2008年6月17日火曜日

長松寺の開導会

 14日は、妙深寺と長松寺の先住、僧名・長松清凉、松風院日爽上人の祥月ご命日だった。この日のために、いろいろなことが身の回りで起きていて、いろいろなことに気づかせていただいた。
 14日、6:30から12:00まで祥月ご命日の法要と一万遍口唱会のご奉公をさせていただいて、あの15年前の事故について振り返った。寺報でも取り上げてご披露してきたが、大勢のお参詣で、多くの方が先住が身を挺して教えてくださった御題目の御力のすごさ、お看経の大切さを噛みしめた。
 その後、新幹線に飛び乗って京都へ。15日は京都・長松寺の開導会を奉修させていただいた。実は、14日の夜は妙深寺の局長や瓜生さん、古森さんと、ゆっくり一緒に時間を過ごせた。先住のご遷化から8年、特にこの数年、これほどじっくり、ゆっくりと時間を一緒に過ごしたことがなく、これも先住の祥月ご命日の功徳だと、本当に有難く思えた。
 日曜日、晴天の下、名古屋建国寺の御高職・石川御導師をいただいて長松寺の開導会を厳修させていただき、これも先住にお喜びいただけるご奉公になったと有難く思えた。
 先住の御縁をいただいて、伏してお願いして御唱導いただいた開導会。石川御導師は、先住とご弘通の面で非常に深い御縁があった。その御縁をいただいて、先住ご遷化後からずっとご弘通面でご指導をいただいてきた。30才そこそこで住職となった私にご自身の体験をふまえて、いつも丁寧に、やさしく、具体的にご教導くださるのだった。
「清潤師、住職となって先代の七回忌が過ぎるまで私には記憶がありません。そのくらい、がむしゃらにご奉公させていただいたものです」
「住職はお寺の前歯です。前歯が欠けていたら格好が悪い」
「新しい方々に、とにかく住職が声を掛けることが大切です」
「寺の大小を比べるのはアホ。ご信者の人数も、教化の数も、あまり意味がない。大事なのは、そのお寺に、どこに出しても恥ずかしくない本物のご信者が何人いるか、です。そこが勝負ですよ」
「ご弘通は難しいことは無いと15世は仰ったと聞いています。いま、ご弘通の発展しているお寺に学べばいいだけだ、と仰ったそうです」
「毎年同じご奉公をしていてはいけません。一つでも工夫をしなさいと先住に教えていただきました」
 こうして、そういう具体的で分かりやすい、行いやすいことを教えていただいて、ご奉公させていただいてきた。どれほど有難かったか。いま、こうして長松寺の開導会をお勤めいただいたけたこと、言い尽くせない感謝がこみ上げる。
 実は、先住日爽上人も、生前石川御導師に長松寺の奉修導師を御願いしたと聞いている。しかし、石川御導師は恐縮され、固辞されたという。この度は、本当に思い深く、ご奉公をご承諾いただいたのだと、つくづく感じさせていただいた。
「尊像をいきていますとおもはねば 信心するも無益也けり」
との御教歌をいただいて、開導聖人の御指南、実例としての体験談を織り交ぜて御法門いただき、一同随喜させていただいた。「わたしらも信心改良しなければ」との声が、奉修後にあちこちで聞こえ、大変に有難かったと思う。
 とにかく、御法門の要旨は「お祖師さまにお喜びいただくことがご信心であり、ご奉公であること。それで合格。それ以外は不合格」と。開導聖人は、すべて「お祖師さまのおかげ」と仰っている。自分の手柄のようなことは一つもない。それが佛立である。お祖師さま、高祖御尊像に、お給仕のまことを尽くして、ご弘通が発展したのも、全てはそのお祖師さま、御尊像のおかげ、と。
開導聖人の御指南、
「宥清寺の繁昌も高祖さまにて群集する事をしるべし」
「清風いつも本堂に走り出て高祖御宝前へ親にもの申上候ように申上候て、唱題し御願い申上候て、皆々へはなしいたしおり候」
「御尊像の御気嫌直したる者は清風の外に天下に一人も無し云々。清風参る迄は御きげん大にわろし。参詣もなく、御利生もなし」
 大変に尊く、有難く、自分の信心を改良すべきと心から思わせていただくことが出来た。「走り出て」と。お祖師さまの御尊像の前に、小走りに近づかせていただいて、親にものを申し上げるように、ご相談する、御題目をお唱えする、ご祈願させていただく。その開導聖人の純粋なご信心を、再び学ばせていただいて、初心に帰ることが出来たように思う。
 また、「ご機嫌」が悪くならないように、ご奉公させていただかなければと思えた。御威光はいつまでもあるものではないということを知らなければならないのだ。こちらのご弘通ご奉公が御本意に叶っていなければ、「御きげん大にわろし。参詣もなく、御利生もなし」となりかねないのか、と。
 日曜日、祥月ご命日と長松寺の開導会を終えて、心の中が清々しく、不思議な気持ちで満たされた。本当に有難かった。

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