2012年11月12日月曜日

『平家物語』や『藩論』

土曜日に妙深寺まで来てくださった水戸先生が、ブログで重ねて本について紹介してくださいました。今日気づきました。ありがとうございます。http://goo.gl/7UlGa

報道を見る限り、政治がいよいよ逼迫してきたようです。そろそろ解散ということになるのでしょうか。

「近いうちに○○するから」という約束。恋愛ドラマのようですね。本当に、日本の政治や行政の底が知れます。与野党の攻防、第三極の動き、どうなるか分かりません。それでもいよいよ選挙です。国民が審判を下すでしょう。あまりにも欺瞞ばかりが目につきました。どう取り繕っても限界でしょう。

国家の存亡に直結するようなタイミングです。こうした事態に当たっては、国民も覚悟しなければなりませんし、学ばなければなりません。「知らなかった。」「あの時は、そう思っていたんだもの」と後悔しても始まりません。とっくの昔から、迂闊に、油断し、平和ボケしている場合ではなかったのですから。過去の貯金を使い果たし、借金までして平和と繁栄を享受してきたのですから、「平家物語」を読み返すより為すべきことや学ぶべきことは明らかなはずです。

「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす。おごれる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。たけき者もついには滅びぬ、偏に風の前の塵に同じ。」

日本と日本国民は、極めて優秀な資質を持っているはずです。柱を立て、目を開けば、大変なポテンシャルがあります。

お祖師さまは、「我日本の柱とならむ、我日本の眼目とならむ、我日本の大船とならむ」と仰せになりました。逆を返せば、お祖師さまからすると、多くの人が心に柱を持たず、フラフラしている、あるいは、目を開き、物事を見ているようで見えていない、目が閉じたまま、ということです。いまの社会状況、今の私たちは、どうか、ということです。

海援隊の政見を表したものとされる書物『藩論』には、次のような記述があります。『仏教徒 坂本龍馬』にも載せましたが、現代語訳を紹介します。

「概して、有能な人物を選ぶ普通選挙は、西洋の文明諸国では古くから広く普及しており、子どもでも知っている。しかし、我国の諸藩ではまだこのような制度が存在していることを聞かない。故に、その制度が優れた政策であるとしても、藩内に於いては常に愚かな人々がおり、またその制度が真に進歩的な制度であるとしても藩にはその逆の者が少なくない。従って、智者の政策を多数の愚かな人々の決定に委ねたり、賢明な藩主が法案を愚鈍な家臣にはかったりするのは、まるで盲人に黒か白かを尋ねたり、耳の悪い人に音の清濁の判を求めたりするのと同じである。大多数の一般大衆は普通選挙の意味を理解していない。たまたま藩主から選挙によって人物を選出せよと命じられても、能力を問うことも政策の有無を論じることもない。ただ個人的な好き嫌いによってこれを判断し、才能や智慧のある人を求めず、個人的な交際の範囲の情実に従って判断し、あるいは高い地位にいる権力者に遠慮してこれを選挙したり、逆に卑しい身分というだけでこれを嫌って選ばなかったりする。」(お身体の悪い方への配慮に欠けた表現があるのは申し訳ない。当時の原文に従っている。)

「諺にいう「親の心子知らず」とはこのことである。こうした実情から、ただ単純投票で最多数を獲得した人を当選者と推挙してもその人が最適任者とは限らない。これが再投票の規定を設けなければならない理由である。まさしく、最初に当選した不適当な人材の再選を避けるために、第一回の選挙で大多数の信任を得た人物たちを総藩の意志として再び選挙を行い、優秀な人材のみを選び出すという考え方による。」

さらに、次のように述べている。

「しかしながら、優れた能力を授けられた人の数は少なく、圧倒的多数の人々が浅学である。ゆえに、民衆は大部分が愚かで、彼らは目先の快楽を妨げるわずかな障害を忌み嫌う。彼らは朦朧としていて長期的な利益を識別することが出来ない。薬を飲むことは苦しく、潰瘍の手術には痛みが伴う。しかし、この苦痛を嫌って薬を飲まず、手術を拒んでいたなら、病は癒えず、身体が健康になることはない。政治とは同じことである。

いかなる功績によって、なまけ者が努力もせず高貴な地位につくのであろうか。また、いかなる罪によって、真面目に働き励む人間がその生涯を奴隷のような身分で終わるのだろう。父の罰がその子に及ばないのと同様に、父の褒賞もまたその子に及ばせてはならないのである。」

龍馬の薫陶を受けた海援隊隊士たちが明治元年に書いたとされる『藩論』。本当に、未来を見据え、人々を見据えていると思います。近代日本を切り拓いた、こうした「ニッポン人」の先輩方に恥じないような、思考、行動をしなければならないと思います。

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