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2011年3月12日土曜日

地震発生の時

地震が発生した時、教区御講の途中でした。ちょうど、お看経から最後の言上中に御戒壇がズレ出し、お盛物やお道具などが落ちるほど大きく揺れ始めました。
お参詣者は約30名。ドリームハイツという高層マンションの9階で、激しい揺れが来ると同時に力強い御題目口唱を開始。さらに激しい揺れになり、御戒壇が左右に揺れ出しました。
内陣のお位牌がガラス側に倒れ、吊り灯籠が御戒壇の左右の壁にガチンガチンと当たり、御本尊の御額がバタンバタンと前後に浮かびだしてお祖師さまのご尊像に当たりそうになったので立ち上がって御戒壇を両手で抱えました。
前後左右に大きく揺れ動く御戒壇を両手で支えながら、背後ではご信者方が必死に御題目をお唱えくださいました。大きく大きく揺れが続き、一瞬頭の中に建物の倒壊がよぎりました。導師としてご信者を避難させるべきではないか、と。しかし、ご高齢の方もおられ、全員を退避させることは到底出来ません。揺れはさらに大きくなり、その考えが無理であることを悟りました。
両手で御戒壇をおさえ、真っ正面に御本尊さまとお祖師さまを拝見しながら御題目をお唱えしていましたが、顔を窓の外に向けました。真っ青な空。あの空の下にたくさんのご信者方が同じ揺れの中にいる。
お看経を止め、早口で「妙深寺所属教務、信徒、災難除滅・御利益感得なさしめ給え」と言上しました。正確には覚えていませんが、とにかく、住職として、ここにいる方々はもちろん、あの空の下にいる全てのご信者がこの災難から逃れられるように、そのための御題目口唱であることを御法さまに表明しなければならない。
御題目をお唱えしながら、落ちたお天目や花器などを堀田さんに取っていただいたりしました。お線香の火が妙講一座を焦がしていましたが、淳慧師が払って消してくれました。
どのくらいの時間だったか分かりませんが、徐々に、本当に徐々に、揺れが断続的になり、お看経を止めて振り返りました。お席主の三枝子さんが背後にいて涙を流しておられました。いや、一人じゃなくてよかった。これは、本当に恐ろしい地震、恐ろしい揺れ。

その後、揺れを感じながら御法門をさせていただきました。テレビを付け続けていただいて、横田さんを中心に情報を収集していただきながら。なかなか落ち着いて聴聞できなかったと思いますが、しっかりと御法門を説かせていただきました。ご信者のみなさんも、比較的落ち着いておられて有難かったです。
すぐ妙深寺に電話をかけましたが、何度連絡してもつながりません。御法門終了後、「恐ろしい映像」がテレビで流れていました。画面を観ると、まさに今、津波が巨大な生き物のように人間の営みを呑み込んでいきます。ライブ映像です。いま、このような恐ろしい出来事が起きているとは。
御講終了後、お参詣者全員が無事に帰途につけるか心配でしたが、とにかく妙深寺に戻るべく階段を下りました。すでにエレベーターは止まっていました。淳慧師と階段を下りていくと、2階の踊り場の壁がバラバラと落ちていました。1階に行くとさらに亀裂が広がっており、階段に落ちた壁の欠片を踏みながら車に乗りました。

妙深寺の教務、ご信者から大きな被災の報告はありません。私に限らず、各教区で御講やお助行が行われており、お看経中だった教区や部も多々あったようですが、何とか無事を得ました。それにしても、被害の横浜ですらこの状況なのですから、震源地近くに住む方々の被害と恐怖は想像を絶します。緊急の支援を願うばかりです。救援活動は時間との勝負です。
妙深寺では、最低でも24時間から48時間、首都直下型大地震が起こることを想定し厳戒態勢を敷いています。忘れた頃にやってくるのが大災害というものですが、とにかく、今は厳戒態勢が必要です。

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