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2021年5月31日月曜日

オリンピックとXゲーム


オリンピックとXゲーム


ジェットスキーはメジャースポーツではなくクラススポーツ。ご存知ですよね(笑)。


メジャースポーツは競技人口が多く、観客も多く、メディアが入ります。


メディアが入ると大きなスポンサーが付き、さらに競技人口が増え、盛り上がってゆきます。


クラススポーツは、少ない予算で大会を開催し、頭を下げてメディアを呼び、スポンサーを募ります。仕方ないことです。


30年前、スケートボード、インラインスケート、BMX、モトX、フリースキー、スノーボード、スノーモービル、サーフィンやウェイクボード、スカイサーフィンなどのクラススポーツを集めた大会がアメリカで開催されました。


それがエックスゲームズX Games)と呼ばれるスポーツイベントでした。「X」は「Extreme(エクストリーム)」という意味で「過激な」とか「極限の」という意味です。


メジャーではないけれど、クラススポーツの多くは、とてもかっこよくて、堅いルールに縛られない、ライフスタイルに密着していて文化的。若者が多く、音楽との親和性もありました。


そうしたスポーツを「アクションスポーツ」「エクストリームスポーツ」「Xスポーツ」と呼びました。


1つのスポーツでは「クラス(小さな)」ですが、それらが集まればメジャースポーツに負けない巨大なイベントになる。これを証明したのが米国のESPNが主催した「エックスゲームズ(X Games)」でした。


社会に出ていた際、ESPNと仕事をするようになり、この大会と深く関わるようになりました。米国大会、アジア大会、ついには日本独自のエクストリームスポーツイベントを開催しました。


当時もスポーツマーケティングはオリンピック委員会(JOC)というまさに日本スポーツ界を司る超巨大団体によって左右されていました。


五輪というイベントを頂点に、五輪種目(メジャーでなくクラスとしか言えない競技もあるのですが)の日本連盟、協会、各代表団体が加盟しています。JOCを頂点に各団体には予算が割り当てられていて、財務権や人事権などが集約されています。


スポーツの美徳を掲げながらメダリストによる「お金の使い方が変」という批判の声のように、役員報酬、高騰し続ける放映権、五輪貴族、五輪族など、世界最大のスポーツイベント「五輪」には理解し難いことが山のようにありました。


選手が主役のスポーツ。しかし、実際には選手の報酬は低く、アルバイトをしながらかろうじて競技を続けている選手がたくさんいます。だからこそ、スポーツの連盟や団体にはクリーンさが求められるのですが、IOC JOCはあまりに巨大な権力を持っているのでどうにもなりません。


エクストリームスポーツは、ある意味でこうしたドロドロしたしがらみ、大人たちの格好悪い動きと距離を置いて、本当に気持ちよく、かっこいいスポーツを追求しようとする営みだったように思います。


エクストリームスポーツの選手が重ねるトレーニングの努力も、事故や怪我のリスクも同じ。五輪は五輪でいいのですが、五輪の競技には「グラディエーター」のように王様や貴族の前で披露させられていたようなものも多くて、頭の中が潮焼けしていた僕のような者には興味が持てませんでした。


長野五輪の裏側では、そういう雰囲気が漂っていたのだと思います。そうした空気もあって、五輪は新しい競技を吸い込もう、取り込もうとしてきました。


伝統的なスポーツだけではなくサーフィンやスケートボードなどの人気のスポーツを入れれば、「五輪離れ」を食い止められる。いや、野球やフットボール、ゴルフがその代表だったでしょうか。


スポーツマーケティングの勝ちですね。クラススポーツだろうが、エクストリームスポーツだろうが、選手であれば五輪のメダルは最高に価値がある。そう思って当然です。選手は、常にそういうものでいい。興行主の問題が残るだけ。


1990年代の終わりに、五輪とXゲームの文化的、政治的背景を見ていた者として、今回の大会の混乱を冷ややかに、そして残念に思いながら見ています。


世界最大のスポーツイベントは古代から政治と一体だったし、政治から離れた五輪はありませんでした。


TOKYO 2020


都内には自動運転のバスが動き回っていたはずの、原発事故は完全にコントロール下にあったはずの、おもてなしの、2020東京復興五輪。


ほとんどブラフだったような気がします。2021年になっても自動運転の車は走り回っていないし、「汚染水」か「処理水」か言葉の問題ではなく原発の事故処理は完了の目処も立っていない、五輪と被災地の復興や被災者の生活再建がどう結びついているのかも分からない。


東京五輪に総合プロデューサーがいるとしたら、あまりにもお粗末だと思います。


いや、屋上屋を架す、屋上の上にまた屋根をかけて屋上を作り、さらに屋根をかけて屋上を作るような、もはや誰がイニシアチブを取っているのか、私たち民衆には分かりません。


すべて、今の日本が抱える問題の縮図のようです。


IOCJOCなんかに絡め取られないで、もっともっと新しいスポーツが、生き生きと、かっこよく、すっきりと、世界を席巻してもらいたかったな。


五輪は開催しなければ、放映権料もスポンサー費も入らなくなるから、何がなんでもやるしかないか。


五輪貴族、オリンピック・ファミリーも旅行できなくなるのは我慢ならないか。


とにかく、かっこ悪い。このままの雰囲気では選手も必死に選手を支えているスタッフもかわいそうです。


新型コロナウイルスの危機感と、五輪へ向かう先走り感が、なんともバラバラ、チグハグで言葉になりません。


メディアも新しい時代に突入しているし、この際、新しく世界的なスポーツイベントを作ってほしいな。


やっぱりジャック坂崎さんのような人が出てこないとダメか(汗)。


お坊さんらしからぬ話ですが、利権が絡みに絡んでいるのでスポーツなのに分かりにくい。ほぼ政治。


だから、八聖道の中の第一、まずは「正しく見る(正見)」ことが大事だと言いたくて。


具合悪い(涙)。

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