2022年2月27日日曜日

ロシアの市民へ


ウクライナのゼレンスキー大統領

ロシア市民へ向けてのメッセージ


「今日、私はロシア大統領(プーチン氏)との電話協議を試みたが、結果は無反応だった。


だから、私は全てのロシア市民に向けて演説したい。


皆さんに大統領としてではなく、一人のウクライナ市民として話しかけている。


2000キロ超の国境が私たちを隔てている。この国境に沿って、あなたたちの軍部隊が展開している。

20万人近い兵士と数千の軍用車両だ。

あなたたちの指導者は兵士たちの前進を承認した。

よその国の領土へ、だ。


この一歩は欧州大陸での大規模戦争の開始になり得る。


あらゆる挑発行為や火花が全てを焼き尽くすかもしれない。


あなたたちは、この炎がウクライナ市民を解放すると(プーチン氏らから)言われている。

だが、ウクライナ市民は元々自由だ。

自らの過去を記憶し、未来を創造している。

ロシアのテレビ局は「壊している」と毎日報じるが、創造しているのだ。


ロシアでの報道におけるそれと、現実のウクライナは全く別物だ。


私たちがナチズム信奉者であると(プーチン氏らが)言っている。

だが、一体、第二次大戦でナチス・ドイツの打倒に800万以上の命をかけたウクライナの市民たちがナチズムを支持するだろうか?


私がどうしたらナチズム信奉者でありえるというのだろうか?

私の祖父に言ってみてほしい。

彼はソ連軍の歩兵部隊で第二次大戦を戦った。


私たちがロシア文化を憎んでいると言われている。

どうやって文化を憎めるというのか?

隣人同士はいつもお互い、文化的に豊かにし合うものだ。


私たちは異なる。

だが、それは敵同士になるための理由にはならない。

私たちは自らの手で自分たちの歴史を構築していきたい。

平和に、穏やかに、誠実に。


私が、2014年から紛争が続く東部2州のあるドンバス地方への攻撃命令を出すとロシアでは言われている。

しかし、シンプルな質問がある。

誰を狙い、何を空爆するというのか?


標的はドネツク州の親露派武装勢力が拠点都市とするドネツク市だというのだろうか?

私はあそこへは何十回も訪問している。

地元市民の顔を、瞳を見つめてきた。

ドンバス・アリーナでは、12年のサッカー欧州選手権の際に、地元市民と一緒にウクライナ代表チームを応援した。

シェルバコフ公園では、代表チームが負けたとき一緒にやけ酒を飲んだものだ。


標的はルガンスク州の親露派武装勢力が拠点都市とするルガンスク市だというのだろうか?

あそこには親友の母親が暮らし、その父親が葬られているというのに。


ロシアにいる人たちには、なじみのない話でしょう。

これは私たちの祖国であり、歴史なのです。

あなたたちは何のために、誰と戦うのですか?


あなたたちの多くはウクライナを訪れたことがあり、親族がいる。

ウクライナの大学などで学び、ウクライナ人と友達になった人もいるでしょう。

私たちが何を大切にしているかを知っているでしょう。


自らの理性の声に耳を傾けてほしい。

私たちの声を聞いてほしい。

ウクライナの市民も政府も平和を望んでいる。

そのために可能な限り行動している。


多くの国々がウクライナを支援している。

なぜなら、私たちは平和や正義、国際法、自決権、安全確保の権利について話しているからだ。

これらは国際社会にとっても、あなたたちにとっても重要だ。


私たちは、戦争は不要だとよく分かっている。

しかし、もし、私たちの国を、自由を、人生を、子どもたちの命を軍事攻撃で奪い取ろうと試みるなら、私たちは自衛する。


あなたたちが攻撃をするとき見るのは、私たちの、逃げていく背中ではなく、正面から向き合う顔になるだろう。


戦争は巨大な災厄であり、あらゆる意味において高くつく。

最も重要なことは、人々が愛する誰かを、そして自分自身をも失うということだ。

戦争においては常に多くのものが不足する。

有り余っているのは痛み、流血、死だ。数千、数万の死だ。


あなたたちは「ウクライナがロシアにとって脅威である」とロシア政府などから教えられている。

そんなことは過去も現在も未来にもあり得ない。


あなたたちロシアは北大西洋条約機構(NATO)に対して安全の保障を求めているが、私たちも安全の保障を求めている。

あなたたちロシアから、そして1994年に結ばれた「ブダペスト覚書」の他の当事国、英米からも。


現在、私たちはいかなる軍事同盟にも属していない。

ウクライナの安全保障は近隣諸国にかかっている。

従って、欧州全体の安全について話をしなければならない。

しかし、私たちの主たる目的はウクライナにおける平和と国民の安全だ。

そのために、あなたたちを含めて誰とでもどんな形式でも対話する用意がある。


戦争はあらゆる人々から安全の保障を奪う。

それによって誰が一番犠牲になるだろう?

人々だ。


誰が最も戦争を望まないだろう?

人々だ。


誰が戦争を止められるか?

人々だ。


しかし、あなたたちの間にそのような人々はいるだろうか?

私は「いる」と確信している。


ロシアのテレビでは私の演説は放送されないと知っている。

だが、ロシア市民はそれを見て真実を知る必要がある。

真実とは、手遅れになる前に止めなければということだ。


ロシア人は戦争を欲しているのだろうか?

その答えはあなたたち、ロシア市民だけに懸かっている。」

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