「世紀のダ・ビンチを探せ!国際アートトリエンナーレ2007」でグランプリを取った田口くん。彼と共に廻った2005年6月のイタリア。フィレンツェで合流し、ローマまで一緒に移動して過ごした。
この田口くんの快挙を妙深寺のご信者さんにご披露したところ、大変な反応があった。イタリアに行った人たちは彼のことをずっと覚えていたらしい。
そう、前回は書いていないが、ローマのカンツォーネ・ディナーの時、オランダから来た他のテーブルの観光客の方々がダンスをしはじめて、私たちも川上さんご夫妻を筆頭にダンスを披露してくれた。
その時、田口くんも一肌脱いで「剣舞」のような独演をみんなに披露してくれたのだった。拍手喝采だった。それにしても、この時の田口くんがとても「貧しそう(笑)」だったので、ダンスの後に田口くんの被っていた「麦わら帽子」を回して、みんなが帽子の中に「チップ」を入れてくれた。このエピソードを私は忘れていたのだが、12月の御講で田口くんの話を聞き、瓜生さんが感激して教えてくれた。「彼の踊りが素晴らしくて、そのチップを集めて彼に渡したんですよねー」って。そんなことまでしてたんだなぁ。彼は幸せ者。そんな彼がグランプリを獲ったなんて、みんなにとっても大変な喜びであり、驚きなのだ。
今回、このブログで大切にしていた田口くんのデッサンを載せちゃおうと思う。本当に素敵だ。彼がTシャツに短パン、麦わら帽子にリュックサックという姿で現れた時は「なんじゃー?」と思ったが、食事代として書かせた絵を見てうなった。本当に素晴らしい。ぜひ、見てもらいたい。ダウンロードして壁に掛けていただいても良い。いや~、価値があると思うなぁ~。
最初の絵はフィレンツェの中心、アルノ川に掛かるポンテ・ヴェッキオ(ヴェッキオ橋)である。水彩画で色をつけてくれた。本当に素敵な画。僕はこの画が大好きだ。右側の絵は、まさに鉛筆によるデッサン。フィレンツェの街角から見えるサンタ・マリア・デル・フィオーレ寺院である。この大聖堂は140年をかけて建設された。フィレンツェの代表的な建築物であり、中世のキリスト教勢力の強大さを痛感させられる。天井画の地獄図は「恋人たちのドゥオモ」には似つかわない恐ろしいものだが、それでもフィレンツェに君臨する中心的存在になっている。フィレンツェでは、どの街角からもこの大きな円屋根が見える。
それにしても、140年かけて寺院を造るというのは素晴らしいことではないか。東大寺の大仏の鋳造と大仏殿の建設の期間は、大仏造立の詔が発せられた743年から竣工の758年までなので約15年。スケールが違う。もう、ある意味で君主制や強固な封建制でもない時代には、そんな大寺院建立という大事業は不可能だと思うが、こういう長い時間をかけるという考え方は勉強になるなぁ。
いつも考えているのだが、私の住職の代では、どんなに老朽化が進んでも、出来る限り昭和47年に建立された現在の妙深寺本堂でご弘通させていただきたい。手狭になっても、それも喜んで使わせていただけるだけ使わせていただきたい。新本堂の建立という大事業は、私が住職をしている時ではなく、次のご住職にしていただきたいと思う。それまでは、とにかく一人でも多くの人にご信心をお伝えし、支え、ご信心の喜びを感得していただきたい。
そして、次のご住職とその時代のご信者さんには「千年本堂」を建立してもらいたいなぁ。私は一人でイスラエルを旅したが、彼の地にも1000年以上の歴史を経て、なお人々の尊崇する寺院がある。ローマやフィレンツェでもそうだ。多機能な建造物であると無理かも知れないが、せっかく建立したのに数10年で立て直しを迫られるようでは哀しい。シンプルでも、1000年以上護持させていただけるような本堂を三ツ沢の丘に建立してはどうかと思う。最初に御有志される方々は、結局完成した本堂を見ることは出来ないのだが、100年かけて建設しても1000年以上信仰の中心地になると考えれば本望ではないか。
彼が書いてくれたデッサンの総数は、10点にも上る。私は鉛筆の濃淡だけで書いてくれたデッサン画を本当に気に入っている。フィレンツェの街は非常に入り組んだ路地が張り巡らされている。石畳、そして両側の家々、路地の上に見える空、、、、。それを鉛筆の濃淡で表現してくれている。
凡庸な私たちからすると突拍子もないパフォーマンスをする彼だが、さすがは芸術家としての基本を習得しているということだ。これほどセンスがよく、綺麗に、デッサンが描けるのだから。
今年の2月、フィレンツェのご奉公にひろし君が合流した。親会場でご奉公させていただいた次の日の朝、2人でジョギングをした。フィレンツェの町中を抜けてパラッツォ・ヴェッキオ、ウフィツィ美術館の中央をダ・ヴィンチやラファエロ、ミケランジェロの銅像に見下ろされながらアルノ川沿いに出てポンテ・ヴェッキオへ。橋を渡ったら少しだけ左に折れて坂を上った。坂の両側は大きなお屋敷が続く。高い塀に囲まれた坂道を駆け上がると、トスカーナの丘の上に出る。旧市街の塀を見ることも出来る。気持ちの良い風に吹かれて、気持ちの良い朝だった。
ここに挙げたデッサンを見ていただいても、彼の素晴らしいセンスが分かるのではないだろうか。このオリジナルを持っているのだから、将来がたのしみ~。もし彼がピカソやダ・ヴィンチのような偉大な芸術家の卵だとしたら、このデッサンの価値は大変なものだ。それこそ、「千年本堂」の資金になるなぁ(笑)。
次には、フィレンツェを南下して、彼がアッシジで描いたデッサン、水彩画を紹介しようと思う。アッシジは聖フランチェスコが生まれ育った街であり、サン・フランチェスコ聖堂がある。私たちはこの街によって、昼食を取り、この聖堂を訪れた。
この街を訪れるに当たっては、その前後で私からアッシジやカトリックというキリスト教、聖フランチェスコについて説明した。その上で、私たちがこれを見て、どのようにキリスト教を捉え、ご弘通を考えていくかをお話しさせていただいた。
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