2019年12月19日木曜日

要学と雑学








伊藤政子さんという妙深寺を代表するご信者さまのお一人が帰寂され、昨夜はお通夜、今朝は告別式を勤めさせていただきました。95才でのご帰寂でした。


121日、病室にお見舞いに伺い、手を握りながら言葉を交わし、南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経と、御題目をお唱えいたしました。


はっきりと、満面の笑みで「本当にうれしい!」「ありがとうございます!」とお話くださいました。若々しいピンク色の手。透きとおるような白い顔色。痩せてはおられましたが、本当に美しい姿でした。


1212日、前日までご家族と会話をしていた政子さんの容体が急変。そのまま眠るように息を引き取られました。


本当に、すごい御方でした。本物の佛立信者でした。


歎徳として言上させていただきましたが、妙深寺の初代日博上人、先住松風院日爽上人、そして不肖の私の代まで、生きたお寺・妙深寺の屋台骨を支え、強く、太く、献身的にご奉公くださったのです。


僕が25才か26才で旭教区の担当となった時、まさに青二才で角だらけの私と一緒にご奉公くださり、くまなくお助行に廻ってくださいました。明るく、楽しいご奉公でした。


今年の一月、教区御講で参詣数のご披露をされた時、最後に思い立って引き続きご披露を申し出られました。


お参詣のみなさんに向かい、「みなさん、こんな様子では門祖会のお参詣は成就しないんじゃないですか?もっとみなさんで意気込みを見せないと、お参詣は増えないんじゃないですか?私はそう思いましたが、みなさんいかがですか?」とお話しになりました。


穏やかな口調ながら、そこにいる後輩のみなさんにピシッと諭されたのです。本当に驚き、感動しました。ここまで妙深寺のこと、現代に生きる方々のことを思っておられるのかと思いました。思い返せば95才の、私たちに対する最後の慈悲の教えでした。


昨日、午前中は京都で弘通審議会でした。ご講有ご臨席の会議です。


帰り道、その場で話題に出た開導聖人時代の「学徒」について御指南を拝見し直していました。


最近、雑学ばかり話題にしていませんか?「そんなことはどうでもいい」と言える本物の佛立。雑学の人はご弘通を知りません。本当のご奉公が分からないのに分かったふりをしています。これでは害があるだけです。


本門佛立宗は「要学」と言明されています。そこを外して分からないのに分かったように振舞っているからご弘通が低迷します。


南無妙法蓮華経ー。世の中がどれだけ変わっても、本物の菩薩行をさせていただかなければなりません。


つくづく、大先輩の本物のお見送りにあたって、そう思い、誓いを新たにしました。


ありがとうございます。


学徒についての御指南の一部


扇全13巻43頁

「学徒ハ常ニ三部ノ如説抄ヲ拝見シテ講中ノ信行ノ行則ノ乱レヌヤウニ毎講教フルガ導師ノ任タリ。カナニワカリ易ク説事ハ位弥下ノイハレ也。又学徒ハ法ノ中ニ食アリト信ジテ御弘通御奉公ヲ今生ノ思ヒ出トツトムベシ。之ニ反シテ食ノ中ニ法アリト僻解シテ摂受ニ、へツラハバ祖意ニ背キテ難儀其身ニ及ブベシ(ミナ自力学文ニクルヘルモノ也」


「当講開講ハ安政四年也。今明治廿一年ハ三十二年目也。清風大津御法難後宥清寺へ来ル迄ハ朝夕ノ御看経ニモ広略の読誦ヲシテ能輿蓮トカハル事ナシ。

又宗祖六百回御遠忌後今より五六年前明治十五六年迄ハ講中ノ宅。最寄り最寄りで御抄ノ会読ト云事ヲシ、御法門ノコジ合ヒ、信徒ノ学問致シ来リ候へ共。元来ハ無智ノ地金故ニ要学ハセズシテ御抄ハ。カナナトテ。六ケ敷キ御聖教ナブリテ。清風モ始メ弟子講中モ。キバリ出シテ。木ノ葉天狗ノコジ合ヒ法門ノネチ合ヒガ。流行シテ。信心ガ。ヨコニソレテ。我慢ガ向フへ出カケ候ニ付。大イニ驚イテ改良致シタル此頃ノ御法門コソ。実ニ宗祖佐後ノ御本意門祖御再興ノ名字即宗。教弥実位弥下宗経カ折伏信心宗也。故ニ折伏経カ信心ノ外ノ物識クサキ。慢心ガマシキ法門スル事ヲ。当信心宗ニテハ。謗法同様ニ嫌ヒ候也」


扇全13巻72頁

「問曰。学徒の心得いかん。上ニ問答したるままに違ハぬやうニ教導すべし其余ハ謗法を見付次第折伏すべし。見捨て置くは慈悲なき也。与同罪なり。法の中ニ食あり。食の中ニ法なしと云ふ事忘るへからず。」


「問学文ハイカン。

答。高祖大士の御教へニしたがひて私の工夫更ニ無用也。当家三部の如説抄の御意を忘るへからす候。

開会観心ハ謗法也。御本尊ハ三ケ之中一大秘法の南無妙法蓮花経ニ限る也。信ノ一字所詮也。

御看経、回向祈願等ニモ御題目の一天バリの宗旨也。

ものしりになるな信者になれ信者し。此信者ニ惣別あリ。

かしこげになるなあはならあはがよい。あほのウハぬりするハあほ也。」

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