2008年10月26日日曜日

BMICHの毛沢東

 スリランカは、その歴史的な経緯から、各国の支援によって発展を遂げてきた。
 驚くべきことに、いつも海外でのご奉公が終わると、テレビでその国についての特集や話題が放送される。イスラエルから帰った直後も、イスラエルで起きているパレスチナとイスラエル軍の交戦、パレスチナ自治区を取り囲んで建設されている「壁」について放送があった。私も自分の眼で見てきたばかりだったので、深く思うところがあった。
 ブラジルから帰国した時にも、当然ながら日系人ブラジル移民についての放送があり、イタリアからの帰りにもイタリア特集が放送されていた。
 そして、昨日、NHK特集で、またスリランカの世界遺産、私たちが入った仏歯寺についての特集が放送されていた。また、シンハラ人とタミール人の抗争、テロや紛争が続くスリランカについて深く掘り下げ、それぞれの民族にインタビューを重ねて、実際には非常に限定的で、ほとんどのスリランカ人が平和と協調・共存を望んでいることを明らかにしてくれていた。有難い。そうなのだ。本当に、そうなのだから。
 BMICHは、中国政府からの援助・供与によって建設されたという。立派な大ホールだが、2階の巨大なエントランスの中に、大きな胸像が2つあった。近づいて見てみると、それは毛沢東と周恩来の胸像だった。不思議な気持ちだ。不安定で、発展途上のスリランカに、各国の援助が入り乱れている。それは、きっと必要な支援なのだろう。しかし、それぞれの思惑が重なって、胸像を見ながら複雑な気持ちになった。
 スリランカは、恥ずかしい一面もある。世界の中で、これほどまでに大臣の多い国はない。僧侶が国家公務員的に各省庁に配置されているから、汚職などは是正されるかと思いきや、政治は極めて腐敗しているという。貧しく、まだ発展途上にあるスリランカ。どうか、様々な国の思惑に翻弄されることなく、政治的な腐敗がこれ以上続くこともなく、豊かで、人々にとって本当の意味の「発展」を遂げて欲しいと思う。私たちは、スリランカの政治などに興味はない。それは、国家や国民の努力で、あるべき方向に進んでいくだろう。しかし、その人間の営みの根底に「ご信心」をお届けし、スリランカが真に豊かになるために、その一助として、草の根の、本質的な支援、ご弘通ご奉公を続けさせていただきたいと思う。

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