今朝は、本当に、緊張の中で急遽お看経を始めさせていただいた。
朝、6時18分、婦人会でご奉公くださっている小泉さんからお寺に連絡が入った。「隣の家が火事で、何を持って出たらいいでしょうか?」との連絡だったという。すぐに「御本尊と御尊体をお供してください」と伝えたというが、こちらも何が何だか分からない状態。「まさか」が起こると昨日の御法門でも説かせていただいたが、また「まさか」か、と。
この報を受けて、正直動転した。すぐに教務にご自宅へ駆けつけるように指示して本堂に上がった。本堂手前で電話を受けた清仁に話を聞いた。「パニック状態でした」とのこと。さらに心配が募った。
急いで本堂の導師座に上がり、そのまま口語体で言上した。「いま、小泉姉からこのような連絡が入りました、御本尊、御尊体をお供いたしますが、どうか、災難除滅を」と。
開門参詣の方々は驚かれたと思うが、そのまま火伏せのご祈願である。昔、このご祈願、このご利益談をお聞きした。臨港教区の鴇田さんのお宅のことである。隣家が火事になり、火が壁まで迫った。ゴウゴウと音を立てて迫る炎を見つめるしかなかったが、その時、一塵の風が吹いた。必死に御題目をお唱えする。火が迫っているのに、自分の家に燃え移らない。結局、燃え移らずに済んで、大変な御利益と評判になった。
既にご高齢になられたが、鴇田さんはこの時の現証の御利益を今でも忘れず、臨港教区で御講となるとお参詣に励んでおられる。これほどの御利益だから、忘れられようはずがない。「火は、全部持って行ってしまう」と昔から言う。本当に、おそろしい。
開導聖人の御本尊にも、火伏せの御本尊さまがある。清雄寺に護持されているとお聞きしている。
今日、そのままご宝前に向かい、お看経させていただきながら、「どのような状況か分からないが、どうか火が御本尊を護持されている当山のご信者、小泉家に燃え移らないように、いや、燃え移らない、どうか、どうか」と御祈願させていただいた。「信ずるならば疑わざれ。疑うならば信ぜざれ」だと決定し、一点の曇りもなく御願いさせていただいた。
6時50分、清仁から導師座に報告。無事に鎮火したとのこと。ご宝前で、この報に接した時、ガクッと崩れるように安堵した。ありがたかった。火事となった隣家は不幸なことに違いないが、その被害が近隣に及ばずに済んでよかった。小泉家に火が及ぶことはなかったのだ。本当に、よかった。
聞くところによると、家の背後二軒目のお宅が火事だったということだった。消防士から「すぐに家から出て非難してください」という退避勧告を受けてパニックになったという。そんなことを言われれば誰でもパニックになる。しかし、小泉さんのお宅は屋根が濡れたくらいで済んだ。背後の家は少し被害が出ている、ということだった。
何が起こるか分からない今、ご信心は本当に有難い。緊張の中の火伏せのご祈願、また有難かった。重ねて、火事に遭われた方々、被害に遭われた方々をお見舞いしたいが、せめて小泉さんの家に燃え移らないでよかった。
今日は、午前中は総合企画室の会議、午後は2つの結婚式、17時から口唱体験会、19時からロータス・バー。妙深寺の土曜日。有難い。
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