2007年5月15日火曜日

ひろし君を待ちながら、

 午前中のご奉公を終えて、今はひろし君のお参詣を待っているところです。

 あのアメリカ横断のラジオ番組でディレクターを務めていた憲史くん。この2年間は日本に帰国した時にお寺を訪ねてくれて顔を見たりした程度だった。10年間のアメリカ生活から帰国して、お父さんのお仕事を手伝っていると聞いていたのだが、不思議なご縁で彼はひろし君の会社で働くことになっていた。それを聞いたときも驚いたが、この3月にはわざわざお寺まで一人で来てくれて子どもの誕生祝いを届けてくれた。有難かった。

 そういう憲史くんだったが、お寺に来ても御題目をお唱えすることはなかった。信心もしていない人間が御題目を唱えることは不謹慎であると自分なりに考えていたらしい。いや、唱えてみなよ、と言ってもみたのだが、憲史くんなりの考えでそれをしないでいた。

 ところが、である。憲史くんの周りに「サイン」が続く。私は、ご信心のことや御題目の御力のことを知らない方々には、「御利益」という難しい言葉を使わずに「サイン」ということを言う。つまり、御法さまのお見守りやお導きのことなのだが、「須弥山に近づく鳥は金色に輝く」という御言葉のとおり、お寺や御法さまに近づくと、不思議な「サイン(お知らせ)」にはっきりと気づく、気づかざるを得ない状況になるのだ。

 憲史くんにとっても、いろいろな話を聞き、お寺に近づいていたのだが、憲史くんのサインは並大抵のものではなかった。私だって驚いたのだ。

 まず、アメリカ横断中に驚いた。憲史くんは、収録中の話を聞いていて、私が「本門佛立宗」の妙深寺の住職であることなどから「ご住職、本門佛立宗って。あの、八王子にお寺がありますか」と聞いてきた。「え、あるよ。八王子に清流寺という大きなお寺があるよ」と答えると、「あのー、僕、その八王子のお寺でずっとボーイ・スカウトに入っていたんです」と答えたのだ。これには驚いた。ボーイ・スカウトは地域ごとにたくさんあって、妙深寺にもボーイ・スカウト横浜35団とガール・スカウト横浜24団があるが、何もロス・アンジェルスで一緒にラジオ番組を作ることになったディレクターが本門佛立宗とご縁があった人だとは。だって、本門佛立宗はメジャーではないし、、、、(私は新興宗教や伝統仏教のように変に大きくなくメジャーでないことが真実の仏教を継承している証だと思っているのだが)。とにかく、これには驚いたのだ。
 さらに、憲史くんは、日本に帰国してから何度もお寺に足を運び、色々な悩みについても聞かせてくれたり、私なりにアドバイスもしてきた。もちろん、「ご信者さんになったら?」「なろうかなぁ」という程度の会話は重ねてきたのだ。

 そして、今年の3月末。のこと。彼はやはりお寺にお参詣し、同じような会話をした。電話でも何度かお話をしていた。

 すると、4月に入って、私が京都にいるときに突然電話がかかってきた。

 「ご住職、今日どこかで骨董品のお仕事をしている方のお葬式がなかったですか?」
 「えっ、あぁ、あった。でも、横浜ではなくて妙深寺から遠いところでのお葬式だったよ」
 「あの、今日、父親がお葬式から帰ってきて、今日のお葬式は素晴らしいお葬式だったよ。ありゃ、本当に良かった。お坊さんも若いけど良いお坊さんで、良いお話をしてくれたって言ってたんです」
 「不思議だよ、憲史。それは今朝経帷子を御染筆させていただいて、妙深寺の清水清康師がお勤めくださった方のお葬式だ」
 「うわー、まただ。まただ。なんでまた」
 「お葬式を請け負うだけのお寺なんて山ほどあるし、それがしかもお父様の大切な方のお葬式で、しかも妙深寺で、しかも清康師とは」
 こういうお話をしていたのでした。これも本当に驚いた。

 もちろん、色々な悩みを抱えていたし、人生の分岐点であることは誰よりも憲史くんが感じておられたのです。その上で、立て続けに自分の周りに起きてくる「サイン」に、まさにビックリしていた。
 「ご住職、僕、ご信心させてください」

と電話があったのは、それからほんの数日後だった。その次の土曜日にお寺で会おうと約束をして、土曜日の朝に憲史くんはお参詣した。これも不思議すぎるが、この電話をした後から、何年も音沙汰の無かった友人から電話がかかってきたという。それも一人ではなく、5人~6人という。本当にご信心の御力は、「縁」を動かす、まず「縁」が動いてくる。いつも言っていた。「サイン」は、電話一本かかってくるタイミング、人と出会うタイミング、話す言葉、聞く言葉、すべてで感じられる、と。

 土曜日の朝、開口一番、
 「ご住職、実は父親にご信心のことを話したんです」
と憲史くんが言った。私はご信心をすると言って反対されるご家族もあるから、同じようなことなのかなと思って聞いていたのだが、憲史くんは、
 「実は、お父さんにこのことを話したら、実は変なご縁で本門佛立宗のお数珠が家にあるって言うんです。それについては長い話なのですが。いや、本当に驚いたんです。なんで自分の家にお数珠があるんだって。その本門佛立宗の108個の、正式な、由緒のあるお数珠が。もう参りました。ご信心させていただきたい」
と。このような経緯で、憲史くんは妙深寺のご信者になられた。

 しかも、ひろし君の会社で働いており、いまこのスペイン・フランス・イタリアのご奉公も、憲史くんはひろし君と共に出張しており、成田から直接、二人そろって妙深寺に「出張中身体健全・無事帰国の御礼」のお参詣をされているのだ。

 本当に御法さまのお導き、お見守りは恐ろしいと感じるくらい。そのサインのすごさ、強さには、驚くばかり。

 そう、いまひろし君と憲史くんがお寺に到着した。いま、本堂で二人そろってお看経してくださっている。出張中も二人そろって、ホテルの部屋の中でお看経していたという。不思議だ。有難い。有難い。

 「信仰に頼る者は弱い奴だ」と言っていたひろし君、そして憲史くん。ご信心を持ち、今はどんなに忙しくても、世のため、人のため、御法さまのためを考えて充実して生きておられる。
 有難い。本当に有難い。
 

 (憲史くん。サン・スタジオにて)

2 件のコメント:

しんすい さんのコメント...

すばらしい法界の縁起ですね!!
ゾワァ~っと鳥肌が立ちました。
今朝の御法門もこの「法界の縁起」の話でしたし。

Seijun Nagamatsu さんのコメント...

信翠師さまぁ。コメント、ありがとうございます。有難い!
今日、長松寺の御総講で外園師にお会いしました。相変わらず素敵でした。ご信心オーラ、出てました。

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