2008年2月26日火曜日

アントニアの食卓

 二日目。そのまま、今夜の夕食はレンツォのお宅でいただくことになった。ミルトの家から車に乗って、レンツォとアントニアの家へ。フィレンツェ郊外の素敵なお宅。お看経の後、アントニアの手料理をいただくということだった。
 海外でのご奉公では、ご信者さんのお宅でご供養をいただく方が嬉しくて有意義だ。それはレストランなどでいただくより何倍も嬉しいし価値があると思う。その国の、ご信者さま方の、本当の生活やご信心、味わいを感じられるから。ブラジルでもスリランカでも、イタリアでもそれは同じだ。
 それにしても、昨日一日中運転のご奉公をしていたアントニアが、この短時間で夕食の用意してくれていたかと思うと申し訳なく思った。だって、昨夜の別れ際に「明日の夕食はどうしようか?」って相談していたのを聞いていたから。きっと、あれから「では、私は準備しましょう」ということになったのだ。聞いてみたらそうだった。「大丈夫。私は料理は手早いの!」と言っておられたが、大変だったと思う。
 それにしても、すごいニュースがあった。先日も書いたが、この日の朝、一年に一度の検査結果が出る日だった。その検査結果がお医者さまも驚いて何度も数値の書かれた表を見直すくらい「完璧」な結果だったというのだ。アントニアは良誓師に連絡して、「子どものように喜んでいた」という。ありがたい。アントニアは喜んでいて、検査結果のコピーまでプレゼントしてくれた。普通では40以下でならなければならない数値が、以前はどんなに頑張っても100くらいあって下がらなかった。だから、Veganのようなベジタリアン、食事制限をして病気と闘ってきた。「ワインも飲まないし、肉食も一切しない。小乗仏教のお坊さんみたいでしょ?」と言っておられた。
 しかし、御題目をお唱えするようになってから、以前のような厳しい食事制限にこだわることをやめたという。とにかく、お看経、御題目、お供水。毎朝お看経させていただいて、毎夕お寺にお参詣して。そういう生活になった。それにも関わらず、これまでの検査で一番良いなんて。「これまでの努力はなんだったの(笑)、ケーキも食べるようになったのに。御題目の力ね!」と喜んでおられた。有難い。
 レンツォとアントニアは、小さな小さな御宝前を護持していた。アントニアは「私の身体がちっちゃいから、御宝前も小さいの」と言っておられた。「小さな御宝前でもご信心は大きいよ」と良誓師。これから御戒壇を徐々に大きくされるそうだ。なにせ、ご信心をされるようになってから、まだ2年足らずなのだから。特に、アントニアは、現在のHBSイタリアのムードメーカーのように思う。本当に、彼女の献身的なご奉公ぶりはスゴイ。明るいし、ありがたい。
 お看経の前に、ジェノバのティナ、ミルト、エンリーカ、悠樹くん、ティッツィアーノが合流し、レンツォとアントニア、私と良誓師の9名でお看経。このお看経では、ティナの30代で亡くなったご主人のご回向と、エンリーカの娘、カペッキの御祈願をさせていただいた。お看経終了後、御宝前から振り返ってティナに本門佛立宗に於けるご回向の意味、本来の仏教に於けるご回向についてお話しした。仏教でのご回向の基本的な考え方は、人間には長い命と短い命があるということはベースである、と。
 アントニアは、麻樹ちゃんも認めるくらいお料理が上手なのだと聞いた。ちなみに、麻樹ちゃんの料理は天才的!病みつきになるくらい美味しい。その麻樹ちゃんが認めるアントニアの料理の腕前。
 みんなと一緒に食堂に移動して、アントニアの手料理をいただいた。まずは、美味しいワインをいただきながら、歓談。彼女は南イタリアの出身で、トスカーナ料理とは少し違って良誓師たちにとっても楽しみだったみたい。パスタも彼女の手作り!そのパスタの粉も実家で作ったものだそうだ。すごい。
 とにかく、本当に美味しくて、一見すると気難しそうなレンツォともゆっくりお話が出来たし、ティナもHBSのメンバーと仲良く話をしてくれていたのでよかった。イタリアの夕食の仕方は、こうして家庭の中で食事をしないと本当のところ分からないなぁと思った。ゆっくり、ゆったり時間が流れていくし、食べ方、順番も、あらためて「こういうものか」と勉強になった。
 最初にワインを開けて、笑って話をしながらオリーブをお皿に取る。このオリーブもほとんどの家庭が自家製で、とっても美味しかった。明るい緑色の、大きなオリーブと、小さな濃い色のオリーブ。こんな美味しいオリーブ、日本にないわ。いや、イタリアのリストランテでも食べたことない(涙)。日本のぬかみそ、韓国のキムチ、みたいなもんかな(笑)。麻樹ちゃんのブログにも時々紹介されているけれど、イタリアではオリーブやお酒、お野菜とかも作ったり、家族で採りに行ったりするようだもの。
