2012年12月20日木曜日

言葉の重み

横浜に戻りました。ようやく。

知識も経験も乏しい者が、手探りで「ミュージアム」の運営を進めています。各地の博物館、学芸員、デザイナー、アーチスト、いろいろな方々にご協力いただかなければ、こんな特殊なご奉公を突然始めることは出来ませんでした。世の中に開かれたご弘通の拠点でなければなりませんから、みんな必死にご奉公しています。本当に、スタッフ、ボランティアの方々に感謝です。つくづく、有難いです。

このご奉公は本門佛立宗の浄財約10億円を投じてスタートした旧本庁舎・佛立会館の再建によって始まりました。宗会での質疑応答、計画の再考、決議があり、始まりました。

一人のスタッフとして、そうした宗門の目指すご奉公に沿いたいと思っているのですが、時は無情に過ぎて行きますし、世は変転します。私たち自身も再確認しておかないと、言葉が軽くなります。

振り返ると、本年の3月の宗会でご講有が次のようにご諭告されました。

「新会館は宗務本庁としての業務の充実のみならず、宗の内外へ働きかけができる宗名宣揚と弘通の発信基地として発展させるため、教講各位の協力を望みます。

平成二十四年三月七日 本門佛立宗 第二十四世講有 日誠」

宗門教講各位のご協力を求めて止みません。

これらのご挨拶は10月に発刊された『佛立公報』にまとめられており、思いを新たにしました。

佛立会館の起工式に於ける宗務総長のご挨拶は次のようなものでした。

「無事完成の暁には、この佛立会館が宗の内外、そして遥か海外に向っての弘通の発信センターとなりますことを切望いたしまして、起工式のご挨拶とさせていただきます。

平成二十三年七月六日 本門佛立宗 宗務総長 佐藤日凰合掌」

竣工式では次のようなお言葉があり、その場にいた私も背筋が伸びる思いがしました。ちなみに、私たち主事はご挨拶の内容については当日まで知る由もありません。宗務総長のご挨拶は次のようなものでした。

「本日の竣工式はジャンプとなりましょう。ジャンプは跳躍です。これから佛立会館を基点に、ますます佛立のご信心を国内に、海外に発信すべく価値ある基地としての確実な飛躍ができていくことが望まれます。

「今、人々が狭い利己的な欲求を求めるあまりエゴを自制できなければ社会は自壊していく」と、ある社会学者は警告を発しています。こういう時代にあって、本門佛立宗は「利他」の心を訴えていかねばなりません。

そのためには、私たちは大局観と総合力を持つことが必要となりましょうし、危機や試練に挑戦する創造性や建設的思考を養って行くことが大切です。その場がここ佛立会館であり、宗務本庁であってほしいと念願して、竣工式の御挨拶とさせていただきます。

平成二十四年五月二十三日 本門佛立宗 宗務総長 佐藤日凰合掌」

さて、この言葉を、軽くするわけにはなりません。社会で問われるところの、どれほど重要な「目的」が述べられているでしょうか。何とか、この命題を果たせるように、近づけたいと思うのです。

来年1月6日から始まる展示は年の瀬が押し迫る中で完成させなければなりません。スタッフの皆さまにも申し訳ないのですが、手探りです。経験がないのです。とにかく、頭を下げて、お願いし続けて、いい展示会にしなければなりません。

年間、北野天満宮までならば数万人の修学旅行生が訪れています。今回、旅行代理店の方々が興味を示してくださり、来年2月からは多くの修学旅行生が「京都佛立ミュージアム」まで来てくださることになります。その青少年たちの興味をそそり、実際に彼らの将来や学問に資する展示を続けてゆかなければなりません。

社会性と専門性の両立。一方だけでもダメです。信心も教学も、内側に置いている間は専門性の枠の中にあり、慈悲が足りず、ご本意には叶いません。すべてのご奉公を、末法悪世の凡夫、頑迷で、仏教的な知識の浅い人にも分かるようにしなければなりません。そうでなければ「佛立」ではありません。

高い専門性と幅広い社会性。なかなか両立は難しいものですが、普遍的な真理はバランスの中にあります。バランスを失っている間は、空回りか、自己満足なのです。そのレベルで生きてゆくこともできますがきっと哀しくなります。修行ですね。

すでに、勝海舟直筆の一遍首題の題目軸も京都佛立ミュージアムに届きました。司馬遼太郎記念館からお借りしたものも大切に保管させていただいております。坂本龍馬記念館からの宝物も、『閑愁録』も、ここにあって、後は展示を待つのみです。

ひとまず横浜に戻りましたが本年中に展示を完成させなければなりません。まだまだです。

ちなみに、高知、香川で撮った映像は本当に最高でした。楽しみにしていただきたいと思います。

とにかく、最近はどの分野でも、誰の挨拶を聞いても言葉が軽いので、そうならないように、何とかご奉公させていただきたいと思います。

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