ピストイアはフィレンツェから車で1時間程度の古い街。街は14世紀の城壁に囲まれていて、中世の雰囲気が色濃く残っている。特に大理石の縞模様が印象的な鐘楼、ドゥオーモがある。私の訪問はあっという間だったので分からなかったが、この街に住むサベリアからもらったガイドブックには古い歴史のことなどが書いてあった。この街には音楽アカデミーも多く、日本の美智子皇后がイタリアを訪問した際、このピストイアに寄られピアノの演奏を披露されたことがあるという。
そんな街に住んでいるのがサベリアで、彼女を初めて見たのは3年前だっただろうか。親しみやすい笑顔の女性で、妙深寺から参詣した人たちとも上手に交流してくれていた。聞いてみると、ちょうど3年前からご信心をされるようになり、1年前にご自宅に御本尊を奉安されたばかりだという。つまり、はじめて会ったときは懐中御本尊をいただかれたばかりだったのだろう。非常に精神的に辛く、厳しい状態だった。その時、このご信心、御題目によって救っていただいた。何とも有難い。
部屋にはいると、まず飛び込んできたのは、何と『キャプテン・ハーロック』のポスターであった。左側には「ベルサイユのばら」のポスターがあった。すごい、なんじゃこりゃ~と驚いたのだが、そうこれが現在世界を席巻する「ヨーロッパの21世紀型ジャポネスク・ブーム」であり、彼女はもともと「日本フリーク」なのであった。だから、お宅に入っていくと「ありがと~、ございま~す」と流暢な日本語での挨拶をしてくれたのだ。
すごいなぁ、日本カルチャー、ジャパニーズ・ブーム。こんなに浸透してる。中世の面影を色濃く残しているピストイアで、部屋の中を日本のアニメで飾るサベリア。すごーい。
御宝前の横の棚には、さらにすごいフィギアが飾られていた。アルプスの少女・ハイジやクララ、おじいさんまでいる(涙)。ドラえもんは勿論、ドラミちゃんもいる(涙)。銀河鉄道999のメーテルが旅行鞄(関係ない?)を持って立ってるし、ピカチュウもいる。あ、もののけ姫の男の子、名前は忘れたなぁ、何だったっけって(笑)、考えている間に時間が過ぎてしまう。実は、僕もニッポン人だもん、アニメで育ったのです。びっくりしたのは、彼女は僕が子供の頃に好きだった「ライディーン」の写真まで持っていたのです。それは合成写真のようなポストカードで、ピストイアの街にゲッターロボやマジンガーZやライディーンが現れた(汗)という設定の、非常にオタッキーな写真だった。
「ねぇ、これってオタク?」って聞くと、「ノー、オタク!」と言っていた。意味分かってるのかなぁ(汗)。とにかく、オタクではないということらしい。それにしても、彼女は日本の文化を心から愛しているんだなぁ。ご信心に出会う以前から、日本文化が大好きだったという。すごい、ニッポン。
しかし、「本門佛立宗」「御題目のご信心」を「日本のもの」とと単純に考え過ぎてはいけない。確かに、ヴィシシュタ・チャーリトラ(上行菩薩)はインドから見て極東である日本にお生まれになった。「日本」は、そういう意味で大変に果報がある(幸せだ)。ここに立脚して驕っていると、「ご弘通」イコール「日本文化を輸出」ということだと勘違いしてしまう。よく考えればこれはおかしな話で、もう少しお祖師さまの教えの中の普遍性にフォーカスしなければならないと思う。
彼女に「ガンダムは知らないの?」と聞くと、ものすごい反応が(笑)。「おー、ガンダム。シャア・アズナブルは私の永遠の恋人です」と。まいりました(汗)。僕も、もし女性だったらシャアのことを好きになっていたと思います。すいません、愚問でした(笑)。最近、ドラゴンボールの悟空が理想の男性だとか、シャアが永遠の恋人だとか、そんなことばかり聞くなぁ(汗)。本物の男性も頑張らないとなぁ(涙)。
とにかく、そんな彼女もHBSのご信者さんとして、立派に御宝前を護持して、日夜に御題目をお唱えしている。良誓師は、彼女の一番苦しかった時のことを知っておられるから、今こうして元気に、明るく生活し、ご信心してくれていることを心から喜んでおられた。サベリアは日曜日の御講にもお参詣していた。
イタリアの古都に日本文化を愛する女性が住んでいる。イタリアの古都に本門佛立宗の敬虔なご信者さんが住んでいる。何か不思議な気持ち。
でも、だから有難い。今の時代、全世界の人に「仏教」が必要。それもTrue Buddhism、御題目が必要なのだ。こうして広がりを見せていることは嬉しい。
サベリアの家で一座のお看経をいただいた。サベリアは綺麗な声で御題目をお唱えしていた。良誓師とアントニアも後ろからお唱えくださっていた。
家を出てフィレンツェへ向かったが、高速道路はフィレンツェ空港の手前から大渋滞。市内に入るまで1時間近くかかった。ようやく19時30分過ぎにお寺に到着。ミルトとエンリカ、悠樹・フィリッポ(日本名は福岡御導師がお付けになった御利益で授かった子)、レンツォが待っていてくれた。そのまま8時15分くらいまで夜のお看経をさせていただいて、その後ホテルまで送っていただいた。
イタリア到着から12時間後から始まったお助行。第一日目のご奉公が終わった。
ありがたい。
2008年2月23日土曜日
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