だから、充実したご奉公となる。誰も「やらされている」とは思わない。それぞれが責任を感じ、それを果たし、互いに補い合う。
だから、みんながヒーローとなる。だから、感謝や敬意、愛が心に湧いてくる。
持てる者が持たざる者にする支援ではない。私たちは「させていただいている」のだから。人は、心から人のために働けた時、何かに気づく。人生の風景が変わる。これは自分が幸せになるためのメソッドなのだ。
だから、私たちが被災者の方にかける言葉は、「こうした機会を与えていただいて、ありがとうございます」となる。「させていただけて」「ありがとうございます」となる。
誰かを理解し、支え、助けようとすることでしか、人は幸せにならない。だから、時間やお金や物を費やしても、こんな素敵なご奉公の中にいる自分たちを幸せだと感じるのだ。
ふわふわと浮かび、漂っていた自分の生命が、本当の献身、本当のご奉公によって、結びつく。大きな大地にたどり着く。利害や私情を超えた人と人との絆の中で、人は「人間」となる。
今回の炊き出し、総勢約65名。被災地を見て、被災者と触れ合い、実際に皆さんのために汗をかき、笑顔や笑い声が出るように必死になる。
そして、今日は亡くなった方々のために、陸前高田の海辺の近く、体育館の階段の上に大御本尊をご安置し、65名で一座のご回向、御題目口唱の法要をさせていただいた。炊き出しに参加してくれたご信者さんも、そうでない方も、みんなで御題目の声を重ねた。
Across the universe。私たちの視線は、持てる者と持たざる者との境界もなく、強者と弱者、生者と死者の境界をも超えて注がれ、その愛や慈悲は、息を合わせ、心を通わせながら行うご奉公によって、あらゆるものに届き、無限に広がってゆく。
思う。これほど重要な人生の研修はない。これほど貴重な菩薩を育成する機会はない。だから、これだけ多くの方々に参画していただけて、本当によかったと思っている。見て欲しかった。して欲しかった。触れて欲しかった。交わして欲しかった。そして、感じて欲しかった。
いま、闇の中の東北道を、ひたすら南下している。東京に着くのは午前0時を回るだろう。みんな疲れ果てている。しかし、その顔は何とも言えず満たされていて、何かに気づいた人が持つそれになっている。
平日のため、会社を休んでまで参加してくださった方々ばかり。だからこそ、この機会がこれからの人生をよりよく生きるためのターニングポイントとなり、実際にそれが実現すると確信している。
本当に、ありがとうございました。
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