 その後、お豆のおっきいの、名前忘れた。写真が多すぎて順番がバラバラになってしまったけど、上の方にある緑色の大きなお豆。これ、癖になる。ドカッと出てきて、ムキムキしながら食べる。みんな、お食事前にワインと一緒にパクパク食べていた。外側は食べない。中のお豆だけ。ジェノバから来たティナも南イタリアのお食事を楽しんでいたみたい。
 そう、このブログ、本当は海外でのご奉公中にいただくお食事の紹介もしたいと思って、各地で写真をたくさん撮っているんだけど今まで書けなかった。指が動かん。時間がなかった。でも、これは書きたい。美味しかったなぁ、このお豆。「身体にイイ~!」っていう感じで、豊かな大地の味がしました(涙)。
 それと、何種類かのパン。トスカーナのパンはお塩が入っていないという。すごくシンプルな味。だけど、何種類もある。だから、お皿にオリーブオイルをたらして、少しだけオイルの上に塩を振る(良誓師がやってくれた)。そして、そのオイルをパンにつけながらいただく。チーズも出していただいて、これを取り分けていただく。本当に美味しい。
 その後に、お手製のパスタ。パスタの茹で加減を、良誓師とレンツォがチェック。アントニアとティッツィアーノさんがキッチンに立って茹でてくれていた。全て手作りで、茹で上がったパスタを自家製ソースと混ぜ合わせて出来上がり。これ、美味しすぎて写真を撮るの忘れました(汗)。すいません(涙)。
 さらに続いてお野菜やポテトをパイのように焼いたサラダ(?)と、ほうれん草のサラダ。パスタの後で美味しいお口直し。ほんと、このほうれん草のサラダは何度もおかわりした(汗)。パイのようなものも、アントニアの真心が入っていて本当に有難い。
 そして、メインはポークのローストかなぁ、包み焼きをしたようなお料理で、ジワッとした味わいが口の中に広がる一品。右の写真でミルトが持っているものがソレです。贅沢なお料理、これ本当に美味しくて、ほっぺが落ちそうだった。9名が食べるのだから、お料理する量も大変だったと思う。こうして大きなお皿にドカッとお料理を載せて、みんなで回して取り分けていく。メインのポーク料理に添えられていたポテトも本当に美味しかったなぁ。
 さらにさらに、それが終わるとデザート。2つの種類を作ってくれていたのだろうだ。一つは、チョコレート風味のものを焼いてくれたもの。アントニアが差し出してくれているのがそれ。とっても美味しい手製のケーキ。
 そして、もう一つはご主人のレンツォが作ってくれたのだという(涙)。有難いなぁ。本当の「ご供養」だなぁ。短い時間で、心を込めて私たちのために作ってくれた。昨日も、あれだけご奉公で飛び回って、忙しかっただろうに。本当にありがとうございます(涙)。
 レンツォはどこか俳優のような雰囲気があるんだなぁ(笑)。ロバート・デニーロにも似てるよなぁ。「俳優みたいだね」と言うと、「そうなんだよね」と言っていた(笑)。イタリアの俳優さんの名前も言っていたなぁ。知らない人だけど。「髪の毛があった頃は、俺も格好よかったんだよね」なんて(笑)。レンツォ、パッと見たら怖いのに、結構おもしろい。
 最後の最後、アントニアからのお勧めでレモン味のお酒?グラッパのようなものかと聞いたら、少し違うらしい。これはアントニアの従兄弟が作ってくれたものだそうで、とっても美味しいらしい。お食事の後となったら、みんなこうしてグラッパなどを飲んでいた。いただいたのだが、ちょっときつくてむせるくらい。でも、甘くて美味しかった。
 こうして楽しく歓談しながらのお食事。ホテルに戻ったら23時を廻っていた。次の日が日曜日で9時にはお寺に行かなければならないので、ちょっと時間が遅くなりすぎた。明日がメインだから。頑張ってスイッチを入れないと。
 しかし、それにしても充実した一日だった。何よりみんなとのコミュニケーションもゆっくりできた。それこそ大切なご奉公だった。御導師にご報告できることがたくさん感じられた。
 また、何よりアントニアのご供養、ご奉公に心から感謝した。彼女は病気を抱えているが、これだけ素直なご信心が出来ていれば御利益をいただかれるのは当然だ。検査結果が示すとおり。本当にありがたい。

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