あっという間に時間が過ぎてゆきます。
3月12日、静岡と神奈川の役員が大和の法深寺に集い、支庁協議会のご奉公をさせていただきました。それぞれのお寺の3.11。有難いです。
平成25年3月11日。厚薄浅深、その差はあれど、特別な意味を持つ、特別な一日が過ぎました。
私たちは、朝9時から高田高校仮設住宅の「珈琲日和」で、皆さまと一緒に、楽しい時間を過ごすことが出来ました。
春ちゃんも、長男も、皆さんに可愛がられて、おしるこや、炊き込み御飯や、煮物、お漬物、干し柿など、食べ切れないくらいたくさんのご馳走をいただきました。笑い声が絶えない、そんな明るい場所と時間。みんなで記念写真まで撮って。嬉しかった。
11時、大塔婆の前に移動して、3回忌の正当法要を勤めさせていただきました。13区に住まわれていた皆さまと、この高田高校仮設団地にお住まいの方々も参列くださいました。
13区だけで約60名もの方々が亡くなられました。「この地区に住んでいた者の4人か5人に一人が亡くなってしまったことになります」と、佐々木さんがご挨拶の中でお話になりました。あらためて、胸の底に、重たい何かを感じました。お世話になりっぱなしの千田さんのご挨拶。熊谷さんも参列くださり、大介さんとも再会できて、とっても嬉しかったです。
そして、ロータリーの方々が建ててくださった小屋に移動し、みんなで茶菓をいただきました。そこで、お聞きしたことを、少し書きます。
仮設でお会い方々からお聞きする話。たくさんあります。法要の後、わざわざ私たちの前に来てくださって、話をしてくれた方もそうでした。大震災の当日のことを、自分がどこにいて、家族がどこにいて、どこを、どうやって走って逃げたか、家族がどうなったか、家はどうなったか、どうやって生き延びたか、細かく、詳細に教えてくださいます。
そして、その方は、あたたかい東北弁で、話を聞かせてくれました。きっと、60代後半の方だと思います。
「俺は、自分の為に話してるのさ。ごめんね。時々、話をしないと、言葉にしないと、だめなんだよ。」
「家を流されて、仮設住宅に入った。最初はあそこにいてさ、次にあっちに移動して。」
「ドーム(サンビレッジ)にいたんだけど、震災からしばらく余震がすごかったのさ。暖房さ付けてるとドームの天井が結露してるでしょー。ドーン、と下から揺れが来ると、ドームの天井からボタボタボターって、雨よりすごい水滴が落ちてくるのさ。顔から、布団から、ずぶ濡れになるのさ。そりゃ、ジメジメして、参ったよ」
「一本松。俺は、枯れてしまったのを直すのも、どうでも、何も感じなかったのさ。ほんと、どっちでもいいと思ってのさ。賛成でも、反対でもなかったのさ。でも、ああやって、戻ってきて、うれしかった。それだけ。ただ、それだけ。うれしかったね。それは自分でも、分からね。ただ、不思議だったね。あれで、みんなが陸前高田に来てくれるなら、いいんでねーかな。観光の目玉にもなるよな。とにかく、うれしかったよ。」
こうしたことを、眈々と、次々と、僕たちの目の前で話してくださる。そして、何度も言われるのです。
「自分の為に話してるのさ。」
「被災者だな、惨めだなって感じたのは、親戚の葬式に行った時だな。避難所だから、何にもないし、着るものもジャンパーで、そこに咲いてた綺麗な花を摘んで、持っていったのさ。そしたら、親戚の連中は喪服を着てて、俺らはそんな格好で、花もそんなんで。その時は、情けねえな、と思ったな。」
「一番哀しかったのはさ、子どもの姿だったな。お父さんが津波で流されて、お母さんは毎日遺体安置所を廻るのさ。その時は、子どもを避難所に置いていく。みんな、優しいんだよ。みんなその子の面倒を見る。でも、お母さんが帰ってくると、走っていって、ギューっとスカートの裾を握りしめて離さない。ギューってして、離さなくなる。それを見るとさ、もう、悲しくてな、涙が出て、今でも、それを思い出すと、泣けてきてな。」
そう言って、また、私たちの前で、涙を流されていました。そのストレートな涙が、その他の言葉を奪ってしまいます。陳腐な、慰めの言葉や、上滑りの、理屈っぽい言葉なんて、全く無意味で、失礼な、何の役にも立たない。その方の、涙が尊くて。
振り返れば、今まで通わせていただいていて、まともな、教務らしいお話なんて出来ていません。ただ、ひたすら、ご縁をいただいて、お会いできて、お話を聞いていただけのように思います。それだけで嬉しかったし、それしかできなかった。今もまだ、それしか出来ていないようにも思います。そして、それが大切であるし、そこからしか始まらないとも思うのです。
14時半から、福田さんのお宅の跡地に建立された大塔婆の前で、お看経させていただきました。私たちは黙祷ではなく、御題目をお唱えしながら、14時46分を迎えました。有志の皆さんが集まって、お参詣くださっていて、有難かったです。
また、長い文章になりました。でも、3月11日にお聞きしたことを伝えたかったので、書きました。まだまだ、ご奉公を続けてゆきたいと思います。
ご挨拶でもお話させていただきましたが、一般的に「三回忌が終わると次は七回忌」といって、ご回向でも一区切り、数年間の空白が生まれてしまうことがあります。そう考えると、さらに、一気に、風化してゆくことが予想されるのです。まだまだ、30万人以上が避難生活を余儀なくされています。若い世代の人口流出に歯止めがかかりません。ポッカリと、何かが空いたままです。ですから、ここからが本当の勝負だと思います。ここまでは、出来た。でも、ここから、です。みんなに、また再会したい。また、お話を聞かせて欲しい。そう思います。
そんな風に、今日は思い返していました。明日は、朝の6時半から高祖総講、10時から三席の御講を奉修させていただきます。三月の教区御講が始まります。
2013年3月13日水曜日
登録:
コメントの投稿 (Atom)
今日は飛行機、明日は電車
今日は飛行機を使わせていただいて、明日は小倉駅から新幹線、京都駅でサンダーバードに乗り換えて敦賀、敦賀で北陸新幹線に乗り換えて長野へ向かう予定です。 小倉から京都は591キロで148分、京都から敦賀は94キロで52分、敦賀から長野は353キロで110分だそうです(乗換案内さんが教...
-
この地球が到達した、彼も助かり我も助かる、持続可能の再生可能クリーンエネルギーを確かめ合えた時間。 普遍真理、普遍思想を説く仏教が、人びとのライフスタイルに密着し、プラクティカルに実現していることに感激する一座が、本門佛立宗妙深寺の開導会でした。これほど嬉しいことはありません。...
-
磁力で引き寄せられるように自然と一つになってゆく。人間たちの想像をはるかに超えて。僕たちは大きな宇宙の中の小さなピースに過ぎないから。本当に、不思議です。誰がシナリオを書いているんだろう。 今日、サンフランシスコの淳子さんが妙深寺にお参詣くださいました。まったく知らなかったです。...
-
今週の横浜ラグーンは俳優の西村まさ彦さまをお迎えしました。 ご存知のとおり、「振り返れば奴がいる」「古畑任三郎」など、大河ドラマ、映画、舞台、声優、CM出演など挙げればキリがないほどひょうきんな役からシリアスな役までオールラウンドに演じられる名優・西村まさ彦さん。 ジブリ作品『...
0 件のコメント:
コメントを投稿