2022年1月2日日曜日

「悲観は感情、楽観は意志」 令和4年1月 妙深寺報 巻頭言




















どんなことがあっても前向きに、明るく、楽しく、生きていきたい。深く息を吸い、笑顔を絶やすことなく、思いやりを失うこともなく、毎日を積み重ねてゆきたい。


悲観は感情、楽観は意志。人間、感情に引きずられればネガティブ、つまり悲観的になる。逆に、意志をしっかりと保てば、ポジティブ、つまり前向きに生きてゆける。 


大切なのは意志。感情に流されてはいけない。 「自分」として生きているつもりでも「自己」に目覚めて生きている人は少ない。仏教の指す「自己」は哲学や心理学で言うものと違う。それは多層的であり、意志に直結したものです。 


お祖師さま・日蓮聖人は、「心の師とはなるとも、心を師とすべからず」と随所でお述べになられています。生きてゆく上で極めて重要なポイントを示されているのです。 


心、つまり「感情」を軸として生きていると、それに翻弄されて正しく歩めないということです。ですから「心を師匠にしてはいけない」と注意し、「心の師匠になりなさい」と教えておられる。この「心の師となる」方法が「意志」であり、均衡の取れた心を「信心」と言います。 


人生は思い描いたようには進みません。思い通りにいきませんし、いったと思っても逆の作用や結果が次から次へと到来するものです。 


ですから、自分にとって都合のいいことが来たら喜び、悪いことが来たら悲しむというサイクルに身を任せていると、悲しいことの方が多くなり、やがていらだち、怒り出すようになるというのです。  気分がいつもいいなどということは心に任せていたらあり得ない。感情のままに生きていたら不可能。そこには必ず「意志の力」が必要になるということなのです。 


感情や気分に任せて生きていると、悲しい出来事や理不尽な状況に対応できなくなります。不運や不幸を嘆き、相手や世の中を恨むようにもなります。ネガティブな感情はそれ自身で融合を繰り返し、思い込みや妄想にまで到達すると、人生を放棄する、他人を傷つける、自分も傷つける、いつ暴発してもおかしくない心境や状況になってしまうのです。 


大阪市で発生したビル放火殺人事件。若き舞台女優の方の自死。歳末の日本を震撼させた恐ろしく、悲しい事件は、心や感情の複雑さ、取り扱いの難しさを表す、顕著な、あまりにやるせない事例です。 


恐ろしい犯行、事件の大半は、感情に任せ、悲観に囚われ、その悪循環に陥ってしまった人によるものです。そうなってはいけないことを、佛立仏教は教えています。悲観は感情、楽観は意志。意志を抱き続けることがいかに大事か。 


人間は、条件が揃えば鬼となり、条件が整えば菩薩や仏になり得る。残念ながら条件が揃ってしまえば残虐なことに同調し、それを行い、極悪非道の犯罪者にもなり得る。条件が揃えば不貞を働き、家庭も捨てる。誰でも、そうなり得る。 


感情を捨てる必要はありません。喜びも、悲しみも、怒りや虚しさですら、人間らしさであり、人生そのものに欠かせません。大切なことは感情に任さず、流されないということで、そのために意志を固めておく、なるべく早く思いを定めるということなのです。 


エントロピーの法則とは「物事は放っておくと、乱雑、無秩序、複雑な方向に向かい、自然と元に戻ることはない」というものです。放置された部屋は散らかってゆく一方で何もしなければ整理されることはありません。私たちの心も「意志」を持たず、その力を発揮せずにいたら、無秩序で、複雑な状態に陥ってしまうのです。 


部屋の片付けも意志、その力と言うことが出来るかもしれません。その日の気分に任せているといつまで経っても片付きません。 


今年一年の抱負や目標は「意志の力」があってこそ達成できます。当たり前のことですが気分や感情に任せていたら達成は不可能です。 


「意志」とは「目標を定めてその達成のために行為を促す自発的な気持ちや思考」という意味です。意志は目標の達成に直結します。 


悲観は感情、楽観は意志。 


今年は高祖日蓮大士ご降誕八百年ご正当年、先住松風院日爽上人御二十三回忌という特別中の特別な年です。何が何でも報恩ご奉公を成就させていただきたいと誓願し、また覚悟しております。 


先住ほどカッコいい人に会ったことがありません。魅力に溢れていて、器が大きくて、男気があり、虚勢を嫌い、表と裏のある人間を嫌い、若者たちに台風の目になれ、もっと暴れろと言い放ち、頭でっかちの大人を笑い飛ばし、明るく、楽しく、いつも朗々と、私たちを育ててくださいました。もちろん、先住を知らない方々も増えてきたと思いますが、私の全ては先住のプロデュースによって出来ており、妙深寺の全ては先住が命を削って築き上げられたものです。 


先住に喜んでいただけるように、今年も粉骨砕身、全身全霊、東奔西走、七転八倒、八面六臂、身命をなげうって、ご奉公させていただきます。 


仏教の中の仏教、真実の教えを、一人でも多くの方々に届けたい。あらゆる機会を通じて伝えたい。 


残念なことに、この人間界こそ無秩序な状態に陥りつつあります。欲望に任せて、欲望を軸に社会を成り立たせてきたのですから仕方がありません。 


地球上に七九億人が暮らす中、世界中の富の大半、十三兆ドル(約一四九〇兆円)超を二七五〇人が独占。日本では不登校の小中学生、自殺した児童生徒が過去最多。すでに世界は壊れています。狂っている。 


この壊れた世界を生き抜いて、そこに生まれてきた甲斐を、そこで生きる甲斐を、自分も、天も、感じて欲しい。世の中も、人生も、面倒だけど、捨てたものではない。よく見れば世界は美しく、奇跡に溢れています。みんなに伝えたい。 


理不尽なことばかり、無責任なことばかり、不都合なことばかりが起きそうな世界。何が起きても不思議ではない。歪んだ心や壊れた心がこすれ合って軋んでいます。巻き込まれることを前提に覚悟を決めるべきでしょう。 


悲観は感情、楽観は意志。今生人界の目標を立てて、生き切る。浮沈の激しい一喜一憂から永遠の喜びへと変わる日々、変わる人生。 深く息を吸って、気のいい仲間と、大いに笑って、大いに楽しんで、この特別な年を、むちゃくちゃに、前向きに、進んでゆきましょう!


(令和4年1月 妙深寺報 巻頭言)

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