3月20日、妙深寺の本堂で春のお彼岸、春季総回向を奉修させていただきます。一人でも多くお参詣されますように、ご家族同士、部内も、班内も、お友だち同士でも、声をかけ合っていただければと思います。
高田高校仮設住宅で、初老の女性からお聞きしたお話があります。
「都会の人から見るとこっちの家は大きくって、ありゃー贅沢だーって思われてたかも知れないけど、こっちの方ではねー、若い人はみーんな大きくなると都会に出ちゃうんだよねー。だけどー、そんな子たちも盆暮れ正月だけ戻ってくるでしょー。その、戻ってきた時のためにー、無理してでも部屋やら布団やらを用意して待ってるのー。それがこっちの暮らしだったのよー。贅沢なんかじゃなかったのよねー。
ところがさー、何を悪いことしたんだが知らないけどー、そんな家も全部流されてしまって、いま仮設なのよー、目の前壁なのよー、誰が来ても泊められる場所もないんだよー。布団さしまうとこもないのよー。なんだろねー。哀しいのよー。」
その他にも、たくさん、たくさんお聞きしました。お聞きしながら、胸が締め付けられるんです。このお話も、その口調まで、耳に残っています。
私たちの暮らし、年の瀬、お正月、お盆、お彼岸、それぞれの季節の節目を、大切に過ごさなければなりません。そう思います。
昨日、お手紙を出しました。早く高田の皆さんに届くといいなー。
20日のお彼岸、先祖を思う大切な営みです。お墓があるとか無いとか、お塔婆をお願いしているとかしていないとか、それだけがお参詣の理由ではないはずです。「私のお墓の前で泣かないでください」という歌ではありませんが、お墓参りだけでは届きませんし、新しいお塔婆を立てるだけでも正しくありません。
本堂で営まれる「回向」の「法要」にお参詣し、一緒に御題目を唱え、お焼香をし、御法門を聴聞させていただく。これが、正式な中にも正当な、春のお彼岸・総回向の過ごし方です。
今日、どうしても大切な会議があり、京都におります。京都もすっかり暖かくなっています。観測史上最速に並ぶ桜の開花。あまり喜ばしい兆候ではないように思いますが、明日は朝から横浜で総回向の準備ご奉公です。
桜が咲き始めた妙深寺へ、是非お参詣ください。
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