2月1日、夕方から京都で開催された公益財団法人 全日本仏教会の「年頭のつどい」に出席しました。
本年は能登半島地震の甚大な被害を目の当たりにして新年懇親会を中止、その趣旨を能登半島地震の災害支援の呼びかけと発生当初から支援活動に尽力する大阪大学の稲場圭信教授の報告をお聞きする会として開催されました。
稲場先生の講義は能登半島地震の被災地の実情を伝える、極めて意義のある講義でした。
「能登半島地震はこれまでの大災害と様々な面で異なる。当然ながら対応や対策も異なる。これらを迅速に行うべき」
「能登半島地震は自然災害であるが、すでに『人災』と言える」
「被災地に来ないでというメッセージは誤りであり、誤ったまま拡散している」
「宗教者、宗教施設に、災害支援、被災者支援のための大きな可能性がある。特に県外者に対する警戒心の強い土地や地域では地元のお寺のつながり、お坊さんという存在は受け容れやすく、今後は傾聴ボランティアなどに努めていただきたい」
様々な示唆をいただきました。石川県知事の発表を聞き、活動を躊躇していた方々が多くいたこともハッキリしました。
県外ボランティアによって渋滞が発生して救助やオフィシャルな復旧活動に支障が出るとか、火事場泥棒などを助長するとか、ネガティブな情報ばかり出されましたが、実情はそうではありませんでした。
やはり、発生当初から迅速に動き出した方々は、被災地に迷惑を一切かけることなく、行政の手が届かない被災地、そこにいる避難者を支援している。民衆の力、行政の力、しっかりと合わせて、活動できている、と。
数日前と紹介された写真、酷寒の避難所でいまだに自作のダンボールの囲いで寝ている方々の姿。写真を見ていると税金を払うのが嫌になるくらい酷い状態です。
昨夜のニュースで仮設住宅が数棟建ったと報道されていましたが、プロパガンダに見えます。インスタント住宅や避難所に段ボールで作るプライベートスペースなどなど、スタートアップの企業や団体は、トンチとパンチを使って素晴らしいプロダクトを準備してきたのです。
なぜ、これほど遅く、これほどステレオタイプの動きや、やり方が、まかり通るのでしょう。
外圧がないと変われない国。癒着、硬直、これではどうしようもないです。権力が変わらないから、みんな油断して、イノベーションしない。それがガラパゴス、日本なのでしょうか。
批判ではなく、稲場先生は日本の仏教諸団体、僧侶らに対して、前向きな提案をされました。これらを受け止めて、能登半島の被災地へ向けて走り出さなければならないと思いました。
いずれにしても、この第35期、全日本仏教会で国際交流審議会の委員長を拝命し、無事に答申書を提出して任期を終えられることを有難く思います。
諮問内容は2つありましたが、1つは世界仏教徒会議(WFB)のバンコク宣言「危機の時代にある仏教」を受けて、全日本仏教会として成すべきことを審議するというものでした。
任期中、パレスチナとイスラエルの紛争、米国史上過去100年で最悪の被害を出したマウイ島の山火事、元旦の大地震などがありました。マウイ島では3つのお寺が全焼し、気候変動による自然災害が日系移民の歴史を見守ってきた寺院を直接的に破壊する事態を目の当たりにしました。
昨年9月には国連の事務総長が「地球温暖化から地球沸騰化時代」「人類は地獄の門を開いた」と発言するなど「危機の時代」を痛感しながら審議を重ねることとなりました。
いずれにしても、今期の国際交流審議会は答申を理事長に提出し、その課題を来期に引き継ぐことが出来ました。
人類が自ら招いた危機なのですが、もはや巨大な彗星が地球に迫っているとか、巨大な怪獣が暴れているのと同じくらいの大変な危機ですから、力を合わせるしかありません。迫り来る危機を克服しなければなりません。そのために努力を惜しむことは許されないと思います。
無論、その核心は「正法」の興隆。「群盲、象を評す」ような姿勢で仏法を論じることは出来ません。真実の仏教による人類の「心のエネルギー革命」こそ危機を救う道と信じます。
いずれにしても、大変意義深い会合でした。
2月早々に京都を往復しました。今夜の長松寺は淳慧師に代行していただきます。よろしくお願いいたします。
ありがとうございます。
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