2019年12月19日木曜日

澗底の長松を未だ知らざるは良匠の誤
















1216日、名古屋では建國寺にお参詣させていただいて、石川日翠御導師にご挨拶させていただくことが出来ました。


私は石川御導師の書が大好きで何度もご染筆をお願いして参りました。日蓮聖人の筆致を彷彿とさせる御筆なのです。


実際、お祖師さま・日蓮聖人のフォントを写真解析すると、書道の常識は通用しません。


たとえば「さんずい」は右上にはねるのが当たり前ですよね。しかし、お祖師さまの場合は真反対の左にはねたりする。「し」というひらがなでは左に曲がることだってあるんです。「長松」の「長」という字も、日蓮聖人のものは「なんでそうなるの」という字体です。


浅葉克己先生も言っておられましたが、書道はもっと自由で、むしろその人の心や思想、生き方や勢いが表れるものなのだと思います。


石川御導師はお祖師さまの筆運びまで一文字ずつ学ばれながら揮毫されています。


今回、京都の由緒寺院・長松寺の奥、二階の和室に掛けさせていただきたい書をお願いしておりました。


開導聖人の御館、長松寺だかdらこそ、このお祖師さまの御妙判で「長松」に言及されている箇所をそっとかけさせていただきたい。


「澗底の長松を未だ知らざるは良匠の誤、闇中の錦衣を未だ見ざるは愚人の失なり。」与北条時宗書


意味は、見えている木だけを求めて深い谷の底に生えている良質の松材を見出せないのは良匠とはいえないし、暗闇だからといって錦衣を見分けられないのは愚人の罪です、ということ。


素晴らしい表装も整えていただいて、見事に長松寺の奥に掛けさせていただくことが出来ました。


また一つ、寺宝が増えました。本当に、ありがたい。筆舌に尽くせません。ありがとうございます。


来年は先住がご遷化になられてから20年目。京都と横浜の住職にならせていただいてから20年ということ。


本当に、言葉がありません。


ありがとうございます。

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