広島や長崎で被爆した方々は、本当に寡黙で、ご自身が目の当たりにした原爆の惨状を簡単に口になさることがないと感じています。
「とても言葉で表せるものではない」
それだけ恐ろしい、言葉を絶する、想像など全く及ばない、地獄の光景が広がっていたのだと理解しています。
今日は、長崎に原爆が投下されてから74年の日。
そして、ジョー・オダネル氏の13回忌の祥月命日でもありました。
今なお原爆の悲惨さを世界中に伝えている「焼き場に立つ少年」の写真を撮影したオダネル氏は、1年365日ある中で、なんと長崎に原子力爆弾が投下された8月9日に亡くなられたのでした。
到底、偶然などとは思えません。
最近、「焼き場に立つ少年」の写真が数多くの報道番組などで取り上げられるようになりました。今朝のNHKのニュースでも報道されていたそうです。
これは、やはりローマ法王がこの写真を取り上げて、全世界に配布を指示したことによります。
その法王が、11月中旬に来日するということもあって、報道機関やメディア各社が話題を作ってくださっているのですね。やはり、法王はすごい影響力を持っています。
いま「焼き場に立つ少年」が、多くの人の目にとまり、その心に何かを生み出していることに、大きな喜びを感じています。
戦後、これほど世界中が戦争や核兵器に対して無知や傲慢になった時代はないと思います。
指導者はこぞって危険な政治手法を選んでいますし、それを国民も無関心に受け流し、後押しさえしています。
8月6日、松井一實市長による令和最初の平和宣言。皆さんはどうお感じになりましたか?私は為政者と市民の乖離を訴えた平和宣言だったと思います。
「世界中の為政者は、市民社会が目指す理想に向けて、共に前進しなければなりません。そのためにも被爆地を訪れ、被爆者の声を聴き、平和記念資料館、追悼平和祈念館で犠牲者や遺族一人一人の人生に向き合っていただきたい。」
一般の方々に、お父さんに、お母さんに、おじいちゃんやおばあちゃん、若者たちに、子どもたちに、知ってもらいたい。
ですから、「焼き場に立つ少年」という写真をお預かりして、写真展をさせていただいてきて、心からよかったと思っています。
4年前、ローマ法王に「焼き場に立つ少年」の写真を、お送りさせていただきました。天正遣欧使節顕彰会の方々や、イエズス会のヴィタリ神父が、仏教僧である私からの本やリーフレットを献上品の中に入れてくださったのです。
この写真がローマ法王にまで届き、この尊い写真を法王が取り上げてくださる一助になれたとしたら、数え切れないほど、傷つき、苦しんだ、言葉の少ない方々や、そのご家族に、ご報告できることが増えたと思えます。
大火事に臨む「ハチドリのひとしずく」であり、「微力ではあっても無力ではない」ことを感じ、嬉しく思います。
今日は、ビートルズの『アビイ・ロード(Abbey Road)』が撮影されてからちょうど50年目の記念日だそうです。8月の9日が。
4年前、最初に「トランクの中の日本 ~戦争、平和、そして仏教~」展を開催するにあたり、オノ・ヨーコさんにお手紙を書いたことを思い出します。
"POWER TO THE PEOPLE" は為政者ではなく市民に平和のために立ち上がることを呼びかけた言葉ですし、 "WAR IS OVER, IF YOU WANT IT"は「戦争は終わる。あなたが望んだなら」という言葉は全くそのとおりだと思っていたから。
なにもかも、偶然はないと思います。
ローマ法王への奉納品の中に入れていただいたのは、写真を見ていただけば分かるとおり、私が杉崎さんからお預かりしていた青い帯の『トランクの中の日本』、つまり中古の本、僕の名刺、京都佛立ミュージアムのチラシなどでした。
とにかく、法王が取り上げられたことで、この「焼き場に立つ少年」の写真は世界中の人びとが目にすることになりました。
本当に、ありがたいです。
ありがとうございます。
まだまだ、始まったばかりですから、がんばります。
永六輔さんの歌。
「八月は 六日九日 十五日」
「はちがつは、むいか、ここのか、じゅうごにち」
やはり、スッタニパータに載るブッダの言葉を読み返します。
「一切の生きとし生けるものは、幸福であれ、安穏であれ、安楽であれ。
いかなる生物生類であっても、
怯えているものでも強剛なものでも、
悉く、長いものでも、大きいものでも、
中ぐらいのものでも、短いものでも、
微細なものでも、粗大なものでも、
目に見えるものでも、見えないものでも、
遠くに住むものでも、近くに住むものでも、
すでに生まれたものでも、これから生まれようと欲するものでも、
一切の生きとし生けるものは、幸せであれ」
妙法蓮華経には。
「願わくはこの功徳をもって普く一切に及ぼし、我らと衆生と皆ともに仏道を成ぜん。」
“May this merit extend universally to all so that we together with all beings realise the Buddha Way.”
by the Lotus Sutra
そして、宮沢賢治さんの言葉。
「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない。
自我の意識は個人から集団社会宇宙と次第に進化する。この方向は古い聖者の踏みまた教えた道ではないか。
新たな時代は世界が一の意識になり生物となる方向にある。
正しく強く生きるとは銀河系を自らの中に意識してこれに応じて行くことである。
われらは世界のまことの幸福を索(たず)ねよう。
求道、すでに道である。」
とことん、自分に出来ることをさせていただきたいと思います。
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