御宝前に向かわせていただきたいという思いで、必死でした。

 藤本御導師のご遷化から、もうすぐ百ヶ日忌を迎えようとしています。すでに、良風寺は西村日要上人が御住職としてご就任・ご奉公をくだされており、良風寺の皆さまも、この想像を絶する哀しみの中で、それを何とかご信心で乗り越ええようと、ご奉公くだされておられます。藤本家のご家族はもちろん、こうしてご奉公くださっている方々のお気持ち、そのご信心を察すると、涙が出るというか、心の中で血が噴き出すような思いがします。未だに、何とも言葉には出来ません。

 私は、佛立教務として、良風寺のご信者の皆さま、藤本家の皆さまには、お懺悔の気持ちでいます。なぜか。
 今回の事件、加害者を含め、それは事件として、いろいろな事実があり、いろいろな見解があると思います。それぞれ検察や警察、病院関係者、家族やその他の関係者など、具体的な事象があり、それらを総合して、一般的な事件としての結果が導き出されることと思います。それについては、私はしばらく置きたいと思います。

 事件性とか心神喪失とか、そこではなく、もっと大きな意味で、なぜ、藤本御導師はご遷化されねばならなかったのか、という一点を、御宝前にお尋ねする時、今回の出来事の意味を深く感じて、藤本家や良風寺の皆さまに、お懺悔の気持ちが湧いてくるのです。はっきりと、分かります。はっきりと、見えます。
 もし、本門佛立宗の教務で、今回の藤本御導師のご遷化を、目の前の「因果」でしか捉えることができないとしたら、本当に情けないことだと思います。これを、もし、「たまたま~」とか「不幸にも~」などとお茶を濁すような話で終えるとすれば、その人は、佛立教務ではないのではないか、とすら思います。
 真実の仏教が常に教えているように、仏教に偶然はありません。全てが必然です。本門佛立宗のご信心は常に現証の御利益がある、と断言する以上、「これは御利益だが、あれが偶然である」ということはあり得ない。つまり、そんな曖昧なことはない。
 では、藤本御導師のご遷化は、如何なることか、如何に受け止めればよいのか、という問いが発せられる。
 藤本御導師は、ブラジル団参の際、お寺に出てこなくなったという人の話を聞いて、真夜中までお助行に出られました。海外での団参中に、です。サンパウロのご信者さんで、古くから知っておられる方とはいえ、お折伏をされるために夜の観光やプログラムなどをキャンセルして、ご奉公に出られました。そんなご奉公をされる御方です。
 藤本淳悦御導師です。あれほど、常にお看経に徹せられ、ご信者さんが苦しい、痛い、つらい、と言えば、すぐに飛び出して、その方の手を取り、一緒に涙を流してご奉公される、お師匠さまへのお給仕にも徹し、ご弘通の実を上げられている御住職(残念ながらこうした御導師は少ないと思います)、明るく、宗会でも常に前向きにご意見をされる御導師でした。
 中途半端なご奉公をされていた御方がご遷化をされたのではなく、こうしたご奉公をされていた藤本御導師がご遷化された。ご信心やご弘通ご奉公で、愚癡のような話を教務がしていると、「しんき臭い話をするな!」と藤本御導師は叱られたといいます。
 ですから、今回のご遷化は、ご弘通が衰退すると危惧されている中、本当に厳しい、御宝前からの宗門全体に及ぶ御折伏、藤本御導師の命懸けの御折伏であると思うのです。
 ブラジルの淳省師と恭子さんから、藤本御導師がブラジルでご奉公されていた当時のお写真を送っていただきました。涙があふれていきました。ここに、掲載させていただきました。
 藤本御導師の妙深寺での御法門。
 「それでは御題目を唱えている人はみんな菩薩かというと、残念ながらそうではない。御題目を唱えても、明けても暮れても自分のお願いごとだけの人はまだ菩薩ではない。そこを切り替えて、「あの人が良くなるように」、「元気になるように」、「あの人が入信をして、御題目を唱えて、みんなが幸せになれるように」という風に、ご祈願を切り替えてこそ、如来の使い「菩薩」ということになるんですね」
 「ですから、仲のいいもの同士だけの信心で終わってはダメです。その殻を打ち破って、この御題目の素晴らしさをまだ知らない人にお勧めさせていただく、菩薩行に励んでこそ、真実の佛立菩薩ということができるのです。」
 「特に今年は、立正安国論上奏七五〇年のご正当です。この十六日に上奏なさった。なぜお祖師さまは、立正安国論を上奏なさったか、それは、鎌倉時代という時代は、天変地異、大地震、台風、水害、疫病! 死体は道にゴロゴロ転がっていた、そんな時代。さらには他国侵逼の難。蒙古が攻めてくる。今の時代と同じだと思いません? 符合しているわけです。天変地異。大地震。環境破壊。我々人間による勝手な行いによって、今、地球が怒ってるんですね。疫病…新型インフルエンザ。そして、他国侵逼の難。ミサイルや核問題。みんな鎌倉時代と同じ姿が現れているんです。
 それはなぜか。残念ながら、せっかくお祖師さまや開導聖人から頂いたこの御題目のご信心が低迷してる。ご弘通が、全国各寺院だんだん低迷しております。信心が曲がれば、家庭も社会も曲がるんです。だからここでお互いが、お祖師さまがどんな思いで立正安国論を上奏なさったのか、しっかりと受け止めさせていただいて、そして信心を改良させていただいて、みんなが佛立菩薩となって、一寸先は真っ暗な暗闇の世界に、妙法の灯火を持たず、迷い、悩み、苦しんでいる方々に妙法の灯火を持たせてあげる、教化折伏のご奉公に精進させていただきましょう。」
 これから、藤本御導師のご遷化の意味をかみしめながら、御宝前にお尋ねしながら、御題目をお唱えさせていただきたいと思っています。御宝前の御意、その深い御意を、どこまで感じさせていただけているか、御本意に叶うご奉公ができるかどうか、御宝前に、お伺いします。藤本淳悦御導師の、御意を、その御弟子の一人のように、しっかりと受け継ぎたいのです。

 もちろん、ご病気の方々、いま、御利益をいただいてほしい方々のご祈願も、させていただきながら、お看経に入らせていただきたいと思います。

1 件のコメント:

  1. わたしも本山へはお参りできませんが、せめて家の御宝前で御助行させていただきます。如説院日修上人の御遺徳をしのび御題目を唱えさえていただきます。伊那谷の不肖の弟子

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