ありがとうございます。
この度、私が館長を務めております京都の小さなミュージアム・京都佛立ミュージアムで、
「東日本大震災3年 復興支援 ハチドリのひとしずく展」
と題した企画展を開催するに当たり、東日本大震災以来ご縁をいただきてきた方々や関係団体の皆さま、あの震災が社会がより良く変わる分岐点となるように活動を続けておられる皆さまに、ご協力をお願いさせていただきたく、お便りさせていただいた次第でございます。
来る3月11日、東日本大震災から3年を迎えます。あの日以来、私自身も自分に出来ることを探して、走り廻って参りました。あの時、この恐ろしい大災害を、人類や日本人がより良く変わる分岐点にすべきだという強い思いを抱きました。しかし、すでに3年が経過しようとする中、いろいろな意味で風化が進み、やはり社会も経済優先、都市と地方、被災地と各地の距離は離れ、あの日抱いた希望も淡いものになりつつあります。
こうした状況の中で、まだ自分に出来ることはあると信じて、京都佛立ミュージアムでは3 月5 日から5 月25 日まで、復興支援を旨とする企画展を開催することといたしました。
あの日の出来事を取り上げるだけではなく、復興を目指す被災地の様々な活動を紹介させていただきたいと思っております。「復興市」を開催し、来館者が直接被災地を応援し、支援できる、具体的なアクションを伴う企画展にしたいと考えております。
そして、来館した日から、「自分に出来ることを探して、やってみよう」「被災地のため、社会のために何かしよう」「する!」と感じていただくことを企画展の骨子といたしました。
これを実現するために、明治学院大学国際学部教授の辻信一先生にご許可を頂戴し、先生が日本に紹介された「ハチドリのひとしずく」という南米アンデス地方に伝わる古いすてきな物語を、企画展の題名とさせていただきました。本当に、辻先生には、無理なお願いにもかかわらず、ご許可をいただきましたこと、本当にもったいなく、有難く、感激しております。
「ハチドリのひとしずく」とは、次のようなお話です。
森が燃えていました
森の生きものたちは
われ先にと逃げていきました
でもクリキンディという名のハチドリだけは
いったりきたり
くちばしで水のしずくを
一滴ずつ運んでは
火の上に落としていきます
動物たちがそれを見て
「そんなことをして
いったい何になるんだ」
といって笑います
クリキンディはこう答えました
「私は、私にできることをしているだけ」
素晴らしいお話です。小さな、小さなクチバシしか持たないハチドリだけど、巨大な災害を前にして、自分に出来ることを精一杯している。
私たちは、まさに今、巨きな分岐点に立っていると思います。なぜなら、東日本大震災の前に、私たちが目の当たりにしていたのは、様々な社会問題、環境問題だったからです。このままでは子どもたちに明るい社会を引き渡すことが出来ないと、多くの人が危惧している中で、あの忌まわしい大災害は起こりました。
あの時叫ばれた絆という言葉。実際に生まれた思いやりやいたわりの心や行動。大自然の力を思い知り、人間の謙虚さを学び、新たな共生の時代へ向かうべきだと、多くの人が気づいたはずでした。3月11日を前にして、また改めてこのことを考え、噛み締めて、一人でも多くの方々にお伝えして、一人でも多くの方々と共に考えたい。そうしなければ、あらゆる生命に、申し訳ないと思うのです。
このような理想を掲げても、私たちのような小さなミュージアムに出来ることは限られておりますので、どうか、みなさまのご協力、ご賛同、お力添えをいただきたいと思います。
すでに被災地で活動を行われている皆さまには、その活動を遠隔地である京都の会場にてご紹介させていただきたいと思います。そして、ご本などを販売させていただければ有難く存じます。
被災地で特産品や復興のための商品などを販売されている方々に於かれましては、復興市での販売と常時ミュージアムのカウンター横にて販売できればと考えております。
また、まさに社会がより良く変わるための活動、映画製作や講演活動を通じてご活躍されている皆さまに於かれましては、ご活動の内容を強く来館者に伝えたく、また上映会やDVDの販売などを通じて、来館者が「私にできることを探す」きっかけにしていただきたいと存じております。
監督、ならびに主宰者、団体代表、役員のみなさま、何とぞよろしくお願いいたします。
つきましては、本企画が有意義なものとなり、一人でも多くの方の意識向上と支援への参加によって、震災からの復興が、さらに加速して進捗いたしますよう、ご協力を賜りたく、謹んで、重ねて、お願い申しあげる次第です。
今後、具体的に企画内容をご説明したり、調整させていただく担当者は、京都佛立ミュージアムの委員で、四国丸亀本門寺の住職、昨年11月には「東日本大震災復興支援チャリティーシンポジウム」の実行委員長として活動されてきた小野山淳鷲師にしていただきます。
本当に、お願いさせていただくこと、長々とした文章、申し訳ございません。
どうか、何とぞ、よろしくお願いいたします。
京都佛立ミュージアム
館長 長松清潤拝、
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