2025年6月1日日曜日

【教区御講 御法門】「引き寄せの法則」ではなく「押し出しの法則」


御教歌「人にさせせぬをとくかとおもひしに おのが果報をへらす損あり」
開化要談(九)・扇全13巻226頁
陰徳の事・扇全17巻274頁

先住の口癖
「我身をくだりて人を立て、徳は人にゆづりて苦労は我に引うくるやうにするを、本因妙と申し候。」
法華経本門のご信心、本門佛立宗の教えの根幹、妙深寺のご信心の指針です。

人にさせない。人にもらわない。
自分がする。自分が与える。

「引く信心」から「押す信心」へ変えなければならない。
あなたはどちらでしょうか?
幸せは「引き寄せる」のではなく「押し出す」ことで得られる。
幸せは、押し出して、その反動で戻ってくるもの。
本門佛立宗のご信心は「引き寄せの法則」ではなく「押し出しの法則」なんです。

先ほどの御指南を丁寧に見ていきますと、
「我身をくだりて人を立て、徳は人にゆづりて苦労は我に引うくるやうにするを、本因妙と申し候。
此修行の心得は、ヨコヅチを中につりたるやうなるものにて、向ふへおせば、こなたへ来る。御さとりなさるべく候。」(現世安穏祈願成就抄・佛立聖典四四九)

幸せは重たい振り子のようなもの。引っ張っていようとすれば大変な力がいるし、少しでも力を抜けばあっという間にあっちへ行ってしまう。

プラスとマイナス。マイナスとプラス。
どちらを先に選ぶか。そのように問いかけておられます。
因果の道理は、「先に与える」「先に苦労する」「先に払う」「先に押し出す」からプラスになるということ。
「先にもらう」「先に楽する」「ボーッと待っている」では絶対に幸せにならない。

今日は、別にお参詣しないわけでも、ご奉公しないわけでもない。そういう私たちに、「そのご信心は、しっかり罪障消滅できるご信心、菩薩行のご信心になっていますか?」ということを問う御法門です。

ご信心はあっという間に落ちてゆく。同じように本門佛立宗のご信心をしていても、あっという間に間違った、功徳の薄い、他の信仰と変わらない、自分さえ良ければいいという考え方、まったく開導聖人の御指南と違うやり方、いじわるさ、ずるさになる。
そこをシビアに見つめ直さないと、ドドーっとご信心は落ちて、いつの間にか形だけのご信心、間違ったご信心になってしまうと注意されてる。

「人にさせせぬをとくかとおもひしに おのが果報をへらす損あり」

人にさせて、自分はしない。
それで得をしたと思う。それで儲けたと思う。やったー、助かった、ラッキー!
しかし、自分の果報を減らす、自分の功徳を減らす、時間を潰す、台無しにする。
そんなことばかりではないか。
これは、方程式が間違ってしまうので、そうなっても気づかない。
いつしか、そうやって過ごしていても、何も不思議じゃない、当たり前になる。

なるべくお寺には行かないで、なるべく交通費は使わないで、なるべくゆっくり寝て、なるべくご奉公に時間と手間をかけないで、楽をして、楽な道を選んでしまう。
「今日もオンラインにしておこうかな」
「今年はあの人に任せておいて、自分はいいわ」

何度かさせていただいていますが、星野鈴江さんのご信心のお話、ご奉公のお話。
どうしても、頭から離れないエピソード。

同じ時間を使う、同じように体を使う、もらう、もらわない。
どちらを選ぶか。

本門佛立宗のお寺でなければ、こうした教えがなければ、「お金をもらって当たり前」「送り迎えがあって当たり前」になります。
いつの間にか、お寺にいる人、大きな法要の準備ご奉公でも、全部が業者さんがやる、職員さんがやる、そこに檀家さんはいない、そこにご信者さんはいない、という話。
いつの間にか、そうなってしまうんです。
お寺の中が、職員さんだけになってしまって、「ご信者さん」は全員お客さんになる。お客さん気分です。お客さまは神様です。仏様よりも偉い。
これでは全く修行になりません。仏教ではありません。因果の道理から外れてる。

「人にさせせぬをとくかとおもひしに おのが果報をへらす損あり」

「我身をくだりて人を立て、徳は人にゆづりて苦労は我に引うくるやうにするを、本因妙と申し候。」

本当の幸せは、菩薩心から生まれる、菩薩行でいただける。
「幸せよ、こっちに来い、こっちに来い」と思って、「よいしょ、よいしょ」と引いても、腕はプルプル、力が必要で疲れるばかり。
やっとのことで引き寄せても、少しでも気を抜いたら、あっという間に反対側に逃げてしまう。なかなか幸せは来てくれない。

ご信心していても、ご祈願は全部自分のため、自分の家族のため。それ以外は、できません、しません、面倒です、忙しいんです、年なんです、と。まったく、人のために動いていない。振り子を押してない。こっちにばかり引きよせようとしてる。それじゃダメ。

どんな時に人のために動けたか、それが大事なんです。菩薩を育てる。これはお寺の人材が足りないからというだけじゃないです。正しい佛立信心はそこにある。そこが本当の佛立信心。

どうか、今日お参詣の皆さん、この御教歌の御意をいただいて、徹底的に、本門佛立宗の本物のご信心を身につけましょう。
「引く信心」から「押す信心」へ。もらう信心ではなく、押し出す信心、動き出す信心。
後戻りせず、いい負を取り、身を削り、心を尽くし、ご奉公する。
人にもらわない。
自分が与える。
今日も功徳を積んでゆく。
凡夫転倒を乗り越えて、積功累徳、本物のご信心をさせていただくことが大切と教えていただく御教歌です。

故に、御教歌に。「人にさせせぬをとくかとおもひしに おのが果報をへらす損あり」

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