2012年2月11日土曜日

首相の星占い

この国の行く末が、さらに心配。この国、本当に、大丈夫かな?

TBSの番組に野田首相の右腕・手塚よしお首相補佐官が登場し、野田佳彦首相が「毎日新聞の星占い(マーク矢崎)」を毎朝チェックしているとコメントした。面白おかしく話をしていたようだが、「ストレスが多い時」というのを読んで納得し、「週末にいいことがある」というのを読んで頑張っているのだという。

本当に、こんなんでいいの?

以前、上杉隆氏が『「錯乱」安倍晋三首相の「四人の神」』という記事を書いた。安倍元首相も光永氏や「慧光塾」という宗教・信仰に傾倒しているとあり、少々驚愕した。(『宗教と政治 ラスプーチン』 http://goo.gl/liLdL

ほんの数年前は毎日のようにテレビに出ていた中島さんというタレントさんも、占い師と同居して周囲が心配しているという。

「組織嫌いの神秘好き」「教義嫌いの神秘好き」とは、現代人の宗教観を表した言葉。伝統宗教では物足りなく感じて、もっと分かりやすいものに惹かれる。結果として、団体に所属することを嫌い、枠にはまることも嫌い、スピリチュアルな事物、理屈、場所を求めて、はるかな旅に出る。結局、目的地も、ゴールもない旅で、迷いや暗黒の森に入ってしまうことも多いから危険な旅でもあるのだが、そこに踏み出す人は多い。

「旅は賢者をさらに賢者にするが、馬鹿をもっと馬鹿にする」という西欧の教訓がここにも当てはまる。思索の旅を続ければいいというものではない。(『難と毒』http://goo.gl/BKJc6

こうした宗教とも占い師ともつかないスピリチュアルなことに興味を抱いて迷いの道に入ってしまう人が後を絶たない。

東日本大震災後の極めて重要な局面に当たり、その最高責任者である日本国のトップが、毎日毎日、毎日新聞の星占いを見ているなんて、なんか冗談のように思えて情けないのだ。

以前、『宇宙からの贈り物』(http://goo.gl/nGht3)という文章を書いた。

シュメール人はアッカド帝国に滅ぼされ、アッカド帝国はバビロニア帝国のカルデア人に滅ぼされた。カルデア人は遊牧民で、夜になると星の動きを読み、季節の変化にともなって星が移動することを知り、活用しはじめた。そして、多くの星が規則的に変化しているにもかかわらず、五つの星だけ他の星よりも一段と輝き、何より全体の秩序から外れていることに気づいた。カルデアの人は、それらの星を「行く先に迷っている星」「惑える星」「プラネット=惑星」と呼んだ。それが、水星、金星、火星、木星、土星である。

カルデア人は、この五つの惑星に神が住んでいると考え、太陽と月を付加した七つの星に、人が生まれてから死ぬまでの一切と、地震や洪水や飢饉(ききん)という自然現象の全てが支配されていると信じるようになった。これが星占い、占星術の起源である。

この惑星による運命論を、根底から突き崩したのは、約450年前のニコラス・コペルニクスだった。この聖職者にして政治家、医師にして詩人でもあった数理天文学者は、地球が宇宙の中心で制止しているのではなく、太陽の周りを回る惑星の一つに過ぎないということを明らかにした。地球自身がプラネットだったのである。1543年のことだった。七つの惑星が地上の人や出来事に影響を与えているという考えは、地球がその惑星と別の存在、宇宙の中心にあればこそ、それなりに理に適っていたのだが、コペルニクスは地球も大きな体系の中の一つの惑星だと明言したのである。

星占いは、こうした発見の後でも相変わらずの人気がある。それは、ほんの一息ついてリラックスを求めるための一杯のコーヒーのようなものなのかもしれない。しかし、真実の仏教では、こうした占いを見ることを戒めている。それに心を縛られて、自分が幸せになる可能性や「自由」を失うことになるからである。

宇宙や星の運行には法則があり、発見もあり、未知の世界に興味も尽きない。しかし、それは「占星術」とは違うものだ。むしろ、相変わらず占星術のようなことで、人生や、あるいは国家経営まで、一喜一憂、右往左往しているとなれば、むしろ「ドレイクの法則」の方が頭に浮かぶ。

「N=Ns×fp×ne×fl×fi×fc×L/G」

天の川銀河に人類のような高度技術文明を持つ生命が存在するかどうかという問題を考える時に出てくる「ドレイクの方程式」。この銀河系に存在する高等文明の数を「N」とすると「Ns」は、銀河系に存在する恒星の数。「fp」は、その恒星が惑星系をもつ確率。「ne」は、そのなかで生命が生存可能な環境をもつ惑星の数。「fl」は、そこに生命が発生する確率。「fi」は、その生命が知的生命体に進化する確率。「fc」は、その生命体が他の星に対して通信をおこなえる確率。「L」は、その高等文明の継続時間。「G」は 恒星の寿命。

数式一つ一つに数字を当てはめ、科学的に推定を加えたものでは、今現在の時点で人類と同じような高等技術文明を持つ知的生命体が存在する可能性のある星は約1000個。この数式で最も重要なのは「L」、高等文明の継続時間である。ある学者は、高度な技術を持つようになり、宇宙の存在を知り、理解するようになった文明の継続時間を100年としている。智慧を発達させると同時に人類はその愚かさから自滅するというのだ。1000個の恒星までの平均距離は、およそ100光年。文明の継続時間がもし100年だとすると、地球圏外の生命と交信することは極めて困難ということになる。

さて、本当に、こうしたことを考えざるを得ないほど、政治に期待が持てない昨今。星占いの話を聞いて、思わずガクッときた。

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