フランクフルトは午前11時。
次のフライトは18時ですから7時間待ちです。
機内でもトランジットでも、これだけ時間があれば何でも出来ますね。
ブラジルでは新しい大統領が誕生しました。誰が呼んだのか知りませんが「ブラジルのトランプ」という異名を持ち、過激な発言で知られる保守的な人物だそうです。
支持者の地盤がしっかりしていたのではなく、左派の政権が汚職にまみれていたことから強権的な人物を「選ぶしかなかった」ということなのだそうです。
これはどの世界にも通じますね。
妄想と幻想の社会が加速しています。
噂が噂を呼び、物事の解釈はいくらでも成り立つということになり、いわゆる「客観的な事実」を信じる人が減っているというのです。
次から次に「新事実(?)」が飛び出してくる情報化社会です。
疲れ果てた人たちは「真実」を検証することに疲れて、一方的な情報を信じ込むか、あらゆる情報はウソで巨大な「陰謀」が働いていると思い込むしかなくなってゆくのでしょうか。
東日本大震災の時に教訓として学んだ「正常性バイアス」。
ひとたび「陰謀説」を信じると、何もかもが陰謀だと思い込み、あらゆる出来事の背景に事実確認の出来ない巨大な陰謀があると思うようになる。
「そうかもしれないし、そうでないかもしれない」
これを本当の「末法」と言うのだと思います。平安時代の末法思想ではなく、科学技術の進んだ現代文明に現出した「権実雑乱」「白法隠没」という分断と対立の時代です。
中立、公平、客観性。努力しなければ保てない、辛抱を強いられる難しい時代だと思います。
決めつけることは簡単ですし、言い切ることは気持ちいい。面倒なら片一方を信じれば楽になれます。
法華経本門の宗教観は、御法以外は凡夫しかいないという大前提があり、雑に、乱れて、あれもこれも信じていては時間の無駄というだけではなく、幸せになれない、幸せと言っても砂上の楼閣、虚しい幸せ、そればかりか不幸になる。
だから、ダルマ、アダルマ、サッダルマを峻別し、ひたすらサッダルマ、正真正銘の真実、その法だけを信じて、混乱の世の、難しい人生を生き抜こうというものです。
逆を言えば、サッダルマ以外に真実はない。あるとしてもそこにたどり着くのは末法だからこそ難しいと覚悟する必要がある。
努力に努力を重ね、ようやくたどり着く、人間関係の中の、悲喜こもごもの人間が織りなす、客観的な、事実。
異体同心。本当に、これほど大切なことはありません。
ご信心。これを失えば何もかもが消えてゆく。
取り戻すもの、思い返すことは、素直で、正直な、ご信心だということを、つくづく感じます。
茨木日水上人の祥月ご命日の朝、本門佛立宗ブラジル教区中央寺院日教寺のご宝前でお看経をさせていただいていた時、あたたかい涙が溢れてきました。
そして、その日にあわせて、コレイア御導師がポルトガル語に翻訳・執筆してきた日蓮聖人の最重要御書の一つ『四信五品抄』が完成し、ご宝前に奉納されました。
「信の一字を詮と為す」「一念信解・初随喜」、素直正直な信心の実践こそが答えであること。
難しい時代ですが、だからこそご信心を大切に、苦難や困難、誤解や中傷は当たり前と思って、明るく、朗らかに、ご奉公させていただきたいと思います。
学ばせていただくことばかりのブラジル出張ご奉公でした。
フランクフルトも紅葉です。
ありがとうございます。
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