ご奉公させていただいて、何より有難いことは御利益をいただかれた方々の笑顔を見ることである。元気な姿を見ることである。楽しそうにしている姿を見ることである。それが現証の御利益そのものであり、御題目の御力の証だから。
生きていて、ご信心させていただき、ご奉公させていただく中で、これほどまでに嬉しいことはない、楽しいことはない。生きて甲斐ある身の上だと、本当に有難く思える。
御教歌に「くるしみを人ののがれしよろこびを きくばかりなるたのしみはなし」とある。
それを「楽しみ」にして生き、ご奉公させていただかなければならない、とつくづく思う。自分の欲を満たすことだけを「楽しみ」にしているのとは、その味わいが違う。
別の御教歌には、「煩悩のたのしむ程はしばしにて のちのくるしみながき世の中」とある。
自分の「煩悩」を満たすことは楽しい、楽しいけれどもそれはほんの一瞬で、そのことをしてしまったがために、それを取ってしまったがために受けなければいけない苦しみが長く続いてしまう、そういうものが世の中ではないか、と教えていただいている。そのとおりだと痛感する。
なるほど、そういうことが信心なのかと、「たのしみ」を変えてみる、「視点」を変えて味わえるようになると、人生の風景そのものが変わってくる。御教歌にあるとおり、「たのしみを かへてかしこのまねしたら あほのすることみないやになり」と、自分の生き方、過ごし方、人の愛し方、愛され方が変わってくるというものだろう。私などは、まだまだこの段階まで行けてはいないが、それでも先述の御教歌のように、ご奉公やご祈願をさせていただいてきた人やご家族が、苦しみの淵から逃れたという姿、その元気そうな姿、楽しそうな笑顔を見る度に、「あぁ、ご奉公させていただいてよかった」「これこそ、ご信心で教えていただく本当の喜びなのだなぁ」と気づかせていただくのである。
6月4日、長松寺の御総講。お看経と御法門を終えると、吏絵ちゃんとお母さんがお参詣に来てくださっていた。昨年の夏以来、長松寺の御総講には、お父さまやお母さま、吏絵ちゃん、時々お兄ちゃんまでお参詣に来てくださっている。そんな御縁を、心から嬉しく思っている。
今でも、私は毎日吏絵ちゃんの御祈願を続けさせていただいている。白血病を完全に克服し、すでに通常の学校生活に戻っていてテニス部の部活にも頑張っていると聞いたが、あれほどの病気をしたのだから御祈願を続けさせていただきたいと思い、「身体健全、学業成就」の御祈願を勝手ながら続けている。
毎回の長松寺のお参詣を有難いと思っていた。今回も元気そうに、ちょっと大人っぽくなって、綺麗になった吏絵ちゃんに「おーっす、ありがとーございまーす」と声をかけた。すると、なんと今回は吏絵ちゃんからお手紙とプレゼントをいただいしまった。
吏絵ちゃんは15才の誕生日を迎えたということで、その御礼のプレゼントだった。え?でも、本当なら僕が誕生日プレゼントをあげなければならないところなのに。佛立宗のご信心では「誕生自祝」という教えがあり、生きていること、生きてこられたことを誕生日を迎える自分が感謝して、むしろ祝われるのではなく周りの人に御礼をするということがある。吏絵ちゃんからお手紙をいただくまで、そのことも忘れていたなぁ。
手紙には「ご住職へ。ありがとうございます。先日15才の誕生日を元気にむかえさせていただきました。子どもさんにあげてください」と書いてあった。本当にありがたい。ありがとう、吏絵ちゃん。
御祈願をはじめた時、吏絵ちゃんは12才だったね。あっという間に時間は流れた。苦しいこともあったけれど、こうして元気に15才の誕生日を迎えられたこと、本当に御法さま、お父さま、お母さま、お兄さん、お祖父さま、お祖母さま、宥清寺のご信者みなさん、ご祈願してくれた方々全員に御礼させていただきたいね。ありがたいよ。本当にお手紙、ありがとう。大切にする。ご祈願も、続けさせていただきます。たくさんの人の力になれるような、素敵な大人になってもらいたいと思う。きっと、吏絵ちゃんならなれると思う。
長男に「覚えてるか?吏絵ちゃんからのプレゼントだよ。お前にって。ありがとうしないとな」と言うと、彼はしっかりと覚えいたようで、「え~、ありがとー」と言っていた。ほんまに分かってるのかな(汗)?重ね重ね、ありがとう、吏絵ちゃん。元気が出ます。
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