2008年8月13日水曜日

タイミングの悪さ?

 京都の弘宣(13才で私の弟子として得度し「清翔」)を、この夏休みを利用して妙深寺で修行させようと思っていた。
 ところが、横浜に来る直前になって膝の調子が悪いという。確かに痛そうで、病院に行くと半月板が割れているとのこと。手術が必要で、削るか、縫合するかしなければならないと聞いた。怪我をしたわけでもなく、何が原因か本人にも思い当たることがないらしい。どこかにぶつけたか、事故にでも遭ったのか、それも分からない。疲労骨折に似たようなものかと思うが、それほどのハードなスポーツやトレーニングをしていたわけでもない。身体が壊れるほどスポーツをした私だったが、彼のような怪我も、ましてや手術も受けたことはない。なんということだろう、と頭を抱えた。
 なんとタイミングの悪い。これからのために人間的に成長させようと期待していたのに、そのタイミングで手術とは。青少年の一座の前後に横浜に来てご奉公させていただいたのだが、手術のために京都に帰って診察を受け、今日13時から手術が行われた。
 このタイミングの悪さは普通じゃない。御法さまがお見捨てになっていない証拠だから嘆くこともないが、弘宣を成長させようとしてくださっているのだろう。「もっとスポーツしろ」「大学は横浜にしろ」「頭でっかちになるな」などなど、挙げれば切りがないことを彼には話をしてきたが、結構本人は頑固で(誰ゆづりだかは書かないが)今まで私が言ったことを実行に移したことはないと思う。困ったお弟子さん。 
 そんな彼が、ここで成長しなければならないというタイミングで、御法さまからのサイン。膝の故障もそうであろうし、手術もそう。「全ては完璧なタイミングで進行している」のだから。仏教に「偶然」はないのだから。
 弘宣が横浜から京都に帰る新幹線は大幅に遅れた。大雨によるということだったが、これも不思議だ。私は月に何度も往復しているが、そんなことは起きない。ギリギリで事故を回避したり、次の列車から遅れていたり。弘宣に「気づけ」「気づけ」と教えていただいているようにも思えた。
 本人は、知識が豊富で、2ちゃんねるなどの掲示板でいろいろな会話を交わして物事にも通じているように思っているのだが、人間づきあいが苦手のようで、すべてのことに視界が狭い。若いから仕方がないのだが、これからのために良い環境を探して与えてあげたかった。
 この手術は、彼にとって最大の「良い環境」なのかもしれない。入院も初体験であろうし、4時間に及ぶお助行を受けたこともはじめてだったろう。「このままでは終われない」「なにくそ」と思って、素晴らしい教務になれるように自己を磨いてもらいたい。きっと、彼の中で何かが変わり、何かが生まれているはずだ。すべて御法さまのお計らいだと思う。
 それにしても、今までの業とはいえ、タイミングの悪さには笑ってしまった。手術当日となった今日は、頑張りに頑張り抜いてきた妙深寺教務部が一年に一度だけリラックスさせようと思って午後から出掛ける日だった。13日に清翔の手術と聞いて「え~!」っと。なんでまた、この日なの?兄弟子たちも笑ってしまう。二十日以上続いてきた長松寺へお参詣くださっていた方も、手術のために途切れてしまったことも残念。これからは、そういう「流れ」の悪さを克服しなければならない。ご信心に対して、もっと素直な気持ちを持てば、必ずスルスルとご奉公に支障なくゆくようになるだろう。「如風於空中 一切無障礙」の実感。
 手術は無事に終わった。膝の手術なのに全身麻酔だったという。開始から終了まで、弘宣を思いながらお助行のお看経をさせていただいた。本人が教務としてご奉公させていただくには、膝はとても大切だ。ご病気の方のためには長い時間正座してお看経することもあるだろうし、フットワークの軽いご奉公をしてもらいたいのだから、膝が悪いなどと言っていられない。後遺症もなく、何とかお計らいをいただいてもらいたいとご宝前に御願い申し上げた。
 大変な御利益をいただいて、開けてみると診断よりも簡単な処置で済む状態だったという。2週間は車いすということも言われていたのに、明日から足を付いていいのだそうだ。何と何と、ありがたい。
 さて、本人が、どこまで自覚できるか。期待して見守ろう。(でも、入院前に「お前、病院にマンガなんて持ってくなよ!」と言うと、「一応、選んだんですがぁ…」と言い放ち、何度も言って、何とか渋々「あぇ~い」と変な返事をしただけだったからなぁ。大丈夫かな)

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