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2015年10月1日木曜日

『班長さん、ありがとうございます。』 平成27年10月 妙深寺 役中テキス ト

ありがとうございます。

今月は、お祖師さまのご命日があります。妙深寺はお祖師さまの御恩の一分にお報いさせていただこうと、一年で最も大きく大切な法要のご奉公、高祖会(お会式)をお迎えいたします。

日蓮聖人の教えをいただく門下の信徒にとって、お会式ほど大切なご奉公はありません。

中山法華経寺には幹の周囲が七・五メートルもある銀杏の木があり、この木こそがお会式の大切さを今に伝えています。

お祖師さまのご遷化から二年、御三回忌の時、六老僧の一人・日頂上人は他宗との法論が長引き、法要に遅れてしまいました。私用で遅れたわけではないのですが、日頂上人の厳父、お祖師さまから直接ご教導を受けていた富木常忍さま(日常)は激怒し、

「他宗の者との法論はいつでも出来るが、お祖師さまの御三回忌は二度と来ません。報恩のお会式にお参りしない者は不義理、不知恩の者であろう!」

と言い、自身の所領であった中山に戻り、親子の縁を断絶してしまいました。

日頂上人は深く反省し、お会式に遅れた理由を述べて許しを請いました。しかし、父は許してくれません。御題目をお唱えし、七日七晩、泣きながら、銀杏の木のまわりをグルグルと廻っておられたそうですが、それでもお許しは出ませんでした。

十七年後、日頂上人は厳父が危篤であることを知りました。不憫に思った日朗上人が仲裁しようとしましたが、

「後の世の弟子やご信者への戒めのため、会いません。」

と譲らず、親子の再会はついに叶いませんでした。私たちは、このようなあまりにも哀しく厳しいお話から、お会式参詣の大切さを学ばせていただくのです。

大難四ヶ度、小難数を知らずのご奉公、お祖師さまのおかげで、御題目にお出会いさせていただけた御恩、御利益をいただける御恩、寂光参拝させていただける御恩を考えれば、せめてお参りさせていただこうと思い、精一杯ご奉公いたしましょう。

御教歌
「われ道にすゝむ心をてらし見て 仏は力 そへ給ふなり」

つくづく、この御教歌のとおりだと思います。前へ、前へと、この道を進み、この道で励もうと誓う心。御法さまはその心を照らし見て、妙不可思議な御力を添えてくださるのです。選んだ道は、どのような道でしょう。道を決めた以上は、どのような悪路でも、悪天候でも、前へ進もうと決意しているでしょうか。もちろん、決意だけではなく、実際に努力しているでしょうか。

凡夫の頭では想像もつかず、自分の能力では到底及び付かないところに、御法さまのお導きをいただいてたどり着くのです。

中途半端では分かりません。力を抜いていたら気づけません。精一杯でなければ、それは起こらないのです。何としても前に進もう、前に進まなければ、と思う心に、妙不可思議な現証の御利益は顕れます。

先月も、あり得ないような御利益のお話をたくさんお聞きしました。どの方でも、ご宝前に向かって精一杯のご信心、お看経、お参詣、ご奉公に気張り、いや「頑張ろう」と思った瞬間に、すでに御利益をいただいています。「何かをしたから、力を添えてくださる」というよりも、「よし、やるぞ!」と思う、その「心」が生まれた瞬間、その「心」が起こった刹那に、グググッと御力を感じるように思います。

こうした「心」を持ち続けている人には、御法さまからの御力添えがずっとあるのです。だからこそ、この人は確かに階段を昇ってゆき、人生の目的とするところまでたどり着くことができます。

これがご信心です。

まず「心」を起こしましょう!

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