リンスでのブラジル本門佛立宗開教100周年の大法要は、晴天の下で盛大に奉修された。雲一つ無い青空、燦々と輝く太陽、そして青空にうっすらと月も浮かび上がっていた。「日」と「月」が天空に同時にあって、100周年の盛儀を見守ってくれている。私は何とも言えない感動を覚えた。
「日月の光明の能諸の幽冥を除くが如く、斯人世間に行じて、よく衆生の闇を滅し、無量の菩薩をして、畢竟じて一乗に住せしめん。是故に、智あらんもの、此功徳の利を聞て、我滅度の後に於て、斯経を受持すべし。是人仏道に於いて、決定して疑ひ有ことなし」
ブラジルという、この地球上で最も日本から遠い国で、まさに「無」より「有」を生じるご弘通ご奉公をされた方々。その100年の大盛儀に当たって、太陽も月、「日」と「月」の光明が出て、ブラジルで能くご弘通ご奉公されたことを証明してくださったようにも思えた。
リンス市は今や小さな小さな街に過ぎない。コロニアは移動していく。ご信者ですら近隣のアラサツーバやバウルという街に多くは住んでおられる。このリンスという街に住むご信者は少なくなってきている。この大法要には、ブラジル全土から数日間をかけてご信者さんが集まり、お参詣くださった。
御講有ご一行と日本からの参詣団がリンス・大宣寺に到着すると、その真っ青な空へ高らかに花火が打ち上げられ、リンスの街に祝砲が轟いた。「ありがとうございまーす」と、お出迎えのブラジル信徒が御講有ご夫妻、参詣団に大きく声を掛ける。この子たちの笑顔、可愛い声こそ、ブラジルでのご弘通の華々しい結実ではないか。参詣者の多くが、本堂に入る頃には涙を浮かべていた。
法要は滞りなく、実に盛大に執り行われた。走り回っていたので、あっという間に終わってしまったようにも思う。記念塔に移された茨木日水上人のご遺骨、御霊前の前でのお看経、「日水上人館」でのテープカットも行われた。旧本堂に日水上人の御遺品やブラジル本門佛立宗のご弘通に関連する品々を展示してあり、この100年の険しいご弘通の軌跡が理解できる。有難いことだった。
ホテルに移動して歓迎会。ブラジルの幹部の方々も同席し、短かったが楽しい一時を過ごした。1年前、準備ご奉公のためにブラジルに来た。あの時から、100周年委員会のメンバーは必死にご奉公してくださっていた。あれから1年。こうして100周年の記念ご奉公が大成功を収めたのは、彼らの、実に真剣なご奉公の賜だと思う。
歓迎会の終わりに、ブラジル本門佛立宗の教区長・斉藤御導師から御礼のご挨拶があったが、これを新たなご弘通のスタート地点だと思って、ブラジルだけではなく南米全てをご弘通の視野に入れてご奉公に気張らせていただきます、という誓いの言葉が発せられた。そう、既にチリにもペルーにも上行所伝の御題目は弘まり、新たなコミュニティーが生まれつつある。その中心に100年間佛立信心を受け継ぎ、熟成させてきたブラジルの教講がいなければならない。コレイア師が言っていたが、既にブラジルの教務陣は実に「カラフル」になってきたのである。人種、国、言語を越えて、私たちはご弘通の新しい幕を開ける。
有難い。充実したご奉公であった。
また、このご奉公を通じて生まれたブラジル教務諸師17名との「絆」が、私にとっては最大の成果であったようにも思う。ブラジルの教務さんと共にご奉公させていただけた喜びだ。今回のご奉公の最大の特徴は、日本側は徹底してサポート役に廻り、ほぼブラジルの御導師、教務、ご信者の手によって、企画から準備、実行まで行ったという点である。ブラジルに到着してからの私たちの役割も、ブラジル教務と同化して資料を作ったり、遺漏がないように走り回ったりする裏方のご奉公だった。本当に勉強になった。成果があった。これこそ未来に繋がる。
世界を一つにする、平和を構築するために、こうした「絆」こそ大事なのだ。
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