2007年8月9日木曜日

妙深寺のウェブカメラ

 昨夜、私たちは主催者が用意したホテルに宿泊させていただいた。20:30過ぎに、主催者の僧侶がロビーに来られてご挨拶を受け、歓談した。明日の会場のこと、参加者数について、ご自身の活動、シンガポールの現状等々。
 先週、彼はバンコク郊外で多くの僧侶と科学者たちで会合を持ったという。仏教と、現代の最先端科学が、多様なエクスチェンジ(意見交換や交流)をして、共有できるものがあるかという試みだったという。有意義な交流となった一方で、「マインド」と「ソウル」という語彙・概念一つについての共通認識を持つことだけでも大変に難しいと語っていた。
 そこで、福岡御導師から法華経の教えに基づく科学との融合、接点について話があった。福岡御導師がアメリカやイタリアで多くの方々と交流する際に、必ず問いかけられることをいくつか紹介した。「ソウル」と「スピリット」の関係を尋ねられることや、法華経本門に説かれた仏教哲学がどれだけ科学者にとっても納得できうるものであるかを話された。
 また、物質文明が「物質」に心身共に依存し過ぎていることを彼が話し、精神について人類がより深い洞察を持たなければならないと言い、私たちも同感だと応え、法華経のご信心はそうしたかけ離れていった物心の関係を修復し、失われた絆を取り戻すものだと語った。
 また、スリランカの紛争問題、インドとパキスタンの間にある宗教紛争、戦争と平和についても話が及んだ。真に平和を希求し、教え、争いを退けるブッダの教え。それを守り、伝えるのは、仏教徒の欠かせない役割、使命であること。
 今朝、シンガポールは7時になってもまだ暗闇の中にある。なぜなのか分からないが、ホテルの外は暗い。赤道直下なのに、朝がこれほど遅いのはどうだろう。雲だろうか、スコールが来るのだろうか。不思議なものだ。
 しかし、安心することがある。実は、妙深寺は24時間本堂の模様を中継している。遠隔地の方に対して厳正にパスワードを発行して閲覧できるようにしているウェブカメラが本堂に設置されているのだ。だから、パソコンを開くと正教師の言上の声、お参詣者の姿が映る。「あぁ、左側に美奈子さんがお参詣されているなぁ、梶さんご夫妻もお参詣だなぁ、直ちゃんが来た、大川さんだ、あの白髪の方は松本さんかな?小松さんかな?石川さん?福村さん?、、、。矢畑さん、会社設立から1周年、有難い。清康のシンガポールご奉公成就の御祈願をくださったなぁ、 大勢のお参詣、御祈願、御礼、ありがとうございます」と思える。
 こんなに遠く離れていても、妙深寺の本堂を拝見できて、一緒に御題目をお唱えできる。もちろん、ホテルでは懐中御本尊をいただいてお看経をさせていただくのだが、この安心感はどうだろう。御導師の言上をきかせていただき、御法門も聴聞できるのだから。何とも言えない有難さなのだ。
 昔の方々が、こうしたテクノロジーの進化を聞いたら、驚いて腰を抜かされるかもしれない。まさに、ブッダの教えられた宇宙、その法界に遍く私たちのメッセージが一瞬で届いてしまうことを証明している。携帯電話の進化、インターネット網による技術革新。こうした電波、ネットワークだけではなく、一人一人の思いも世界に遍く広がる。知る、知らないにかかわらず、私たちの三業は、この法界に遍く広がり、一人一人に届いて影響を与える。もちろん、草木や石ころに至るまでに影響を与えているのだから、私たちに関係のないものなどない。全てが届き、届いている。影響を与え、与え合っている。だから、世界に対して一人一人の今日の行いが世界の盛衰に関係していると説くのだ。一人が変われば世界が変わる。一人が良く変われば世界が良く変わり、一人が悪く変われば世界も悪く変わっていく。
 今日の御法門、なかなかであった。しかし、舌を噛み過ぎ。顔を上げて。
 冥の照覧ではないが、こんな遠くから師匠に見られているなんて、イヤだろうなぁー。

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