2009年5月5日火曜日

アシュリーちゃんの旅立ち

 ゆかちゃんからのメールに、アシュリーちゃんのことが書かれていた。
 ゆかちゃんは、先月末に手術を受けた。毎朝、術後経過良好のご祈願をさせていただいているが。いま、闘病中のゆかちゃんからのメールに、難病と闘ってきたアシュリーちゃんのニュースと彼女が生前語っていた言葉が寄せられていて、ゆかちゃんは、意味のないことは一つもない、自分も頑張る、ありがとうございますと、前向きな言葉でメールを結んでくれていた。本当に、ありがたい。
 遺伝子の異常により、通常の人に比べ約10倍の速度で老化が進む難病「プロジェリア」。患者数は世界で30人~40人しかいないと言われ、平均寿命は13歳といわれている恐ろしい病である。日本でもフジテレビの「サイエンスミステリー」など、何度かアシュリーさんの闘病生活を記録したドキュメンタリー番組が放送され、この難病や、アシュリーちゃんについて知る人も多かったと思う。過酷な運命の中で、ひたむきに、明るく生きる彼女と、彼女を支える母、家族、友人たち。 そのアシュリー・ヘギさんが亡くなった。享年17才。新聞等に彼女が生前語っていた言葉が紹介されていた。
「プロジェリアという病気をどう思っているかは、昔と変わってないわ。わたしがプロジェリアだということには、ちゃんとした理由があるの。神様が与えてくれたものだから、すてきなことなのよ。だから、わたしは大丈夫」。
この言葉を、ゆかちゃんは私にメールしてくれたのだった。
 私も、彼女は「私は幸せよ」と言って笑う姿に、ひれ伏す思いがした。「衆生病む故に、菩薩また病む」とは、彼女の言葉から教えていただくようなお言葉。病に苦しむ人が、どれほど励まされることだろう。彼女ほど、過酷な運命と病に向き合っている人など、そうはいない。病のある人だけではなく、健康な人の心にも、彼女の言葉は突き刺さるはずだ。
 彼女は、こうも言っていた。「プロジェリアじゃなければいいのに、なんて思わないわ。わたしは、わたしという人間であることが幸せだもの」。本当に、あらためて、ひれ伏す思いになる。
 お祖師さまは、
「病ある人佛になるべきよしとかれて候。」
と仰せになっておられる。病のある人が仏になる、とまで御妙判されている。そこで、気づくことがある。そこから、はじまることがある。その方の言葉、生き方、生き様が、人を教え、導いてくれる。気づかせてくれる、大切なものがなにか、を。
 彼女は、その言葉の中で「神様が与えてくれた」と表現している。この部分にだけは、お祖師さまの言葉を思い返すと、気にはなる。どうしても、「神が与えた病」と聞いてしまうと、聖書の「ヨブ記」を思い出す。
 神と悪魔が勝負をして、敬虔な信者であったヨブを試す。それでも信仰を捨てないか、と。家畜を殺し、子どもたちを殺し、最後はヨブ自身に恐ろしい病を与えて彼の信仰を試す。それでも、信仰を捨てないヨブを、最後に誉めることにはなるが、「神が与えた病」ということを、「法」「因果」の仏教的な視点から見てみると、どうしても違和感が残る。因果を離れて、神の一存で病になったり、ならなかったり、ということではない。一神教と仏教の違いを、どうしても考えてしまう。ヤボかもしれぬが。
 しかし、いずれにしても、Something Greatを信じ、アシュリーちゃんは素晴らしい感性で病を受け入れ、生きていること、生かされていることに感謝し、精一杯生きた。そのことに感激し、自ら学ばせていただき、反省し、感謝したい。私たちも、精一杯生きなければ。
 そして、いま、病にある人のために、できることを、させていただきたい。どうか、日頃お願いしている方々へのご祈願、お看経をよろしくお願いします。私も、もっともっともっと、自分の在り方を見つめて、改めて、全身全霊で頑張ろう。

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