毎朝の夏期参詣も、10年前の2倍のお参詣があるのではないかと教務部では話をしていた。ありがたいことだ。連日、平日で300名前後のお参詣がある。これは本当に10年前と比べれば大変なものだ。しかも、その顔ぶれも真新しい。古くから頑張ってお参詣にご奉公に励んでこられた方々と、最近ご信心をはじめられた方々が同席し、老若男女が一つになって、朝のご供養場でもケラケラと笑い声が絶えない。本当に楽しく、有難いことだ。今朝はブラジルから留学し、これから妙深寺所属としてご奉公くださるギリアミ君もお参詣した。明日もお参詣するとのことだから、国際色も豊かで本当に有難いと思う。
フィレンツェでの御講から、早いもので一ヶ月以上が経ってしまった。本当に、あの素晴らしい御講席は記憶に新しいのに、次から次へと続くご奉公で遠い昔のようにも感じてしまうが…。
2008年6月、妙深寺イタリア団参に行かせていただいた。福岡御導師、マッシーと麻樹ちゃんとの御縁により、妙深寺にとっては二度目のイタリア団参となった。昨年の9月には名古屋の建国寺に於いてもイタリア団参が行われた。これからは定期的に日本からもお参詣できる機会が増えていくに違いない。しかし、そんな中、このタイミングで草創期のイタリアHBSに於けるご弘通のダイナミズムを感じられる団参は、またとない機会であっただろう。
前回、私のご奉公は2月だった。その時の様子はブログでも書かせていただいたが、イタリアのメンバーの方々のお宅を巡回してお助行に廻らせていただき、それぞれのふれあいの中でご信心の有難さを実感したご奉公となった。その中でも、印象的な出会いはフィレンツェでお仕事をされている向後さんとの出会いだった。
向後さんはイタリア・フィレンツェで伝統的な工芸の修行を4年間も続けていた。私たちが最初の団参をしたのが3年前だから、あの時すでに向後さんはフィレンツェに修行に来ていたことになるのだろうか。しかし、その時の向後さんはフィレンツェの親会場にお参詣していなかったし、私も彼女を知らなかった。彼女は、日本からの紹介で香風寺イタリア・フィレンツェ別院の存在を知り、ごく最近になってお寺にお参詣するようになったという。
ローマの麻樹ちゃんなど親切で温かい人とのつながり、ダニエレ・良誓師をはじめとして素敵なご信者さんたちの輪の中で、日本でのご信心以上に向後さんは素晴らしいご信心をつかもうとしておられた。そのサポートを、イタリアのみんながしてくれていたのだと思う。
私が彼女に会った2月の御講で、彼女は良誓師から懐中御本尊を拝受し、良誓師の手で懐中御本尊を手に掛けていただいた。素直に感動している向後さんの姿に、私も心が洗われるようだった。その日の御講には、麻樹ちゃんが手作りのお寿司を作ってきてくれていて、向後さんも手作りのパテを作ってきてくれており、これからのイタリアのご弘通の力になってくれる女性だと、とても心強く感じさせていただいた。
その向後さんもお参詣されており、再会を果たすことが出来た。有難いことに、彼女は既にイタリアのご弘通には欠かせない存在になっていた。良誓師や他のメンバーと一緒にお助行にまわり、日本で学んだ妙講一座の拝読の仕方やお拍子木の打ち方など、分かることを新しいメンバーへ丁寧に教えてくれているという。良誓師が殊のほか感謝しておられた。
向後さんの、まっすぐな瞳に、本当に胸が熱くなった。遠い国で、一人お仕事に頑張って、しかもご奉公にも頑張ってくれている人がいる。この御講席で、向後さんは日本から来た私たちのために、銀細工にフィレンツェ彫りを施した素敵なペンダントトップをくださった。そこには、一人一人の名前が彫られており、いただいた誰もが感激していた。今でも妙深寺ではイタリア団参に参加した人たちに会うと、胸に向後さんからいただいたペンダントが輝いている。コツコツと、私たちへのプレゼントを作ってくれていたことを思うと、本当に有難い。イタリア教区からのプレゼントであるから、良誓師たちの思いまでここに詰まっている。
一人が変われば世界が変わる。自分がどれほど御法さまのお役に立つか、お役に立てるか、それは自分が思っている以上に大きなものだ。一人のご奉公が人を変え、教区やお寺を変え、国を変えることもできる。特に、ご弘通ご奉公ではそれが顕著となる。向後さんのご奉公は、本当にイタリアの力になっていくと思う。向後さんに続いて、多くの本門佛立宗の若者たちに、このことを伝えたい。もちろん、活躍の場は海外だけではなく、身近な所属する寺院の中でもできるのだから。大事なのは覚悟、随喜だ。
今回、実は開導会の境内地で向後さんのご両親とお会いすることができた。ほんのわずかな時間だったのだが、彼女のご奉公ぶりに感謝することができた。有難いことに向後さんのご両親が妙深寺までお参詣してくださっていたのだ。ありがたい。
