2007年11月13日火曜日

69才のピアニスト

 サメは止まっていると窒息してしまうらしい。他の魚にも同様のものがあるというが、彼らはエラ呼吸が出来ないためにずっと泳いでいなければならないらしい。どうやら、私もそうなんだと思う。

 ずっと以前からお願いし、お約束していたことがあり、ちょうど高祖会奉修後の日曜日、それが実現した。高祖会のご奉公ほど大きな行事が終わるとホッと一息というのが普通なのだろうが、止まっていることは性に合わない。夜にはお約束した場所に一人で向かった。

 以前、妙深寺の奉修御導師もお勤めいただいた御導師で、私の父と渋谷・乗泉寺修行時代からのご友人。その御導師と奥さま、お嬢様と待ち合わせをして、ある場所に向かった。

 私の父はJAZZが好きで、家の押し入れには廃盤のようなJAZZのレコードが山積みになっている。今やレコードをかける機械が壊れてしまっているので回して聴いたことはない。しかし、いつか父の好きだった音楽を聴いてみるのも良いだろうと楽しみにしている。

 渋谷修行時代からのご友人である御導師も、父と同様にJAZZがお好きだとお聞きしていた。私は勝手に、父とは過ごせなかった時間を、御導師に父親代わりになっていただいて実現してみようと思うようになった。そして、数ヶ月前から「一緒にJAZZを聞きに行ってください。連れて行ってください」とお願いしていたのだ。そして、その願いが叶う日が11月11日の日曜日だった。

 高祖会のご奉公が無事に円成した後、18時を過ぎて、表参道にあるBlue Note Tokyoに向かった。実は、御導師のお嬢様は永年ここに勤めておられたという。すごい。御導師もJAZZがお好きで、奥さまもJAZZがお好き。その影響で、彼女もJAZZが好きになり、このお店で海外のアーチストたちのコーディネートを手がけてこられた。特に、彼女は世界的なベーシストのレイ・ブラウンと深い親交を結んでいたとお聞きした。来日した折には、彼女でなければダメと言っていたほどらしい。ありがたい。素晴らしい人格を、世界的なアーチストから認められたのだろう。さすが、御導師のお嬢さま。

 その彼女のコーディネートもあり、日曜の夜のBlue Note Tokyoは、素晴らしいシートだった。感慨深く御導師と一緒に座り、とにかく疲れた心と身体に、父を思いながらJAZZの旋律を血液に入れさせてもらった。その夜は、お嬢様のお薦めもあり、「McCOY TYNER TRIO with special guest GARY BARTZ」と題したセッションだった。McCoyは、69才だという。その69才のピアニストの織りなす音楽に、あっという間に魅了されてしまった。

 もちろん、高齢のためか、素人の私が聴いていても、ミスタッチやリズムの外れることもがある。しかし、その全てが、彼の全てに照らして素晴らしい「音」だと感じられた。また、ドラムスの何とも言えないリズムがいつまでも耳に残っていて心地よかった。

 考えてみれば、69才になってもピアニストの彼は世界中を飛び回り、多くの人を魅了し続けている。自分で音を作り、組み立て、セッションに入るゲストとリハーサルを重ねて、彼の音を聞きに来る人たちを楽しませよう、喜ばせようとプロ根性を燃やしている。自分が69才になった時にも、元気でこうした生き方が出来ているだろうか。人を心から喜ばせ、心から楽しませることが出来るだろうか。

 プロ根性。どんなに高齢でも味わいのあるセッションが出来るはずだ。教務、導師として、私もそうなりたいし、そうでありたい。日本中、世界中を精力的に飛び回り、ご弘通させていただきたい。どんなに高齢になっても、体力を維持してご奉公させていただきたい。ある意味で、「音」を織りなすのが本門佛立宗の導師という者なのだから。

 「この公演が最後かも知れない」とお嬢様から聞いた。本当に貴重な機会に参加できたと思う。高祖会の疲れも出ない。一瞬一瞬が充実している。また勉強させていただいた。公演を終えて、一人で東横線に乗り、たくさんの人の顔を見ながら反町まで帰ってきた。疲れていたと思うが清顕師に連絡をして、反町まで迎えに来てもらった。

 本当に、感動の高祖会と共に、素敵な体験をさせていただいた。

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