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2009年5月18日月曜日

美奈子さんの御戒壇

 妙深寺は、試行錯誤しながら現代の人々の暮らしに息づく御戒壇の在り方を模索してきた。
 私自身、海外のご奉公で見させていただいてきた御戒壇を参考にしながら、急速にライフスタイルの変化した人たちにとって、荘厳で、真心と志がこもり、お敬いしてやまない御戒壇の建立を考えさせていただいてきた。このことは、すでに「出来た!新しい御戒壇! ひろし君の御講」で書かせいただいたとおり。あくまでも、何でも良いということではない。何度も何度も考え、御法の御意に適うよう、ご奉公させていただいてきた。
 ブラジルのクリチバ。私たちは女性信徒の方のお宅に伺った。そのお宅の御戒壇は、30畳はあろうかと思われるリビングの中央に置かれていた大型のキャビネットのような御戒壇だった 御本尊さまを照らす御灯、生けられているお花はひまわり、須弥壇から前机はガラス。洋風のリビングに、まさに、際だって「荘厳」されていた御戒壇だった。
 実際、このクリチバはコレイア御導師がご住職をされている都市で、今や日系ブラジル人よりも日系以外の方々がご信心をされている場所。そこに息づき、発展を続ける中で、イタリアやスリランカと同様、信心を腹に据えた上で各国の文化やアイデアをこらした独自の発展を続けている。その最たる例が、「御戒壇の建立」ということになる。
 その他のお宅でも、伺ってみると「御戒壇は父の手作りなの!」とか「これは、開拓民だった祖父が作ってくださった」という「手作り」の御戒壇に出会う。以前も書いたが、戦後の日本の佛立信徒だって、御戒壇は手作りというお宅が多かった。妙深寺の執事長の家のお宅では、ミカン箱に白い布を張って、精一杯お敬いして荘厳したのが御戒壇だったというのだから。
 また、クリチバのお寺のご宝前も霊鷲山を思わせるような荘厳だが、ブラジルのリオ・デ・ジャネイロにあるお寺のご宝前はすごい。圧倒的な迫力。
 こうした御戒壇を拝見していると、洋風のマンションやアパートに住むご信者さんにマッチした佛立の御戒壇を建立してゆきたいと心から思う。
 昨日、神港教区の教区御講だった。30名ほどのお参詣の中で、着物を着て、はじめてのお給仕係をしてくれたのは美奈子さんだった。美奈子さんは、まだご信心をはじめられて日が浅い。約2年かなぁ。でも、一歩一歩、随喜を忘れずにご信心を進めてこられた。今月号の妙深寺報でも、彼女が仕事の中で感じていることが掲載されている。世界中の人々が安全に暮らしてゆくため、オーガニック・コットンの普及に尽力してきた彼女が、今は自然栽培による食物について勉強をしており、その中で、ご信心から学ぶこと、御法さまからの「気づき」をたくさんいただいているとお話ししてくださった。この内容については、ぜひ寺報を読んでいただきたい。
 その彼女が、このたび御戒壇を建立された。御講の中で写真を見せていただき、あぁ、ありがたい、と思って、ここに写真を公開させていただく。すべて、手作り。すごいなぁ。よく、ここまでされました、と。感動した。お供水のビンも、大きいなぁと感動。真心をこめて、大切に護持していただきたい。
 別に、手作りがすべて良いと言っているわけではない。今月、先生のお宅が御戒壇を建立された。いろいろと考えられた中で、最終的に佛立宗のスタンダードで、しっかりしたものを建立させていただこうと決定(けつじょう)され、求められた。その御戒壇が家に到着して安置させていただいた喜びを、メールでくださった。もう、奥さまも感激してくださり、嬉しい、嬉しい、と。その感動が、御戒壇建立の基本、根本、原点なのだ。
 自宅に御戒壇を建立していない人は、御本尊をお迎えしていないということになる。あるいは、ご信心をさせていただくようにはなったが、懐中御本尊だけという方もいる。そういう方は、ぜひ御本尊をお迎えし、御戒壇を建立させていただこうと、一歩前に進まなければならないと思う。あるいは、ご信心を始めた時は、教化親の言われるがままに小さな御戒壇を求めて、そのまま数年が経過しているという方もいる。そういう方は、ぜひ自分で、御戒壇の新規建立を考えていただきたい。幸い、自分で作らなくても、立派な御戒壇が日本にはたくさんある。何より、「建立の志」が大切。
 あー、ありがたい。そういう私は、住職になってから、谷内田さんという妙深寺の大功労者の方から、御戒壇をお譲りいただき、御修復をさせていただいて護持させていただいている。本当に、ありがたい。ありがたいから、是非あなたも。家の柱、心の柱を作る、建てる、ということだから。

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