今日は本年最後の門祖総講。9:30からの奉修。この門祖総講では、通常来年度の受持発表などを行う。しか~し、残念ながら今回は間に合わなかった。資料を集め、吟味しようと数週間調整してきたのだが、その資料の到着も間に合わず、吟味も出来ず、仕方なく「受持御講師の発表」は数日遅らせることにした。申し訳ない限り。
門祖総講では本年最後となる御法門。
御教歌は、
「世の中はまだしづかなり長きよの 心晴ゆく あけのかねのね」
といただいた。この御教歌は、平成19年の初総講と1月の教区御講で拝見し、説かせていただいたものであった。
佛立開講150年の奉賛ご奉公を終えて迎えた平成19年。「結前生後」と題して、奉賛ご奉公によって生み出された喜びの波を、どのように実感できるか、結実させ育てられるかを問う一年間であったと思う。
一方、世は混迷を深めたように思う。経済は、地雷を踏まないように足踏みしているような状態のようだ。偽装や偽造事件は増加の一途をだどり、私たちが抱いている「食の安全」という前提は崩れてしまった。新聞には「親殺し、子殺しの時代」と烙印を押されてしまった。
その一年の中、私たちは「明けの鐘の音」を聞いて、「心晴れやか」になれただろうか。いや、私たちは、そうならなければならない、と教えていただくのだ。末法の長い闇の世にあっても、私たちは、さらに晴れやかに生き抜こうと決意する。しかも、まだ闇の世にあって眠っている人、暗闇に迷う人の支えとなり、励ましとなる生き方を志す。
誰が聞いても、ふさぎ込みたくなるニュース。平成19年は1月1日から3日までの間だけで以下のような事件があった。
・長男火付け自宅全焼、78歳父遺体で 茨城1月1日配信 毎日新聞
・母親刺殺、長男を逮捕=「なじられ恨み」-神奈川県警1月1日配信 時事通信
・母が包丁で1歳長女切りつけ逮捕 千葉市1月1日配信 毎日新聞
・72歳父、酒に酔い41歳息子を刺殺…東京・東大和1月2日配信 読売新聞
・小2二男殴るける、1週間のけがさせた父親逮捕…姫路1月3日配信 読売新聞
・父親に殴られた1歳男児、死亡 千葉・市原1月3日配信 毎日新聞
・女子短大生の切断遺体 渋谷 自宅でポリ袋に入れられ発見。弟逮捕。1月3日配信 産経新聞
・倉敷の4歳児虐待死:暴行容疑で母親送検 二男の死因は七味吸入。岡山1月3日配信 毎日新聞
・倉敷の4歳児虐待死:暴行容疑で母親送検 二男の死因は七味吸入。岡山1月3日配信 毎日新聞
こうした事件を聞いて、イヤな気分にならない人はいない。ふさぎ込む。自分の母親が幼い子どもの口に七味唐辛子を詰め込んで殺している。今年のお正月、僅か3日間でこれだけの事件が起きていた。平成20年のお正月は大丈夫だと、誰が言えるだろうか。
しかし、私たちは「明けの鐘の音」を聞いていることを自覚しなければならない。その「鐘の音」を以て、暗闇に怯え、苦しんだり、迷ったりしている人の、何とか力になろうと努力しなければならない。走り回って、「起きて」「起きて」と呼びかけてもいい。
アトピーが増え、ぜんそくはこの10年で倍、幼児虐待はこの6年で2.5倍。先住がご遷化になられてからの僅か6年間で倍以上になっているということだ。そして、いつもの通り、「原因は特定できない」「分からない」と結ばれる。
七五三の時のブログにも発表したが、この10年来、日本の学校での障害児増加は著しい。神奈川では、養護学校の在籍児童数は毎年2校分に匹敵する200~300名のペースで増え続けている。小・中学校の特殊学級はさらにハイペースで、その学級の在籍児数は10年前に比べて2倍近く増加している。そして、結びはこうだ、「原因は特定できません」。
まさに、長い暗闇。便利になった、社会は発展した、豊かになったと言いながら、薬の数だけ病気が増えている。戦争も起きてないし、爆弾も使っていないのに、イラク戦争の死者に匹敵する35000人が毎年自殺するような日本。何かが間違っているし、何かが欠けている。
こうしたことを御教歌をいただいて、説かせていただいた。これから、平成19年度の「教幹納会」にッ向かう。平成20年にむけて「結実と飛躍」を誓うと企画してくれた。振り返ってみても、例年以上に今年は「鐘の音」が強く聞こえた年だった。本当に有難い。有難いとつくづく思う。百本祈願の流行しているお寺。多くの人が御題目口唱を喜び、御利益を感得している。有難い。
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