イタリアの御講では、福岡御導師のご配慮もあってイタリアのメンバーと妙深寺からのお参詣した日本人のご信者さんが交互に席に着くことにした。そうすれば、それぞれが自分の耳で、聞こえてくる御題目の声を通じて交流することが出来るだろう。そこにある国境を越えたご信心。限られた時間の中で、私たちのいただく普遍的な教えを実感することができるであろうというご配慮だった。実際、本堂内の座席を見渡して、国際色豊かな御講席の様子は圧巻だった。同じく、御講が終わった後、日本からのお参詣者も口々に「私たちよりも無始已来を綺麗にお唱えしていたわ!」「素晴らしい御題目の声に、感激した!」とお話しされていた。事実、これが本当のインターナショナルな御講となった。
この御講に併せて結婚式が行われた。アントネッラとステファノさんの結婚式。毎回ヴァレーゼというイタリア北部からお参詣に来てくださっている。ロンバルディア州だからミラノのメンバーと一緒にご信心に励んでくださっているのだ。いつも優しい笑顔をたたえたアントネッラさん、ダヴィンチのような雰囲気のステファノさんの結婚は、本当に喜ばしい。息子さんのフランチェスコ君は漢字も読めるし、真面目にご信心もしているし、いつか日本に来てもらいたいと思っている。結婚言上の時のアントネッラが流していた涙は忘れられない。本当に、こんな機会に恵まれたこと、ありがたかった。
先日、彼からも御礼のメールと写真をいただき、本当に素晴らしい結婚式となったことを喜んでいた。実は、3年前の妙深寺のイタリア団参、フィレンツェの御講でも、エンリーカとミルトの結婚式が行われた。御講席での結婚言上など、本当に有難い。御講が、それほど貴重な機会であり、柔軟な広がりを見せる機会となれることを証明してくださっている。エンリーカとミルトにはフィリッポ・悠樹くんという素晴らしい赤ちゃんも生まれた。本当に、ありがたいことだ。アントニオさんにもかわいい子供も生まれて、イタリアの御講席は若い人からお年寄りまで、年齢層も幅広く、有難い雰囲気に満ちてる。
たとえば、御導師が到着する前の「お迎えのお看経」はとても大切なことだが、遠い場所からのお参詣もあるし、みんなと会話をしながら和気藹々と御講のスタートを切る明るい雰囲気も大切だ。奉修御導師を敬うあまり、御導師が入ってくる前も御法門が終わった後も、奥の部屋に下がって会話も全くないようでは、ふれあうことも出来ない。それではご信心の強い方や普段から住職や教務とふれあっている人はいいが、そうでない初心の人にとっては物足りない。もっともっと、会話、対話、ふれあう機会を大切にしたい。
御講では、この結婚式の言上もあり、お看経終了後には懐中御本尊の拝受式もあり、私も挨拶をさせていただいた。大勢のお参詣で、2月の時よりも雰囲気がよく、温かく、お参詣者も多く、本当に有難くて、感激しながら短いスピーチをさせていただいた。
そして、福岡御導師から御法門を頂戴した。今回はローマとは異なり、全て英語での御法門。それを良誓師がイタリア語に翻訳しつつ説いてくださった。内容は、スリランカが10周年を迎えるに当たり(スリランカ本門佛立宗10周年記念団参があるので、ぜひ申し込みを)、その最初に訪れた時からの妙不可思議の御利益・体験談を交えて、「御仏」が「目の前に現れてくださる」という大事大切な御法門をお説きいただいた。
この御文は、御仏が、まさに私たちの前にお出ましいただけることをお約束くださる法華経の御法門である。そのことを痛感するのが、私たち佛立信徒が上行所伝の御題目をお唱えし、お参詣を重ねていく中でいただく「現証の御利益」である。御仏は、すでに御入滅になり、この娑婆世界にはおられないと思うのが普通だが、私たちは現証の御利益をもって「御仏の存在」を知るのである。その、証明を、あらためて感じる御法門だった。
フィレンツェでの御講の後、場所を移して日本からの参詣者、イタリアのご信者さんも一緒に夕食のご供養を楽しくいただいた。とてもイタリアンなレストランで、食事の量も全部食べられないほど多く、美味しく、楽しかった。もちろん、その場でアントネッラとステファノの結婚祝いをさせていただいた。彼らには内緒でケーキをオーダーして、サプライズのお祝い。アントネッラが特に喜んでくれていた。ありがたい。
記念写真は既に掲載させていただいたとおり。ご宝前の前で、入りきらないくらいのメンバーが並んだ。記念すべき一枚となった。
また、今回の御講の中でも特に嬉しくて、スピーチでもお話しをさせていただいたのがパトリシアのこと。パトリシアが、とても元気そうにお参詣してくれていたのだ。「信心は日々に新たに」という項でも書かせいただいた彼女。2月から、ずっとミルトとサンドラがお助行に通ってくれていたそうで、以前とは比べものにならないくらい明るい顔、雰囲気で驚いた。あぁ、お助行のお陰だなぁと思って、イタリアのみんなの温かいご信心の輪が確実に培われていることにも嬉しくなった。
あのブログを読んでとても親しみを感じたという望ちゃんは、彼女に手紙を書いていったそうで、この御講席で手渡しすることが出来たそうだ。とても温かい輪、絆が生まれていた。一人じゃない、一人じゃないんだ、というご信心の絆。本当に、有難かった。レポートが遅くなったこと、本当に申し訳なかった。
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