ありがとうございます。
終戦から七〇年目の夏が終わりました。
過ぎてしまえば何ともないというのでは仕方ありません。私にとっては、噛みしめても足りないと思えた夏でした。
きっと、安全保障環境が変わったと声高に言われ、現在の内閣が憲法の解釈を変更して集団的自衛権の行使容認を閣議決定、その法案が衆議院を通過、参議院で審議中、という夏だったからかもしれません。
本当に、変わってゆくのですね。
ここで、真剣に「日本」という国のあり方を見つめ、どの方向に行くべきなのかを考えなければなりません。
多くの人が怖れているのは、このままなし崩し的に日本が方向を転換してゆくことだと思います。
「解釈」を変更しただけで「憲法」の精神が変えられるなら何もかも虚しいように感じます。
大切なことは、日本国憲法が「平和憲法」と呼ばれてきた「精神」や「理念」を保持するのか、しないのかということに尽きます。
茨木日水上人は、
「平和国家で押し通すことが真の武士道」
と書き遺しておられます。
いろいろな議論はありますが、世界大戦で敗北し、原子力爆弾を2度も落とされた日本、そして平和憲法を保持して、世界中から今なお尊敬を集める日本という国は、人類の品性を象徴する国であり、真に世界平和を先導でき得る数少ない国家であることに違いありません。
この意義に於いて、安全保障環境が激変しようと、人類の希望を証明する地位や土俵から、日本が降りてゆく必要はありません。
自国の安全保障は同盟国との協力や自衛隊の充実をはかる必要があるでしょう。
しかし、それは全て平和国家としての精神と理念の上に為されるべきもので、この一点で、これからも世界に貢献してゆくべきだと思います。
同時に、私はこの道こそが、国民の生命と財産を守るために、日本の安全保障上、最も有効な道であると信じています。
国民を守ろうと舵を切ったことで、逆に国民の生命を危険にさらすことになった事例は歴史に数え切れないほどあります。
住職としてこういう言い方はよくないかもしれませんが、世界を見渡す限り、地獄の蓋が今にも外れそうになっていると感じています。
とにかく、天災の何千倍も恐ろしい人災を遠ざけるために、御題目のご信心を伝えてゆきたいと願うばかりです。
平和を守るために私たちが出来ること。それは自分の目の前にあるご弘通の芽を大切に守り、育てることです。それ以外はありません。
私は私なりに、あなたはあなたなりに、精一杯のご信心、ご奉公をさせていただくことです。
この「精一杯」の分量、篤さや薄さが、忙しく、慌ただしい中でも、ご縁に恵まれ、御法さまに見守られ、御利益に溢れて生きてゆけるか、時間やお金が余っていても、いつも空回りして、疲れて、寂しく生きることになるかの分かれ目です。
今年も残すところあと四ヶ月。精一杯のご奉公をさせていただきましょう。
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