2022年12月6日火曜日

一生の宝物










一生の宝物をいただきました。


今朝、保土ヶ谷中学校の大きな封筒が2つ届きました。開けてみると生徒たちの振り返りシートが入っていました。何枚あるのでしょう。すごいです。


今日も予定が目一杯詰まっているのでまだ数十枚しか拝見できていないのですが、言葉にならないくらい嬉しい内容で、読みながら目頭が熱くなるほどです。


命の話、心の話、世界の話と、大きく3つに分けてお話を組み立てました。お話しするスピードや間も若い子たちに届くように考えながら挑戦してみました。


特に、5月末に亡くなった中学校二年生の彼のことを想い、絶対に伝えたいこと、感じてほしいことがありました。


彼の葬儀には大勢の同級生がお焼香に訪れていました。あどけなさの残るハンサムな遺影と、お焼香から泣いて出てくる子どもたちを交互に見つめながら、彼の命を受け止めたいと願いました。


ですから、今回いただいた保土ヶ谷中学校での人権講演会で、何よりも同学年の彼ら、彼女たちに伝えたかったのが、「命」についてでした。


最初に東日本大震災、そして原爆投下直後の広島の光景、長崎で撮影された「焼き場に立つ少年」と私たちの活動、僕が小学校6年生の時にブラジルで聞いた川崎の少年の死、そこから長い命と短い命について、話をしました。


そして、その「命」を預かる僕たち一人ひとりの複雑な「心」について知っていただきたいと思い、お話をしました。多重人格ではないけれど、同じくらい複雑な人間の心。動物に育てられたら動物にしかなれない人間、十界についても、お伝えしました。


世界のこと。この時代、この世界に生きている意味。先入観のない自由な感性で、人類にとって厳しい時代を乗り越えてもらいたい。


私たちの住む星を俯瞰して見て。「ブルーマーブル」や「ペイルブルードット」をスクリーンに映して、見てもらいました。宇宙船も、飛行機もない時代に、この星を一つの命として見た人たちがいたのです。


一方、ヘーゲルは「我々が歴史を勉強すると我々が歴史から学んでいないことが分かる」と言っているし、チャーチルの「人間が歴史から学んだことは歴史から何も学んでないということだ」という言葉も紹介しました。


学校で歴史を学んでいる生徒たちに伝えるのはどうかと思いながら、人間の性を学ばなければ「人権」を学ぶことはできないと思い、お伝えしました。


そして、お坊さんとして偉そうにお話ししている僕ですら、変な考えに囚われたら、鬼や修羅になることも、伝えました。


ワールドカップで対戦したクロアチアの神父さんが残した言葉。旧ユーゴスラビアの歴史。7つの国と接し、6つの共和国からなり、5つの民族が住み、4つの言葉を話し、3つの宗教を信じ、2つの文字を持つけど、国は1つという国が辿った不幸な歴史があります。


クロアチアの神父さまは書き残しています。


「この国にはクロアチア人しか住むことはできない。私は老人から子ども、そしてセルビア人が育てた家畜に至るまで、きれいに片づけるつもりだ。私が神父の格好をしているからと言って、機関銃を乱射しないと思ったら大間違い。私はクロアチアに反するものは何でも殺してやる。それが例え7歳の少年であっても、汚れたセルビアの血が流れている者は浄化しなければならない。」


聖職者たるべき神父さんですら、このようなことを書く、というか心底からそう思い、恐ろしいことをする。人間というものの素晴らしい可能性と恐ろしく愚かな面について、お話をさせていただいたのでした。


結びは「ありがとうございます」という言葉の本当の意味、「不思議な力のあるこの言葉を口癖のように話そう」とお伝えして講演会を終えました。


中学校1年生、中学校2年生、とてつもなく、すごいです。こんなに素敵な感想文は見たことも、読んだこともない。そんな風に受け止めてくれたんだ、そこを受け止めてくれたんだ、と感激しています。


実は、アンケートの中には「びっくりした」「驚いた」という言葉がたくさん書かれていました。多くの生徒たちが共通して感じ、そう書いてくれていたのです。


それは、「命について、誰からもそんなものだと教えてもらったことはない」「自分の心についてそんな風に考えてもいなかった」「聞いたこともない」「びっくりした」というものでした。


お寺の中では当たり前のことでも、やはり全く違うのですね。もっともっと、僕たちは、命のこと、心のこと、世界のことを、語らなければならないんだ、伝えなければならないんだ、と思いました。


この講演会、不安になったり、反発した子がいたかもしれません。お聴きになられていた先生方も同じです。すべて私の責任ですので、どうかご容赦いただきたいと思います。


「これからはもっと命を大切にして生きていく」


たくさんの言葉に、力をいただきました。貴重な機会を与えていただいた校長先生、小林先生、斉藤先生に、心から感謝しております。


ありがとうございます。

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