2025年5月8日木曜日

東京の火葬場の70%が中国資本傘下へ?


一人の宗教家として東京の火葬場をめぐる近年の変化に深い懸念と矛盾を感じます。


東京都23区内の主要な火葬場(全9ヵ所のうち6ヵ所)を運営している「東京博善株式会社」が中国系資本の傘下に入ったことを知りました。これは単なる企業買収の話ではなく、人生の最期に直結する場所が急激に民間化・外資化されているという現実です。


東京には保守的な価値観を持ち、中国に対して警戒心や批判的な意識を抱く人が多くいます。にもかかわらず、その人々が、最終的に送り出される場所「火葬場」が中国系企業の経営下に置かれているというのはあまりに皮肉です。


本来、火葬場というのは極めて公共性の高い施設であり、宗教や宗派を問わず誰もが平等に利用できるべき「聖域」に近いものです。そのような場が、東京においては過度に民営化され、しかもその経営権が海外資本に移ってしまったことは行政の責任放棄ではないでしょうか?


東京博善は1887年に創業し、1994年からは印刷業の廣済堂の子会社として運営されてきました。しかし、近年の印刷業の不振により、廣済堂の経営は厳しい状況にありました。その中で、2021年9月、廣済堂の大株主であった麻生グループが保有株式の一部を売却し、中国出身の実業家・羅怡文氏が会長を務める企業がその株式を取得しました。さらに、2022年1月には、羅氏に関連する投資会社が第三者割当増資を通じて廣済堂の株式を追加取得し、持株比率を40%以上に引き上げました。これにより、東京博善は実質的に中国資本の傘下に入りました。 


東京博善の旧親会社である廣済堂ホールディングスが麻生グループから手放された過程には疑問が残りますが問題はそこではありません。問題はこうした重大な社会インフラに対して、日本の政治がまったく機能していないということです。


東京博善の経営方針の変更は都内の葬祭業界全体に大きな影響を及ぼしています。2022年7月には東京博善が地元の大手葬儀会社と合弁会社を設立し、従来は葬儀社を通じて行っていた火葬場の予約や手配を自社で直接行う体制を整えました。他の葬儀社から不安の声が上がっています。事実、すでに傘下全施設での値上げが実施されました。恐るべきことです。


民間の論理、企業の利益だけでは扱いきれない「死」や「弔い」の領域に、国家が関心を失っています。これらは政治の無能さの象徴であり、私たちの死生観、ひいては人間の尊厳が静かに軽んじられていく兆しでもあります。


命の終わりに関わる場所の在り方、そして「死を公共のもの」として守る仕組みを見直す時ではないでしょうか。


あらゆる組織は腐敗します。

あらゆる権力は腐敗します。

獅子身中の虫、獅子を喰う。


ここまで虫が増え、奥底まで喰われたら建て替えるしかなくなります。


世の中には「発酵」と「腐敗」の二つしかありません。何かを築き、生み出し、熟成させてゆく人か、寄生し、腐敗させ、喰いつぶす人か。


あらゆる組織から腐臭が漂っています。

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