2024年1月16日火曜日

厳しい一年の始まりの御法門


御教歌
弘通には過行方を習はずに 成行末の人機はかれよ

年頭にあたり、ご講有から「大改良」の号令をいただきました。令和5年を「多難な一年」と振り返り、高祖750回御遠諱の始まりにあたり、大改良の大事を説かれました。

このお言葉の数時間後、能登半島で大地震、翌日には羽田空港で旅客機の衝突炎上事故、なんとも恐ろしい一年のスタートとなりました。

年頭のお言葉の結びに引かれた御教歌。改良の御教歌は数多くある中で、なぜこの御教歌なのか。恐ろしい出来事が続いた元旦以来、考えに考えました。

この御教歌は開導聖人最晩年にお認めになられた「開化要談」という御指南書にあるものです。

その内容は、滅後の宗門を牽引する第二世日聞上人、三世日随上人らに対し、要約すると①習い損じをするな ②本質を見失うな ③時代と人を読め ④改革者精神を失うな という極めて厳しいものです。

誰も好んで習い損じるわけではありません。真面目に、まともに、間違います。道を間違います。まず、そのことを戒めておられます。

特に、お釈迦さまやお祖師さまの一代記を、いくら解釈しても研究しても講釈しても、ご弘通には何の役にも立たない!そういうものではない!佛立教講は勘違いをするな!というものです。驚くほど、厳しい。

「弘通には過行方を習はずに 成行末の人機はかれよ」

「下種折伏砌ニハ宗論問答サへ無益也」
「高祖御一代モ芝居講釈等ニシテ御折伏ノ益ナシ」

この御教歌の御意をしっかりといただけば、組織改革だけではなく、宗門教講の本質的、根本的な改良の大事を教え、示しておられるものと感得できるのです。

お祖師さまの御遠諱といっても、お祖師さまの一代記、机の上だけの学問、その講釈、解釈などは、一切意味がない、役に立たない、佛立らしからぬ、とお戒めです。

お書き添えの開導聖人のお言葉をお借りすれば、「スカ物識」ということになります。「スカ」とは「はずれ」のこと。語源は「スカタン」です。予想や期待を裏切る、当てはずれ、見当違い、とんま。まぬけ。的外れな、マヌケなものしり、ということです。そんなことに時間を費やすな、時間を無駄にするな、とお戒めなのです。

新しい年、世界中の、すべての本門佛立宗の教講に発せられるご講有の年頭のお言葉です。決して間違うなよ、本門佛立宗はこうだぞ、佛立教務はこっちだぞ、そっちじゃないぞ、と教えておられる。激動の年の始まり、そのようにいただくべきでありましょう。

たとえば、アメリカという国は東から西へと、どんどんどんどんと開拓して出来上がった国です。そもそもアメリカは移民の国、その発展は開拓の歴史。ですから、アメリカで語られてきたのは「開拓者精神(フロンティア・スピリット)」というものです。アメリカという国を偉大たらしめたのは、「フロンティア・スピリット」です。

レーガンやトランプは「Make America Great Again(アメリカを再び偉大な国に)」とスローガンを掲げていますが、彼らは国のルーツや開拓者精神には無関心のように見えます。どれだけ勇ましい言葉を使っても「何がアメリカを偉大な国にしたか!」を語らなければアメリカの復権はないでしょう。彼らの言説に酔えば逆に分裂や衰退に向かうでしょう。

本門佛立宗も同じです。

私たち本門佛立宗に欠かせないのは「改革者精神」です。そのルーツが幕末維新の仏教改革者・開導聖人なのですから、常に改良し続ける、改革する、「改革者精神(イノベーター・スピリット」こそ大事なのです。

「ご弘通隆昌発展」と言いながら改革者精神を失っていては話になりません。回向坊主や茶坊主や「スカものしり」になっていたら、衰退するに決まってる。同じように、発展するどころか分裂や衰退してしまいます。

なかなか教化もできない、法灯相続も出来ない、時代に飲み込まれ、人から遠ざかり、お寺は衰退する、縮小する、小さくなって、いつしか消えてしまう。

改良は、いつか、誰かが、どこかでしてくれる、スタートする、始まる、やってくれるというものではありません。いつも、いつでも、今までも、これからも、ずっと、改良し続けて、臨み続けるものです。

少なくとも、生きたお寺・妙深寺は、ずっと改革し続けてきましたし、挑戦してる。

今年から、さらに、さらに、改良しましょう。まさに、みんなで大改良しましょう。

厳しい時代、無常の人生にあって、罪障を消滅し、現証の御利益をいただくために。

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