2011年1月27日木曜日

ガンバロウ

今年の成人式。青年会が成人を迎えた人たちに、20年前の出来事を綴ったパンフレットをプレゼントしてくれました。20年前のニュースが載せられていました。イタリアワールドカップ、バブル崩壊、日本人初の宇宙飛行士、湾岸戦争とドイツ統合など、いろいろな出来事があったのですが、その最後の行に「ご住職、プロテストに合格」とあり驚きました。そんなん、調べて載せてくれているんだ、妙深寺青年会。恥ずかし。 そう、もう20年前のことです。しかし、最近、感じることがあります。

大学在学中、マイナーなスポーツではありましたが、全日本のシリーズチャンピオンになることが出来ました。忘れられないのは琵琶湖での最終戦。全日本選手権ですが、この大会まで年間のタイトルは2位。ほぼ年間チャンピオンは決まっていました。しかし、一年間戦ってきたのですから、どうしても勝ちたい。そんな気持ちを抱いて、レースに出ました。しかし、スタートしてみると、やはり私は2位。周回数は約10周。周回を重ねてもなかなか抜くことが出来ません。体力も限界で、ずっと、後塵というか、引き波を受けながら2位に付けていました。
琵琶湖には魔物がいます。周回を重ねていくと琵琶湖の湖面は三角波が出て走りにくい。辛い。疲れた。もうダメだ。足がつり、腰は鉄板を入れたように動かなくなります。当時、右肩が脱けてしまう癖があって、その怪我を抱えてレースに出ていました。「もうダメかな」「二位でもいいかな」。そんな気持ちになっていました。
でも、その時、見えたのです。先頭を走る選手が、腰を伸ばす姿が。「あいつも、疲れている。負けてたまるか」と思いました。一瞬のことだったと思いますが、最終回の最終コーナーで、フラフラっと空いた内側をすり抜けて、ギリギリのところで1位になり、年間のポイントも逆転し、総合の1位となりました。フリースタイルでも年間チャンピオンになることが出来ました。
そうして、プロになってから、何か目標を見失いました。先住にプロテスト合格を報告した時、こちらを振り向くこともなく、「お前は、たかがジェットのプロか。俺は人間のプロだ。悔しかったらなってみろ」と言われました。庫裡の二階、階段の上の左側の部屋でした。忘れられません。そう、「プロ選手か、すごいな」と言って欲しかったのですが、こんな返答でした。
最近感じることというのは、私は、こうしてプロになり、いろいろな人と出会ってきました。厳しいビジネスという戦場で、不思議なほど人との縁に恵まれて、今日まで来ました。そして、その当時の方々が、この寒参詣にもお参詣してくださっている。こんな不思議な、こんな有難い、こんな素敵なことがありません。
先日、ある青年に昔からの先輩や仲間を紹介しようと声をかけさせていただき、平日というのにお時間をいただきました。匆匆たるメンバーで、日本の経済やメディア、ファッションや様々な流れを担い、作っておられるすごい方々だと、あらためて痛感しました。その方々が、ご家族と共に、妙深寺にお参詣くださっている。それが、どれほど、ありがたいか。ここまで、つながってきている、ほんとうに、何とも言えない、ありがたさ、あたたかさが、こみ上げてきました。

裏も表もなく、自分のすべてを見てきた、古くからの友人たちがお教化になり、いま、みんなで一緒にご信心、ご奉公できていることこそが、私自身の今日までの人生と信心を証明する、最高最大、うれしいことだと思っています。「教務として」「住職として」の前に、自分の友人たちにご信心をお伝えできるようでなければ、まずそのご信心はニセ物だと思いますから。幼なじみ、小学校時代、中学時代、高校時代、大学時代、スポーツの仲間、ビジネスの中で出会った方々。本当に、いま、みんなに感謝です。恩返ししないと。自分のできることを、精一杯しないと。
本当に、ありがとう。ナガマツ、もっと、頑張ります。

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