2008年11月22日土曜日

本当の仲人 今日の結婚式にて

 今日は、15時から本堂にて結婚式。素晴らしい晴天の下、嬉しいご奉公だった。
 今日のお二人と初めてお会いしたのは、新郎のお父さまがご病気になってからだった。お母さまは、妙深寺でよくご奉公してくださっており、教区の中でも素敵な笑顔で雰囲気を和らげてくれる存在だった。そのご主人は、お参詣の送り迎えでお会いしたり、壮年会に顔を出してくださるようになって、私はなぜかその人柄が大好きになった。はみかみがちで、スポーツマンで、楽しい方で、時を経るにつれて受持御講師の送迎のご奉公や法城護持、さまざまな場面でご奉公をしてくださるようになった。
 そんなご主人が大変な病に冒されていると知った。診断から手術、それから闘病生活がはじまった。お寺をあげてお助行をさせていただき、教区の人たちも受持御講師を先頭に、よくよく思いやりのお助行をしてくださっていた。
 そんな折、息子さんとお会いした。そして、同じ頃、新婦の明子さんともお会いした。闘病中のお家の中で、御講をいただいたりする中で、新郎も新婦も、お父さんの身体、お母さんの気持ちを深く思いやり、ご信心のことも理解しようと努めてくれていた。私は、その姿に、本当に頭の下がる思いだった。
 元気に回復してくださると信じていたし、帽子をかぶりながらお寺参詣も出来るようになったと思って安心していたが、私の父の時と同様に、徐々に身体はお痩せになり、体力も失われていってしまった。そんな中、何度となくお宅に伺い、お助行させていただき、一緒に御宝前でお看経をあげさせていただいた。臨終直前まで、お宅に伺い、ソファーで寝ているご主人の肩、背中、足をさすりながら、御題目をお唱えさせていただいた。そんな過酷な闘病の家の中、二人はご両親を見守っておられた。
 本当は、お父さんの病気がなければ、もっと早く結婚を挙げておられたのだと思う。事実、そうお聞きした。しかし、お父さんのご病気があり、二人の中でたくさん話し合って、一周忌が終わってから、こうして晴れて結婚式を執り行うこととなった。
 私は、今日の朝から、お父さんのことを頭に浮かべながら、お看経をさせていただいていた。喜んでおられるだろう、二人に感謝もしているだろう、見守っているだろう、と考えると、涙が浮かんできた。もしかすると、新婦に対しては「申し訳ない」と思っておられたかも知れない。しかし、だからこそ、これからの二人を、ずっと見守ってくださるに違いないと確信した。
 お父さんのいる御宝前で、二人は華燭の式典を挙げた。本当に、「篤姫」のように綺麗で、見事な姿だった。二人とも、心から幸せそうだった。御宝前が光り輝いて、二人の門出をお祝いしてくださっているようだった。三三九度の姪っ子さん、甥っ子の翔太君もかわいかったし、キチンとご奉公してくれた。
 何より、私はご挨拶で、普通、結婚式で使ってはいけないとされる言葉があるが、ここはお寺、生老病死のある、人間のありのままを話させていただきたいと言い、お父さまの看病と二人について思っていることを述べた。本当に、あの時から二人は立派だった。
 「病は成仏の仲人」という。なかなか、人間というものは難しいもので、普段は自分にとって何が大切か、忘れてしまう。気づけない。気づいていても、それが行動に移せない。それが、人生の中の辛い出来事、特に病気のような大変な事態になって気づくことがある。今日は結婚式だから「仲人」という言葉も耳にすると思うが、そうした苦しい体験こそ幸せになるための「仲人」であると教えていただいている。お父さまのご病気、闘病、看護、そして別れなど、二人は結婚する前に大変なことを経験した。それを、二人で経験し、乗り越えてきた。そのことこそ、幸せになるための仲人だと思う。どうか、お父さまが病気を通じて教えてくださったことを忘れず、幸せになっていただきたい、と申し上げた。
 聞くところにとれば、今回二人は結婚するに当たって仲人さんを立てておられないという。しかし、二人にはお祖師さまが教えてくださっているとおり、本当の「仲人」がいるのだから、幸せになることは間違いない。もし、何かあったら、いつでも何でも、僕に言ってきて欲しい。もちろん、しっかりとお参詣し、お父さんへのご回向も忘れてはいけない。「しっかりご奉公します!」と言ってくれた新郎の言葉に、また、涙が浮かんだよ。
 本当に、幸せそうな二人。このようなご奉公をさせていただくことができて、本当に、こちらの方が幸せでした。ありがとうございます。

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