今日、月曜日(日本時間で火曜日の未明)、米下院で金融安定化法案が否決されたことを受けて、市場は期待を裏切られた。過去最大の下げ幅で取り引きは終了し、バブルが崩壊したことを改めて印象づけた。短期金融市場は機能不全に陥っている。
かといって、あまり不穏な、暗いことを書きたくない。前回ここに掲載した「備えあれば憂いなし」で書いたが、こうなっては仕方ない。来るべき事態に備えて、危機もチャンスに変えて欲しいと願う。
それにしても、ブッシュ政権とは最後まで仕事の目的や内容の掴めない政権だった。大学卒業後、ほんのわずかな期間を親族の石油会社で過ごし、下院議員に出馬して落選。大統領の父親の権威を背にオイル会社を経営していたが、その経営に頓挫して政界に進出。保守的なテキサス州の知事として政治活動をはじめたが、既にこの頃から彼自身も保守的キリスト教徒としての政策を進めた。大統領になってからも、私は彼が宗教的に保守的な政治を進めてきたと感じている。政権末期には対話を重んじる政策も見え隠れしたが、基本的には米国的な正義を強い続けた。前後の見境もなく突き進む政策やどこか軽い姿勢に、極端な福音主義の多くが信じる世紀末思想やハルマゲドンを待望する思想が彼らの中にあるのではないかと思えてならなかった。最後まで、世界や米国民に危機感を煽るが、政権には危機感が感じられないと思えるのだった。
残すところ約1ヶ月で大統領選挙が行われる。最後の最後までブッシュ政権には迷惑させられたと思う人々が多いだろう。彼は飾り物であり、周囲が利権や政治的信条を実現するために彼を利用したというレポートもあるから、ブッシュ氏本人だけに責任を押しつけるわけにはいかないかもしれない。しかし、世界大恐慌を防ぐ一つの切り札・対策に対して、ブッシュ政権への不信感が働いて否決されたことは疑いない。共和・民主の両党に合意があったにもかかわらず、国民の信が得られないと判断して多くの反対票が投じられた。つまり、この金融危機、いや経済危機は、これまでの政権8年間のツケが一気に回り、対策にまで影響を与えているといえる。
先物取引が始まり、一時原油が記録的に高騰し、しかし石油関連企業は史上最高益を上げた。世界的なパワー・シフトが起こりながら、近視眼的な対策しか講じられず、目先の利益に走り続けたという感がある。今日という日が、ニューヨーク・タイムズが報じたように本当の「ブラック・マンデー」になってしまうのか、今後の対策や動向によるが、何とか危機をチャンスに変えて欲しいと思う。
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