妙深寺創立70周年記念 体感・体験キャンプ「陸前高田 in サマー」が無事に終了し、今朝瓜生さんから教養部を代表してご報告や御礼がありました。本当に、ありがとうございました。
ちょうど午後8時に、大型バス2台、トラックも妙深寺に到着しました。大きな怪我もトラブルもなく、全員が無事に帰山・帰宅できたことは、御法さまのおかげ、ご祈願のおかげです。
第一日目の夜、千田さんや、馬場さんや、佐々木さんから、みんなでお聞きしたお話は、決して忘れません。みんなの心に、深く刻まれたと思います。千田さんは「命の大切さ」と題してお話ししてくださいましたし、キャンプ最後のご挨拶では「総理大臣になって、みんなを助けてください」と笑いながら話してくれました。
佐々木さんからは、東日本大震災当日のこと、市役所の屋上でのこと、亡くなられた奥さんのことについてお話くださいました。ご遺体が500体も並ぶ中、奥さまを探したこと。何日も見つからなかったけれど、夢の中に奥さんが出てきて、別の人の名前が書かれた棺の前で立っていたこと、そして、翌日行ってこのことを伝え、あらためて調べていただいたら手術の痕などが一致し、本当に奥さまだったこと。凄惨な、大変な体験を、お話ししてくださいました。
そして、佐々木さんは、キャンプ初日の8月6日が広島に原子力爆弾が落とされた日であるを子どもたちに語りかけました。こちらも大変な思いをしたけれど、広島に原爆が落とされて、数十万人の方が亡くなり、今でも苦しんでいる人がおられることの方が、大変なことなのだと言いました。こちらは、大自然の猛威によって、こうなりました。広島や長崎の悲惨さは、人間の愚かさがもたらしたものなんです。私は、自然を恨む気持ちにはなれません。津波は憎いけれど、本来自然は豊かで、厳しいものなのです。広島や長崎で起きたことは、これとは違う、と。だから、人間の愚かさこそ、何とかしなければならない一番大切なこと、大きなミッションのはず。みんな、この言葉を忘れず、いつまでも覚えていて欲しい。
子どもたちが長砂の山車を引きながら、陸前高田の荒野を歩いて行きました。僕たちは、米崎・沼田の方々と準備して残っていました。ずいぶん離れた時、この前起きた震度5強のことを思い出しました。
ここで、もし、いま、巨大地震が起きたら?
佐々木さんから聞いたご家族のこと、ご夫妻のこと。つなみてんでんこ。自分の命は自分で守ること。子どもたちにもしっかり伝えました。奥さんが目の前で津波に巻き込まれ、その中に飛び込んでいったご主人のこと。お二人とも亡くなられてしまったこと。
思い起こして、覚えているのだけど、ここで大地震が起きたら、やはり右の山に駆け上るよりも、子どもたちを追ってしまう。子どもたちは、もう自分たちで山に登り、逃げているかもしれないけれど、やっぱり追ってしまう。そんな気持ちに、なりました。あの、陸前高田の廃墟の中で。そう思って、走ったり、車を走らせた人たちが、あの日、たくさんいたのですね。感じました。
そして、昨日の夕方、けたたましく鳴った緊急地震速報。車の中で、全員の携帯電話から非常事態を知らせるアラームが鳴りました。関西圏、奈良が震源と出ていたけれど、それは見たこともないほど広範囲に影響が及ぶとのことでした。震度7以上。「あと2分で強い揺れが来ます」とのこと。ほんの数秒、ほんの数分の出来事です。
私たちは地上30メートルの首都高速の上にいました。頭に、これで東南海も併発するか、強い揺れが来たら、この首都高は持つか、など色々な考えが浮かびました。すぐに、ずっと後ろにいるはずのバスに連絡を取り、せめて首都圏に入らず、安全な場所にいてもらいたい、と伝えました。僕たちは箱崎で下りました。ただ、この辺りは低い土地なので津波が来たら大変だな、と思いました。そして、誤報であることが分かりました。胸を撫で下ろしました。
陸前高田でのご奉公の前に「震度5強」があり、その直後に運用後最大の誤報があったということも、すべて完璧なタイミングだと思います。とっても大切な教えです。緊張感を持って受け止めようと、お寺に戻った後の御礼のお看経で、みんなにお話しました。これこそ、「体感・体験」の「キャンプ」だったんです。お楽しみだけでもない。上辺だけで滑ってゆく慈善事業ではないんです。体感し、体験する、それが出来る、シンクロニシティに満ちた、子どもたちを育ててゆくプログラムになりました。
本当に、誤報でよかった。いい訓練となり、しかも、このキャンプの意味をさらに深いものに出来ました。
もっと言えば、今回、みんなで、まごころで、大変な中を、被災地でご奉公させていただけたから、もしかしたら、起きていたかも知れない巨大地震が、誤報で済んだのかなー、と思ってしまう。みんなが被災地で鎮魂の祈りを捧げ、ご回向、ご供養を続けて、厳しい大自然が、少し待ってくれたようにも思えるのです。もし、東南海の巨大地震が起きたら、30万人以上が亡くなるというのだから、尊いご奉公だったと思います−。
とにかく、体感・体験キャンプ。よかったです。つくづく思うのは、この時代、いい言葉や、いい話は、あちこちに溢れているんですよね。だから、教務として思うのは、読み上げの御法門など、本当のところ心に届かないように思います。デフレ社会でビジネスマンも苦しんできたように、溢れかえる情報の中で、「顔の見えないいい話」、「行動の伴わないいい話」ではご奉公にならないと自戒して、体当たりの、命をかけたご奉公をしてゆかなければならない。そう思っています。残念ながら、そういう時代です。だから、権実雑乱、白法隠没と言うのだろうし、だから、とにかくご弘通という行動なのだと思います。
モノを書くために時間が欲しいなー、と思うこともあるのだけれど、書斎の中、机の上で、いい話、いい論理を書いても、何の意味もないのですよね。最前線で行動する人が書き語り、書き語る人が最前線で行動しなければ、本当じゃないと思って自分を責めています。
漢訳した方が、どのような深い意味をもってしたか、僕には分からないけれど、本化の四菩薩に共通する文字が1文字だけあります。上行、無辺行、浄行、安立行。「行」でした。だから、見習って、そこに行くしかないのです。
表から見ても、裏から見ても、ご信心でありたいです。ご弘通でありたいです。たった一つのミッションです。ここに行けば、もう何が飛んできても、大丈夫。不軽菩薩やお祖師さまのマネをさせていただいていると、変われるから不思議。
「たのしみを かへてかしこの まねしたら あほのすること みないやになり」
子どもたちと過ごした貴重な時間は、御法さまにお見守りをいただいて、無事に終わりました。体感、体験できました。体感、体験してくれたと思います。本当に有難いです。
ありがとうございます。
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