ページ

2022年7月24日日曜日

スリランカ経済危機 最新情報 ご報告








スリランカの最新状況 

2022722

 

ありがとうございます。

 

政治現況

現在スリランカの危機は「経済危機」と言われますが、その最大の源は「悪政」と「腐敗」です。そのため、現在の経済危機を解決するためにはやはり良い統治と政治の安定も絶対に必要となります。スリランカ第7代大統領ゴタバヤ・ラジャパクサとその内閣の辞任を求めて、抗議デモで政治的圧力をかけたスリランカ国民の目標もそのことでした。大人数で行われた79日の抗議デモの結果、12日辺りに、モルディブ、そしてシンガポールへ自ら亡命したとみられる前大統領は、14日に辞任の意向を示しました。その後も抗議デモが続けられ、暴力的になった局面もありましたが、憲法の規程通り、首相が大統領代理となり、16日に国会が召集され、大統領の辞任と、これからの政治的行程を国民に広報することになりました。そうした中、メディアでスリランカは軍事政権にはならない、何とか民主主義のまま国政が続けられるだろうとの観測が流れますと、やはり安心致しました。ただ中々収まらない、落ち着かない移行期間であったこの一週間の内に再び社会不安が高まり、抗議デモが爆発的に暴力的になるとみられたため、大統領代理による「非常状態」が再び宣言されました。そして2日間にわたり行われた国会議員の互選により、7月20日、大統領代理であった前首相、ラニル・ウィクラマシンハがスリランカ第8代大統領に任命されました。

 

今の経済危機の源である悪政と腐敗の根っこ一つは「縁故主義」であり、特に元大統領であるラジャパクサ兄弟の一族のもと、政府の有する金融資産のうち、7割は規定通りに運用するものの、残りの3割を自分たちの息のかかったグループに回すという腐敗統治が「ヤリタイ放題」になり、それどころか憲法までも自分たちの利益のために変える、ということもありました。また、そのような悪政を行う自分たちを国民に対して正当化するためにラジャパクサ家とその一派は「ナショナリズム」を煽りました。世界最古の仏教国であるスリランカおいて多数を占める「シンハラ人仏教徒」は他民族に対して、より大きな権利を有するとして自らの人気を高めていき、2009年に終わった内戦の終結にあたり、政治的リーダーシップを発揮したのがラジャパクサ一族であったことも、これに拍車をかけました。2019421日のイスラム教徒原理主義テロリストによるスリランカ同時多発テロ事件などもこのようなナショナリズムの高揚に大変な影響を及ぼしましたが、現在ではその爆弾事件もシンハラ人仏教徒ナショナリストの政治家たちによる暗黙の了解の元で誘発されたとの調査も出て来ております。民族を守る救世主のようにみられてきたラジャパクサ兄弟ですが、それに対して新大統領は、反ラジャパクサ派であるスリランカの自由主義陣営のリーダーであり、過去40年間中で6回も総理大臣を勤めた、国際的にも認められているスリランカで最も経験の深い政治家とも言われております。しかしながら彼は表では自由主義者としてふるまいながら、過去40年間、ラジャパクサ一族らの政治腐敗をかばってきたという背景もあり、そのため彼は大統領として「任期」を得ましたが、国民の「人気」を全く失っています。最新情報によると彼を支持するのは国民の3%程であり、新大統領とその新内閣がどこまで続けられるかも疑問です。今後は短期間の連立政権を立ち上げた後、経済危機の最悪の時期を乗り越える事業を実行し、なるべく早く全国選挙を行うことが国にとっては最高であると思い、願っております。今のラジャパクサ家が手を加えた憲法を廃止し、もっと民主主義的で人権保護と腐敗防止を目指した憲法法案を国会に提出する準備もできているようです。この新憲法では大統領制も廃止される可能性があります。

先日、暫定的な新大統領の任命直後、コロンボの「平和的な抗議デモの中心地」であるゴールフェースの地で、デモ参加者を軍や警察の力で強制的に退けるという事件が発生しましたが、これは大変な人権侵害です。政府は国民の不安を理解して動かないと現在の社会不安の解決がますます遠ざかります。

 

必要品現状

最新の情報によると、スリランカはWHOJAICAWFPより食品と薬品、そして農薬の寄付を相当程度いただいています。また世界銀行の資金援助により4か月分のガスが届けられました。現在計画停電が一日当たり3時間続いていますが、それは最初の13時間~9時間程度の停電と比べると何とか耐えられます。

燃料不足がまだまだ続きます。ただ、先週中にガソリン、ディーゼルと経由の船が到着したので一般の車両にも燃料が入れられることになりました。車両登録番号の最後の一桁によって、ガススタンドへ行ける日が決められております。各車にQRコードがつけられ一週間の燃料の割り当てが定められます。一般の交通は少ないけれども先週より動いております。

私の場合は16時間並んで、やっと行列の前から三番目に入ったところで、スタンドのガソリンが売り切れてしまい、次のスタンドにまた並びに行くことになったりしております。来週、更なるガソリン輸送船が到着しますので、それで行列が短くなるよう、そしてQR コードシステムがもっと発展してしっかり燃料の割り当てが行われることを、望んでおります。今の一週間の燃料割り当てででは、これまで通りにお助行などに回ることが難しいと思われます。ただし、HBSとしての支援活動にも私達の弘通車が使われるということは区役所、地元の警察署などにも知られていますので、特別割り当てをいただけるのではないかと期待しております。そのほかに短距離のご奉公に自転車を使用すること、近辺の御信者さんにも御参詣に自転車をお勧めしたいとも思っておりますけれども、経済危機の影響で普段は7千ルピーだったはずの自転車一台は今56万ルピーとなっております。これはインフレでなくブラックマーケットの動きのせいです。

 

ご奉公と支援活動

非常状態の中ですがご奉公や別院、親会場の法城護持は異常なく務めさせていただいております。御参詣は来週、再来週と増加する見込みです。今の所はオンライン参詣が進んでおります。御信者さんは全員無事でいます。

 

HBS支援プログラムも進んでおり来週は妙深寺コロンボ別院のある地域の警察署のオファーのもとHBSフードサポートをさせていただく予定となっております。

 

合掌 

ディリーパ良潤拝(妙深寺スリランカ・コロンボ別院)

0 件のコメント:

コメントを投稿