2008年12月15日月曜日

在日ブラジル人の方々を守る

 昨日の土曜日、みなとみらいにあるJICA横浜に於いて、日本人ブラジル移民100周年・ブラジル人日本移民20周年記念シンポジウムがあり、その第二日目に行われた「在日ブラジル人と仕事・生活・健康・教育・宗教・言語問題等の解決支援策」に参加させていただいた。
 妙深寺にとって、こうした行事に参加することは初めての試みとなるが、ブラジルへの日系移民100周年の最後を締めくくるために、ご奉公させていただくことになった。第二弘通部、特に海外部の方々の尽力によって、在日ブラジル人をサポートするNPO法人ABCジャパンさまとの素晴らしい関係が実った。
 それにしても、こうした施設や機関が活躍してくださっていることは有難い。海外移住資料館など今年のブラジルと日本の歴史的意義を分かりやすく教えてくれている。私たちは、ブラジルへの日系移民を創始した本門佛立宗の信徒・水野氏と、第一回の移民船に唯一乗船した茨木日水上人の後輩として、こうした機会に参加して、是非その存在と、今後の活動支援をしていきたいと考えている。
 私は、この場で30分程度お話をさせていただいた。本門佛立宗と南米・ブラジルとの関係。南米・ブラジルに仏教をもたらした本門佛立宗の紹介、茨木日水上人のご奉公についてご紹介した。苦難が伴うに違いない移民に当たり、正しい信仰の力が必要だと考えた水野氏。そして、その思いのとおり、仏教の使命を体して渡伯し、宗派を越えて人々を支え、尊敬されるまでにご奉公された日水上人。現在、日系ブラジル人が150万人を越え、日本に在住する日系ブラジル人が30万人を越える中で、今もう一度、私たちの果たすべき役割は何か。
 お話の中で、重ねて法華経の教え、御題目の教えについてお話をし、現在貧困や差別と戦う在日ブラジル人の方々にとっても心の柱となり、苦難を乗り越える信仰であることをお話させていただいた。同時に、具体的なサポートについても今後一緒に考えてゆきたい、と。
 ただ、私たち本門佛立宗は、単なる既成仏教団体でもなく、新興宗教群にも数えられない。その活動も葬式や法事で生計を立てるものでもなく、新興宗教や新々宗教のように政治的な活動もせず、広報活動にも長けていない。私たちはそれを真ん中の仏教、あるべき宗教や仏教の形だと思っているが、つまりは政治力も資金力もないということ。そういう意味で、資金力のあるキリスト教系の団体や新興宗教などとも違って、頼りない部分もあるかも知れない。しかし、だからこそ、まごころで、支援に取り組みたい、と。
 NPO法人・ABCジャパンさんが企画された今回のシンポジウムの目的は、記念すべき年だからこそ日本に住む日系ブラジル人の実状を理解し、その上で彼らへの支援活動をより充実させるべきだというもの。日本人移住者がブラジルに渡ってから100年。ブラジルへ移住した日本人は約25万人、現在日系人とされるブラジル人は約150万人。これらの日系人は正直、勤勉かつ子弟の教育に熱心との高い評価を受け、ブラジルの発展に貢献したとして、100周年記念は日系社会のみならず、ブラジル社会全体から「ブラジル自身のお祝い」として暖かい心のこもった祝福を受けている。
 その一方、日本には20年前から日系ブラジル人の流入が始まり、在日ブラジル人約32万の人々に取っては、出稼ぎから定住化する方向に入り、日本社会の構成要素の一部分として融合し、日常生活において近隣の人々と良き隣人として付き合っていかねばならない現状がある。在日ブラジル人は、社会保障、健康保険、教育、信仰、言語の問題に直面しており、厳しい勤労と生活条件の中で、自らと子弟の健康・教育・宗教・夢を維持・両立することは容易ではない。在日ブラジル人の子弟の将来を考えるならこれらの問題をおろそかにして、記念すべき本年を終わることは出来ない。
 特に、この金融危機の中で、まず最初に雇用を失っているのは海外から出稼ぎに来ている非正規雇用の方々であり、中でも日系ブラジル人は相当数に上り、この年末も困窮の中にある。現実、職を失い、住む場所を失うといわれる方が約2万人もおられる。家族を含めれば、数万人規模の方々が苦しんでおられる。私たちは、特別なご縁がある以上、こうした方々に対する関心を持ち、日本人に限られる緊急支援対策や雇用の確保、即時解雇の禁止などを彼ら外国人労働者にまで広げて考える必要がある。
 いずれにしても、昨日のシンポジウムはとても有意義なもので、これからのご奉公の一つの柱となることは間違いない。

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